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潔し、勇退

先日、1本の電話。

20年近い付き合いの取引先美容室のオーナーからだった。

5月に職場で倒れ、救急搬送された。

緩和ケアを選択し、自宅療養中。ステージは最終のようだ。

自己所有の店は20年以上仕えてくれた店長に土地建物全てを渡した。
ハサミは店に置いてきた、もう触ることはない。

最後に「これまでありがとね。営業に来てくれて話すのが楽しかった。これからも店のことよろしくね。また、電話するね。」と。


開業50年目にしてこれまで培った全てを手放し、後継者に託した。

電話を切った後、さすがだなと思いながらも
寂しかった。

しばらく何も手につかなかった。


会いに行くことにした。


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