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Breathlessジャムに参加した記録(あるいはデザイナーズノート)

 汎用ルール『Breathless』を使った自作TRPGを投稿しよう、というゲームジャム(短期間でゲームを制作するイベント)に参加してみた。自分なりに色々なテーマをもって取り組んだりして、滅法楽しかった、という話。

 各作品のデザイン上のテーマとか、うまくいった/いかなかった事とか、そういう事を記載するのはデザイナー気取りでいい気になれるので非常に楽しい。ので、そういうことを書きます。
 あと、『Breathless』を使ってゲームを作ることの面白さ、という包括的な感想とかも書きます。

スチームエイジTRPG

 最初に作成したのは、『スチームエイジTRPG』。
 名前の通り、スチームエイジーー蒸気機関の発展したスチームパンク的な架空史に分岐した19世紀末を舞台に、発明家になって悪漢たちと戦うというゲームだ。
 このテーマは滅法大好きで、何度もチャレンジしている。

作成の動機:蒸気ガジェットの表現ができそう

 今回『Breathless』でこれを作ろうと思ったのは、「判定値(スキルやアイテム)が使うたびに劣化していく」ことと「アイテムがスキルの代替として機能する」というシステムの性質が、自分の表現したいスチームエイジ世界を表現するのに適していた(と思った)からだ。
 前者は「使うほど蒸気圧が低下するガジェットの雰囲気を表現できる」し、後者は「積極的にアイテムを駆使してほしい(PCのスキルが主体になるとガジェットが目立たない)」というプレイ上の要請を自然に満たせる、と思ったのだ。

 もう少し発明品の入手や改造を容易にすれば違ったかもだが、最初の週のチャレンジなのでその辺がちょっと不慣れではあった。
 また発明品のビジュアル面を強くアピールする表などを追加できればよかったのだが、その手の文芸の物量で押す作戦をジャム(短期間での作成)で決行できるほどのパワーはなかった。ちょこちょこ暇を見て手直ししていったりするのは面白いかもしれない。

特徴:階級社会の設定について

 もうひとつ特徴的なのは、スキルや職業、情報に階級が設定されていることか。これは倫敦(ひいては大英帝国)が階級社会であることの表現であり、スチームパンクの先達(たとえば『蒸気活劇RPG スチームパンカーズ 』などでもPCデータにしっかり「市民階級」が存在していたりする。
 スチームパンクは多様だが、オルタナティブ・ヒストリーとしてのスチームパンクであれば、やはり抑えたい要素か。この辺り、自分の趣味は「蒸気ガジェット大好き」が半分、「『ドラキュラ紀元』や『屍者の帝国』的な19世紀末の現実・空想を問わぬ多彩な人物が織りなす架空史が大好き」が半分、というのがよく表れて(しまって)いる。
 あと、階級社会が判定の制約として機能するという要素は、発明品(だけ)がそれらを超越するという意味で、スチームパンク(蒸気機関式の発明品によって体制に反抗する)的な正当性を与える意味合いもある。

特徴:シナリオクラフトについて

 調査と解決を前提にしたシナリオクラフト構造については、今回のジャムのレギュレーションとして「別途シナリオを必要とせず、ゲーム単体で遊べるようになっていること。」というのがあるため、後付けしたため、いささかのぎこちなさは否めない。
 本当なら、もっとランダム表たっぷりにするか、逆にクラフトを提示しつつ、その形式で作られたシナリオも添付するべきであった。

今回やらなかったことについて

 今回、諸々の理由で作成しなかった要素としては、以下のあたりがあった。もちろん、しなかったことがダメとは限らないのだが、この辺の見極めを「ちゃんとした上で」しないことを選んでいないのが、ちょっとだけ未練だ。

  • 有名NPCリスト:ゲームが『ドラキュラ紀元』化する。想定としてはスキルの代わりにコネを使うルールなので、発明品の出番が無くなる問題があるので、時間とマンパワーがあったとしても実装しない可能性はある。

  • ガジェット表の強化:目下は「ドレス」がD20、「ギア」が凡例のみという状況。スチームパンクとは畢竟「絵」であるので、この辺りはもっと強化したかった。あと、発明品にエゴアイテム的な「いぶし銀の」とか「刺々しい」とかの修飾を追加する要素も加えたかった。

  • 世界設定とシナリオフック:ルール説明の文中で大雑把に説明はしているものの、「ドレス」とか「ギア」とか、大英帝国の状況(女王が真鍮管に繋がれて永劫君主になっている、とか色々)とか諸々書き足りていない。都市のヴィジュアル面の描写も足りていない(今なお拡大を続けている水晶宮とか)。あと、それをキーにしたシナリオフックも。

  • オカルト要素:想定している世界設定では、吸血鬼をはじめとするゴシックホラーの怪物たちが存在しているし、心霊主義が成果を上げている世界なのだが、その辺が描けていない。あと、有名NPCリストと同じで、シンプルにスキルの代替にしてしまうと、発明品の出番を削りかねないという問題も内在している。

One Night Show

 次に勢いのまま作成したのは『One Night Show』。
 『バイオレンス』や『サタスペ』系列の、チンピラが暴力を振るうゲームだ。最初の着想では『ホットライン・マイアミ』が想定にあって、本作が暴力の裏側にあるナイーブさの部分に焦点を当てているのは、あの作品の超現実的なストーリーを表現しようとしていた模索の結果だったりする。

作成の動機:コンテンツ警告(あと普段のBGM)

 ガサツな人間なので、ルールの冒頭にあれこれと警告を入れたりするのが苦手なのだ。何が人の逆鱗に触れ、トラウマを呼び起こすかの想像力が欠如しているのだ。
 だけど、『Breathless』SRDは警告文が冒頭に書いてあるので、それをそのままコピーすればガサツ人間にも繊細なものが作れる。そして、であれば警告の必要になるような「過激な」作品も作れるな、と思ったのだった。
 もちろん、その時たまたま「Hydrogen」をリピートしまくっていたから、というのも大きな理由だけれども。

特徴:テキストライティング

 今回、なんといっても頑張ったのはテキストで雰囲気を作ることだ。
 読者に馴れ馴れしい口をきき、PCをロクデナシと罵り、過激で低俗な世界の雰囲気を文章上で表現する。ルールはそれ自体が読み物でもあり、ゲームの舞台の入口でもあるわけだから、このルールの文体が敬語やです・ます調であっていいワケがないのである。

未練:戦闘ルールのデザイン

 「戦闘ルールのないTRPGは存在しない」とは、『墜落世界』に記された、その殺伐さを示す伝説的なテキストであるが、実際のところ『Breathless』には戦闘ルールに類するものが存在しない。(『墜落世界』を好むような人間の価値観はそういうものだ、という偽悪的な振る舞いだ。今回のライティングの精神的な模範でもあった)
 今回はとにかく大量殺戮をするゲームなので、「出目の数だけ人が死ぬ」という雑なシステムになった。
 構造として間違っているとも思わないのだが、巷の『Breathless』ベースのシステムにおいて、標準的な戦闘システムの実装とはどういうものなのだろう、というのは今も気になっている。『D&D』的なトラディショナルな戦闘級TRPG風のルールだとしたら今回のシステムには使えないのだけれど、あるいは世界観そのものの見直しも行ったかもしれない。
 戦闘がほかのアクションより重要な世界を実装するのに『Breathless』を使用するべきではない、と言われればまったく否定はできないのだけれども。

今回できなかったこと

 本当は「キャンペーン展開」に記載したような、枠組みを逸脱する展開について、もう少し記載を詳細にしたかった。といっても、シナリオを書きたいという話ではなくて、なんで「シティ」がこんな酷い場所なのかとか、黒幕の連中は何者なのかとかについて、複数のともすれば矛盾するような可能性を提示したかったのだ。
 もっとも、その辺は蛇足ではないかという気もする。

Strange Fellows

 『Strange Fellows』は、ドラえもんとかの「居候もの」再現TRPGだ。
 ジャンル的には『ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー』辺りが近いが、あれはジュブナイル・ホラーのラインなので、またちょっと違う路線だ。『RPG福袋』の「超☆少年時代」のほうが近いかしら。

作成の動機:さようなら、ドラえもん

 『ドラえもん』の有名エピソードに「さようなら、ドラえもん」というのがあります。「ぼく一人の力で君に勝たないと、ドラえもんが安心して未来に帰れないんだ!」というアレです。
 アレをTRPGでやりたいな、と思ったわけです。

特徴:キッズ&フェロー

 今時のナウなヤングに流行のバディ要素だ。嘘。『ウィッチクエスト』のほうを想像してしまう。子供と奇妙な居候の二人一組を、どのように差をつけるかということを考えたワケです。
 子供にとって、ドラえもんのひみつ道具は、スタントに比類するものだよな、と考えたら、あのような構造に。そしてツール(ひみつ道具)は受け渡しできて、子供の知恵よりずっと便利、という。
 いや、ここで今時じゃない感じのバディものになったのは、この後に作るものに影響するんだな、これが。

できなかったこと

 アイデア先行で、実装力の面でちょっと色々と不出来だったかなあ、と正直思う。かなり反省。

Bloodless: the Vampire

 現代社会に潜んでいる吸血鬼になって、平穏な日々を送ろうとするゲーム。
 このジャンルは金字塔である『Vampire: The Masquerade』を筆頭に、怪物ごった煮系のゲームのなかの吸血鬼、を含むと滅法多いわけなのだけれども、その辺とどう差別化する、ということが意識にありまして。

作成の動機:「一息つく」の特徴化

 『Breathless』は「一息つく」というルールが特徴的なのに、今まで作ったモノはそこに無頓着だった(ダイスの消耗の部分にばかり関心が向かっていた)。
 そこで「一息つく」ことに特徴を持つゲームにしよう、というボトムアップ・デザインとして出てきたのが「一息つく代わりに、血を吸う吸血鬼TRPG」だったわけである。

特徴:陰謀に焦点を当てない

 このジャンルの先行作であり金字塔である『Vampire: The Masquerade』は、サブプロットが重くてそっちにばかりプレイヤーの興味が向かいがち、という有名な話があって。
 確かに吸血鬼は「社会性の怪物」なので、そういうの得意な怪物であるべきなんだけど、ひたすら陰謀と策略の話ばっかり追いかけてると、それはそれで「吸血鬼って血を吸う怪物なんじゃないの!?」という気持ちが出てくるワケです。

 なので、陰謀は「陰謀の影」というマクガフィン(PCたちに吸血鬼ムーブさせるための、具体的な内容が決まっていないもの)にしてしまって、人間らしさと血を吸う怪物としての獣性、という本質に焦点を当ててみたのは、地味に会心のアイデアだったかな、と思っている。
 何かが「ない」というのは、なかなか気付きにくいことなので、自画自賛するのです。

特徴:凡例のライティング

 判定や各種ルールの処理について、凡例をできるだけ記載した。
 後述するとおり、ルールが微妙に複雑というか、いらん凝り方をしているので、その軽減を目的としていたわけです。まあ、そもそもルール自体をちゃんと軽くしろ、という話ではある。

未練:ルールの軽量化

 本当はもっとルールを軽くして、ひたすら「血を吸う」ことに焦点を当てるべきだった、とは思っている。
 セッション中の進行とか、もっと単純に「判定をする」だけでいいようにしたかったのだが、うまいことスマートにならんかった。なんなら判定自体がいらなかったのかもしれない。
 ただまあ、「血を吸う怪物」の怪物っぽさを発揮する場面も欲しいわけで、そこの兼ね合いがウマくできればよかったなあとは思っている。

 肝心の「血を吸う」処理もデータ的なやりとりが多くて、ちょっと耽美ってる気持ちの部分を邪魔してしまっている気がする。

殺戮人形は踊らない

「少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ」
 ガンをスリングするガールと、その管理官によるバディ・エスピオナージTRPG。別に『GUNSLINGER GIRL』のTRPGってワケではなくて、世界観というかジャンル的にそれ、という話。

作成の動機:朱の孤塔のエアゲトラム

 かつて『アドバンスト・ウィザードリィRPG』でプレイヤー1人にPC2人で遊ぶルールを見た時、あまりキレイではないな、と思ったのです。
 その後、登場人物間の関係性をゲームリソースにするTRPG(『天羅万象』『ダブルクロス』etc.)で、自分の設定だけで完結する人とかがいて困ったものだなあと思ったりもしたのです。

 で、『朱の孤塔のエアゲトラム』で蒙を啓かれたのです。
 個々のPCは閉じた関係だけど、参加者同士ではゲームに参加しているプレイヤーの方が多いので孤立感がない。プレイヤーが2人のPCを担当しているけど、どちらかといえば「一方のPCの重要NPCを担当する」ニュアンスに近く、むしろ自己設定で完結することへのアンチテーゼですらある!
 というわけで、あの形式のバディものTRPGを作りたいな、というのが発想の起点になったわけです。

 あと、ちょうど『リコリス・リコイル』とかあったので、この線で行こう、となった。

特徴:戦闘ルールのデザイン

 『Breathless』ベースで作っていると、戦闘ルールをどうしよう(戦闘を別途ルール化するべきか、という判断も含めて)というのは、どうしても出てくるワケです。
 今回は、1回成功したら1ヒット、という形で実装してみた。判定システムとの兼ね合いで「何度も行動すること自体がコスト」「ランクが下がれば別スキルで攻撃する必要が出てくる」という辺りで、『Breathless』に乗せる戦闘ルールとして「らしい」形にできたかな、とも思う。

 あと、「一息つく」とダメージがドカっと増えるのは、『13th Age』のエスカレーション・ダイとか、『デッドラインヒーローズRPG』のデッドライン辺りが想定にあったのだけれど、その線ならラウンド経過のほうでダメージを増やすべきだったかしらねえ。

特徴:シナリオの用意

 セッションの構造は用意したものの、クラフト化するのは無理だなあと思ったので、基本シナリオ的なものを準備するという力技でレギュレーションに対応することにした。

未練:シャドウ・トーク

 元々、手元で書いているときは、ルールの各所に『SHADOWRUN』めいたシャドウ・トークが記載されていたのだ。
 管理官や殺戮人形、あるいは制圧されるテロリスト側の人間など、各種関係者たちが記述にさまざまなツッコミを挟み込むことで、世界設定を匂わせるためのものだ。

 で、TALTOって本文に差し挟むシャドウ・トークにちょうどいい修飾がなかったのですよね。斜体はないし、注釈だと「灰色背景の囲み文」なのでちょっとニュアンス変わっちゃうし。
 ということで、なくなくカットしたわけです。かなりテキストライティング的には変わってしまったのが悔やまれるのです。

Soulless: the Flatliner

 フランケンシュタインの怪物が実在した世界で、死体から復活した「蘇生者」になって記憶を取り戻そうとするエモ系の線を狙ったTRPG。
 多分、『屍者の帝国』と『エンバーミング』が一番大きなイメージソース。あと『スティール・ボール・ラン』。あとアンデッドの能力をパーツ単位で云々するのは『永い後日談のネクロニカ』的でもあって。

作成の動機:聖人の遺体

 『スティール・ボール・ラン』の「聖人の遺体」というモチーフがいいな、と思っているのです。もっと「聖人の遺体」であることに焦点を当てて伝奇的な色合いを濃くした作品はないものか、と思ったのです。
 そこから「伝説の義体を争奪するサイバーパンク世界」とか色々発展案を考えて、最終的に「ゾンビのいる世界で、PCは聖人の遺体を組み込んだゾンビになる」というアイデアになりまして。
 そういえば『エンバーミング』はジョン=ドゥがフランケンシュタインの怪物そのものだったなとか、『上海退魔行』ではフランケンシュタインの怪物をアダム・カドモン扱いしてたなとかが混じり、19世紀のオルタナヒストリー世界にしよう……あれ、これは『屍者の帝国』では? とか色々。

 で、であればPCのスキルは「肉体のパーツ」だよな、ということで斯様になり。分類としては『特命転攻生』の能力値の方がベースだけれども。
 あと「聖人の遺体」の影響力、とかを考えていったら、肉体に記憶が宿るみたいなオカルトの線(オカルトではないけど『ブラック・ジャック』の「春一番」の印象も大きい)を追求していくのもいいな、とか。

特徴:各要素の紐づけ

 パーツ・メモリ・依頼を「属性」によって串刺しにされ、それぞれが紐付けられている。
 とにかく、各要素が紐づいた形になっている。これを窮屈と取られるのか、あるいは各要素を管理する「ドメイン」がはっきりする長所と受け取ってもらえるのか。
 個人的にはこの種の「キレイな」仕組みが好きなのだが、往々にしてプレイしやすさを犠牲にしていることがあるからなあ。

特徴:世界の真実

 セッション構造通りにプレイしていれば進行できるオートセッション形式ではあるが、着想が「聖人の遺体」にあるように、本当はもっと死体蘇生技術にまつわる話をやりたいのである。
 なので、シナリオフックの部分を色々と書いていた。本当はもっと派手な色々を書きたかったが、マンパワーが足りなかった。

Brightless: the Fireblingers

 ちょっとタイムオーバー気味に放り込んだ、最後の作品。
 「人の世界に火をもたらす文化英雄」の話。
 ファイアブリンガーズというネーミングは、グローランサのライトブリンガーズに起因するのだけれど、あれがどちらかといえば火を持ち帰る英雄の話をベースにしていそうな気がするので、先祖返りではなかろうか?
 あとファイアブリンガーというと、『サガ スカーレット グレイス』なんかもございますわね。

作成の動機1:できるだけ元の通りに作る

 できるだけ『Breathless』のルールからの改変や逸脱なしに、文芸力(テキストが醸し出す設定や雰囲気)だけで、ちょっと違う感じにアレンジできないか、ということにチャレンジをしたかった。
 個人的に『オートマタは薔薇を夢みる』が、そんなに逸脱がないのに、「劇場都市グラン=ギニョル」とか「スキルが全部芸術系なのに戦闘もそれで堂々とやっちゃう」とかが、あまりに美しく世界を作り上げているので、そういうスタイルをやりたいな、と思ったのです。
(個人的に今回のジャムで一番「刺さった」作品です)

作成の動機2:ミルボーン系の枠組みで実装する

 今回のジャムの性質上、セッション構造そのもので遊べる形になっていることを指向しがちなので(記載を見ても、サンプルシナリオ添付でも全然問題ないはずなんだけども)、その類例として『ミルボーン』のスタイルを活かした形がないかな、と思っていたのです。
 もしかしたら『モンスターメーカー』って言った方が通りがいい気もするけれども、とにかくあの「カードで進行度を表していくスタイル」でどうにかならんかな、と考えたのです。
 であれば、シンプルに「行きて帰りし物語」がいいだろうと思ったし、それに合致するテンプレートとして、丁度いいモチーフだな、と思ったのです。

特徴:スキル名

 今回、神話的な雰囲気を醸し出すために、ちょっと変なスキル名にしたりした。
 本当は完全にオリジナルな世界にしてしまって、どういう神格なのか書いた方がいいのかなあとか、いろいろと悩んだりしたが、時間的な問題もあるのでああいう形でまとまった。

 ここに各神格のイメージを書けば、以下のような感じ。

  • 軍神:この世界の主神。軍神とあるが、単純に「神々で一番強い」ぐらいのニュアンス。ギリシャ神話のゼウス辺りのイメージであり、実は天空神を想定している。雷霆にせよ太陽にせよ「火」の管理者であり、なのでこのゲームの探索行において最重要の神格になる。

  • 狩神:狩猟神はギリシャ神話のアルテミスとか、北欧神話のウルとかいるけど、それらの神々のイメージというよりは、大地母神と海神の代行者であり次世代、というイメージ。本質的には天空神の対抗者(の子供)。

  • 冥神:冥府の神は数いるが、魔法使いとしての性質はギリシャ神話のヘカテーのニュアンス。あと死の神ではないけど北欧神話のオーディン。太陽に対する月、天空に対する地の底。主神と並び得るものという意味では、エジプト神話のオシリスっぽいイメージもある。

  • 愛神:愛と美の女神は数いるが、「軍勢の指揮」が加護に入っている辺りは、シュメール神話のイナンナ/メソポタミア神話のイシュタルの系譜であることを強く意識している。豊穣神でもある。

  • 賢神:知恵の神。元々はギリシャ神話のアテナのイメージなんだけど、戦の神というニュアンスはない。これは純粋にゲーム的なバランスとしての割り振りで、なので長老的な感じかしら。

  • 商神:商人たちの守り神。言わずもがな、ギリシャ神話のヘルメスが根底にあり、またその系譜であるトリックスターたちでもあり。

特徴:手がかりと発見

 今回のジャムではあまり見ない構造だったのだけれど、既存の『Breathless』の中には、5以上で成功したら「アスペクト」を獲得するという形になっているルールがしばしばあって。(余談:この「アスペクト」をどう訳せばいいのか、というのが未だによくわかっていない。局面、とかかなあ。地の利とか甲冑にヒビを入れたとかそういう話よね?)
 たとえば、それは「アイテムめいた使い切りの判定要素」として出てきたりして、判定要素が増えるのは『Breathless』の仕組み的にとても心強いわけです。

 で、今回はそれに近い形で「カードを1枚手札に加える」形にしてみたのです。カードという形式のランダマイザとしての特徴を活かすスタイルでもありますので。
 んで、それを「手がかり」としてひとまとめにして、「別ルートを発見」するのも「アイテムを発見」するのも同じ「手がかり」でできるのだ、という形にまとめたのを、個人的にはスマートなんじゃないかな、と自画自賛しているのです。
 数字の高い/低いで使い道がある(もちろん、どっちも高いに越したことはないのだが、低い方はアイテムにした方が得しやすい)点も気に入っているのです。
 元々の戦利品判定、ちょっとなんとも野暮ったい感じがあるので。

特徴:「一息つく」のアクシデント発生率

 とてもシンプルな部分なのだけれど、「火」を盗った前後でアクシデント発生率が変わるのが、分かりやすく神々の態度が見えるのでいいんじゃないかな、と思っています。

特徴:俺に任せて先に行け

 カード周りのセッション運営システムのなかで、一番特徴的な要素。
 あんまり特殊な処理を入れるのもよくないのだけれど、シンプルかつ状況が想像しやすく、また切り札としての効果が大きいので、これは入れてもいいんじゃないかな、と思ったのです。

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