雑記。

Twitterのアカウント名を「パティシエールは魔女」としていますが、平たく言えばパティシエです。パティシエの女性形がパティシエールです。

最初は販売員として今のケーキ屋に入りました。面接の時に「いずれ工房に入りたい」と言ったら何より先に「舌を汚すな。美味いものを食べろ」と言われて驚いたのを覚えています。

パティシエは資格試験がある訳でも無く、下手すれば誰でも名乗れます。私は製菓学校は出ていません。イチゴ切ったり卵割ったりから始めました。技術が必要なので、社内試験は沢山あります。

私はつい最近ウェディングケーキを一人で作れるようになったばかりです。

工房内で担当が決まっているので、普段はシュークリームばかり作っています。

これは単なる自慢なのですが、面接にはブラウスとかではなく自分に一番似合う服を着て来いと言われました。初秋だったのですが、ブラウンのカットソーとアイボリーのシフォンスカートで行きました。そしたら工房に入った途端「ショーケースに並べるケーキの順番を決めさせる」と言って頂けました。

どんな種類のお店でもそうですが、売れるように並べています。お花屋さんで組み合わせに迷ったら、すぐ近くに並べてある花を選べば間違いないです。それと同じで、ケーキも、ありきたりな並べ方はしないですし、お客様は大体決まってるので常に同じようなレイアウトにもしません。

花屋だった事もあるので、自分のセンスには自信を持っていたい。でも、たまに疑ってみなきゃいけないのかなとも思います。

私が文学あそびをして、皆さんが下さったテキストに画像をつけると、多少建前もあるかとは思いますがとても喜んで頂けます。尊敬する人にも、センスが良いと言ってもらえました。

もっともっとセンスを磨きたい。

話を戻すと、もうすぐバレンタインショコラのフレーバーの案を提出します。30人くらい居るパティシエが1人ひとつ提案して、その年によりますが7〜8案はオーナーが選んで現実になります。

去年、初めて提出したのですが、カルヴァドスと蜂蜜で林檎を煮詰めてペーストにし、ミルクガナッシュに混ぜてビターチョコレートでコーティングするというのが通りました。今年も通りたい。なんなら常連になりたい。「リゲルさん凄い」とか言われたい。という願望があります。

そんな話をTwitterでしていたら、あるフォロワーさんが「それこそセンス」と言って下さいました。

センス。

パティシエは技術だけで良いなら量産型の店舗で働いたら良いんです。そういうのが向いている方もいらっしゃいます。技術とスピードに長けたタイプの職人さん。

でも私達はそうじゃない。オーナーが頑張って大きくしたパティスリーで、出来るだけ自由な発想で、出来るならば見たこともないようなケーキを作りたい。そういう仲間です。

国内外、星の数ほどケーキ屋はあるので、現実的に「見たこともないようなケーキ」「誰も思い付かなかった新しい組み合わせのショコラ」はほぼ不可能でしょう。昔から先人が知恵を絞ってケーキやショコラを考えて歴史を作ってきたわけですからね。ほぼ不可能でも、それを夢見ているのが私達です。

パティシエには夢があると思っています。なぜなら、私達にとっては幾千あるうちの一つのイチゴでも、誰かにとっては、どのタイミングで食べるか悩むほどの一粒だからです。

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