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メモ:ブレイドスピナー

■本テキストおよびゲームの概要

 これは二足歩行ロボ戦TRPG『ブレイドスピナー』の作成メモだ。
 『ブレイドスピナー』は荒廃した近未来を舞台に、陸戦ロボに登場する傭兵となり、さまざまなロボ戦ミッションに挑むTRPGだ。マップを使わないシンプルなルールで、常に動き回りながら戦う地上のドッグファイトを表現することを目的としている。

■ゲームの舞台

 全面戦争で荒廃した地球。生き残った都市はアーコロジー化して繁栄しているが、それ以外の領域は荒野が広がっている。そして、都市間は資源を巡る抗争状態にあり、外部の武装勢力を利用して互いの資源を奪い合うためのさまざまな作戦を仕掛けている。
 あなたは「外部の武装勢力」にあたる傭兵(あるいは賞金稼ぎ)だ。武装した二足歩行メカ「スピナー」に乗り、依頼人の提示したミッションをこなしていく。ミッションは主に以下のようなものがある。

  • 都市が擁する大型拠点への攻撃/大型拠点の防衛

  • 物資や重要人物の輸送任務/輸送部隊の襲撃

  • 賞金首ハント(チーム戦、競争、生存か生死不明か)

  • スピナー同士の戦闘興行への参戦と勝利

  • 都市圏から見放された小集落の護衛/襲撃

  • 廃棄された都市の探索(旧時代の遺物の回収)

◆スピナーについて

 全面戦争時代に、高機動化した装甲戦闘車両(AFV)に随伴できる高機動歩兵の装備として作られた二足歩行メカ。分類上はパワードスーツ(強化装甲服)の一種、あるいは重機。サイズはおよそ10m前後で、個人で操作できる兵器としては最高級の性能と自動車並の整備性を誇る。
 スピナーの名は、脚部に標準装備された走行補助用のホイールに由来するとも、最初に雛型機を開発した軍のコードネーム(「歩行」メカの名前としては皮肉なユーモアだ)に由来するとも言われる。

 いわゆる戦闘ロボとしては「空は飛ばない」「ビームは出さない」「町工場レベルの設備で整備できる」という辺りをイメージしている。『ボトムズ』『ダグラム』の線に近いが、装甲が金属ではなく強化CFRPで作られていたりして、ビジュアル的にはもう少しモダンな感じ。

■キャラクターの作成

 あなたは二足歩行メカ「スピナー」を駆る傭兵だ。
 キャラクターの作成では、あなたの乗るスピナーと、あなた自身の人となりを設定する。

◆スピナーの作成

 スピナーは「フレーム」と「追加武装」の組合せで構成される。あなたは最初に「フレーム」を選び、続けて空きスロットに搭載する「追加武装」を選ぶ。
 あなたは自分のスピナーに愛称をつけたり、カラーリングやマーキングを施してもいい。

▼基本フレームの選択
 フレームは「スピナー」の元型となる骨組みのことだ。選択したフレームで、以下のデータが決定する。(データ省略)
 予定:キャノン背負った重装砲撃型、ガトリング特化軽装射撃型、最高速重視のブレード型高速格闘、加速重視のパイル型強襲格闘、高機動型メタのミサイルキャリアー、ドローン銃座(ファンネル)持ち。

  • 【装甲値】耐久力、HP。0になると行動不能になる。

  • 【機動力】スピナーの速度を決める要素。【加速】と【最速】がある。

    • 【加速】加速力、出力。毎ラウンド得られる【機動力】。

    • 【最速】最高速度。【機動力】の最大値。

  • 内蔵武装:基本的に3つの武装が内蔵武装として設定される。

    • 《0:セントリーガン》攻撃の機会を最低保証する武装。

    • 《1:ブースター》サイコロ追加で2個振る。クリティカル。

    • 《6:バックパック》メカの個性が強く出る武装。

▼追加武装の選択
 スピナーの武装はサイコロの出目に対応した「0~6」のスロットに搭載されている。フレームには「0」「1」「6」のスロットに内蔵武装が搭載されており、空きスロットの「2~5」に追加武装を搭載できる。
 「2~3」は手持ちの重火器、「4~5」は腕部にマウントした武装というイメージを想定している。武装は基本的に以下のデータを持つ。(データ省略)

  • 【命中】回避の目標値。(攻撃側は命中判定を行なわない)

  • 【連射】1回の攻撃でヒットする回数。

  • 【火力】命中した時に【装甲値】を減らす値。攻撃力。

  • 副次効果:以下は一例である。

    • 《2:ショットガン》命中した時にさらに【機動力】を失う。

    • 《2:ライフル》ダメージの代わりに武装を破壊できる。

    • 《4:スラスター》攻撃しないが【機動力】が即時回復する。

  • 代償:以下は一例である。

    • 《4:ブレード》攻撃時に【機動力】を消費する。

    • 《4:ミサイル》弾数制限がある。

◆キャラクターの作成

 あなたのキャラクター(PC)は、以下の3つのデータで構成される。
 その後、あなたは自分の名前などを決めてもいい。

  • 【戦意】戦闘中、1度の行動で攻撃できる回数。基本的に初期値は1。

  • ライフパス:表を参照することでこの世界らしい人物になる。(表省略)

    • 出自:どのような環境で生まれたか。両親や血筋。

    • 境遇:どのような環境で育ったか。

    • 転機:なぜ傭兵(賞金稼ぎ)になったのか。

    • 目標:今、何のために戦っているのか。

  • 〈カルマ〉:宿縁、絆、運命の出会い。表から1つだけ選ぶ。

    • 生き別れの妹、妻子を殺した仇、背中を預ける戦友など。

    • 設定している〈カルマ〉の数が【戦意】の現在値になる。

■オープニングフェイズ

 プレイヤーが「キャラクターの作成」を行ない、GMがシナリオを準備したら、ゲーム(セッション)を開始できるようになる。筆記用具、サイコロなどを準備して、セッションを開始しよう。
 セッションは「GM:PCの置かれている状況を説明する」「プレイヤー:PCが状況に対してどう行動するか」「GM:PCの行動で状況がどう変わったか説明する」の繰返しで進行する。

 オープニングフェイズは、以下を行なうことが目的となる。目的を達成したらメインフェイズに移行する。
 もっともシンプルなのは「依頼人に一室に集められ、任務の説明を受けるシーン」から始まる導入だろう。「酒場に集まった傭兵が、賞金首を追うために手を組む」導入は、仲間同士の掛け合いがある分だけ豊潤になる。各々に仇敵や守るべき者がいて、それぞれ個別に導入シーンを演出するようなシナリオは、とてもドラマチックなものになるだろう。

  • ミッション(シナリオで行う戦闘の概要)の提示

  • クエスト(PCの使命、目的)の提示

  • シナリオ〈カルマ〉の提示

◆ミッションの提示

 このゲームはメカ戦TRPGなので、メカ同士での戦闘がクライマックスに設定されている。
 このメカ戦の概要が「ミッション」だ。具体的な勝利条件ではなく、たとえば「列車強盗からの鉄道護衛任務」や「街に隠れてる賞金首のハント(生死不問)」といった大枠を提示するのだ。
 これはプレイヤーに提示するものであり、必ずしもPCが知っている必要はない。敵指揮官が部下に作戦を説明しているシーンをカットバックで挿入して「これを阻止するが今回のミッションです」と説明してもいい。

◆クエストの提示

 ミッションがプレイヤーがゲーム的に達成するべき目的だとすれば、クエストはPCがドラマ的に達成するべき目的だ。
 基本的にミッションの達成とクエストの達成は同じ方向性であるべきだ。ミッションが「拠点防衛戦」なら、クエストは「拠点に暮らす子供を守る」といった具合だ。

▼ミッションと矛盾するクエスト
 ミッションとの両立が難しいクエストを提示すると、「敵部隊殲滅のために、花売りの少女がいる貧民街区画を犠牲にするのか?」といった興味深いドラマを提示できる。
 ただし、本来クエストはPC/プレイヤーの動機付けのためにある。ミッションとクエストが矛盾する状況は「あえて難しい選択を選ぶPCの格好良さ」を楽しむためのものだ。
 正解がない選択肢を前に葛藤を楽しむような遊び方は、「どちらのクエストを選ぶ?」のような形で提示するのがいいだろう。セッションにおけるゴール自体は矛盾するべきではない。

◆シナリオ〈カルマ〉の提示

 そのシナリオでPCが出会う〈カルマ〉を提示する。敵の指揮官や、作戦の中心人物との間に〈カルマ〉があると、そのPCの「当事者性が高い」シナリオになる。
 もし、そうしたドラマチックな展開を望まないなら、依頼人や賞金首といった無機質なNPCや、隣の席のPCを〈カルマ〉として提示すればいい。

▼【戦意】の上昇
 設定している〈カルマ〉の数が、【戦意】の現在値になる。シナリオ〈カルマ〉を設定すると、PCの【戦意】は2になる想定である。

■メインフェイズ

 PCがミッションの渦中に飛び込み、戦いに参加するまで。「オープニングからクライマックスの間」以外にメインフェイズを規定する要素がないため、シナリオによって多様な展開を持つ。
 メインフェイズが「防衛拠点に襲来する敵集団を高台から見下ろすシーン」1つだけのシナリオもあるだろう。一方でメインフェイズで「スパイ映画のような大ボリュームの冒険活劇を繰り広げる」シナリオもあるだろう。

 メインフェイズは、以下を行なうことが目的となる。Cトリガーを達成したらクライマックスフェイズに移行する。

  • Cトリガー(クライマックスフェイズに移行する条件)の提示

  • Cトリガー達成のためのアクションの解決

◆Cトリガーの提示

 クライマックスフェイズに移行する条件を提示する。
 前述の「防衛拠点に襲来する敵集団を高台から見下ろすシーン」1つだけのシナリオであれば自動的に満たされるだろうが、「スパイ映画のような大ボリュームの冒険活劇を繰り広げる」シナリオでは条件も困難なものになるだろう。

▼複数のCトリガー
 Cトリガーには「調査で戦力を暴いた敵に攻撃を仕掛ける」能動的な条件から、「十分な準備ができないまま戦闘に巻き込まれる」受動的な条件まで、さまざまなものが存在する。
 どのCトリガーでクライマックスフェイズに移行したかにより、戦闘の状況設定も変わってくるべきだろう。

 一番分かりやすく(そしてプレイヤーの行動に左右されない)条件はタイムリミットだ。どのようなシナリオでも、保険として「予定時間を経過した」条件によるCトリガーを設定するといいだろう。

◆Cトリガー達成のためのアクションの解決

 Cトリガーの条件によっては、PCが能動的に動いて諜報活動や交渉を行わなければならない。
 「アクションの解決」も基本は「状況説明→状況に対するリアクション→行動により変化した状況の説明」の繰返しだが、行動の結果をサイコロを振って決めることができる。このルールのことを「行為判定」と呼ぶ。

 行為判定は「成功・失敗が明らかな行動」や「Cトリガーの達成と関係ない行動」に対して行為判定を行なうべきではない。

▼行為判定の手順
 GMはそのアクションの難易度(簡単:1/普通:3/困難:5)を決める。シナリオに難易度が記載されているなら、その難易度を提示する。迷った場合「普通」と宣言するといい。
 プレイヤーはサイコロを1個振り、出目を確認する。出目が難易度以下ならアクションは失敗。難易度を超えていたなら成功だ。

▼行為判定と〈カルマ〉
 プレイヤーは行為判定のサイコロを振る前に、このアクションが自身の〈カルマ〉に関係していることを演出できる。(例:「この情報を〈花売りの少女〉に聞き込みするよ」)
 演出したなら、サイコロを2個振って任意のサイコロを選べる。難易度が「普通」のアクションで、サイコロの出目が「2」と「4」なら、「4」を選んでアクションに成功できる。

▼行為判定と難易度
 難易度「簡単」は、しばしば「成功が明らかな場合」と近似である。つまり、行為判定を行なわせるべきでない場合が多い。
 それでも「簡単」な行為判定を行なわせる意義があるのは、「プレイヤーのアイデアで難易度が下がった場合」「PC全員に行わせる/行動を複数回の判定に分割する場合」だ。
 前者は判定自体を省略してもいいが「アイデア出したお陰で成功した」という体験が積極的な提案につながる。後者は複数回の判定によって実成功率が下がるため、十分な意義がある。

 難易度「普通」は、アクションが自身の〈カルマ〉に関係していることを演出したときの成功率の上昇幅が大きいため、プレイヤーの演出面の工夫を引き出すのに適している。
 また、このルールにより解決するべき問題に対して当事者性の高いPCが積極的に取り組むことを推奨することもできる。
(伝統的なTRPGでは、当事者性による補正よりもスタッツの差の影響が大きい場合が多く、ヒロインの個人的事情を幼馴染みのPCよりも無関係な探偵が調べた方がいい状況がしばしば発生した)

 難易度「困難」は、難易度「簡単」と同じ問題を擁する。つまり、しばしば「失敗が明らかな場合」と近似である。言外に「行動方針を見直し、難易度の下がる方法を探せ」というメッセージが込められた難易度だ。
 ただし、チャレンジ可能である以上、言外のメッセージも絶対的な抑止力とはならない。また、もしも無謀なチャレンジが成功したなら、セッションは大きく盛り上がるだろう。
 より実践的な難易度「困難」は、受動的な行為判定(例:爆発に巻き込まれた状況で咄嗟に身を守れるか)において、問答無用でペナルティを負わせるより少しだけフェアな感じを演出する場合だろう。

▼行為判定の成功と失敗
 行為判定は出目によって「成功/失敗」するが、そもそも「成功/失敗」とは何か? ルールはその具体的な内容を規定しないが、実践的にはアンチパターン(不適切な解決策)があり、注意しなければならない。

 失敗時のアンチパターンは「状況が停滞する」ことだ。「成果は無くても状況は進展する」べきだし、より望ましいのは「新しいトラブルを招く」パターンだ。
 たとえば「敵が潜んでいる隠れ家を探す」なら、失敗した時は「見つからない」よりも「見つけた時にはもぬけの殻だった」の方がよい。「隠れ家探しが敵にバレで、追手を差し向けられた」なら、問題解決からは遠ざかるが状況はより賑やかになるだろう。
 「状況が停滞する」ような結果を演出してしまった場合、停滞した→時間が経過した、と言葉を付け足すといい。Cトリガーにタイムリミットが設定されているなら、停滞を「状況が悪化(=変化)する」として表現できる。

 成功時のアンチパターンは「成功しても(失敗した場合と比べて)達成感がない」ことだ。
 これは「成功/失敗」に十分なリワード(報酬)/ペナルティ(損害)が伴わないことで発生する問題だ。なので成功時の内容そのものよりも、リワード/ペナルティの設定で解決するべき問題だ。

◆リワードとペナルティ

 セッション中の行動により、PCは有形・無形の報酬(リワード)を得たり、損害(ペナルティ)を受ける。
 行為判定の結果(成功すればリワード、失敗すればペナルティ)や、状況に対する選択の結果(基本的に両方リワードであるのが望ましい)を、具体的なゲーム上のデータに反映するための要素だ。

▼リワードについて
 行動の結果とリワードは関連しているのが望ましい。
 「敵兵器の弱点を調べた」ならリワードで「弱点の設定に沿って敵が弱体化」するべきだし、「敵の雇った傭兵を離反させた」ならリワードで「取り巻きのスピナーの数が減る/質が下がる」べきだ。

 ただし、リワードを関連付けるのが難しい行動もある。「黒幕のスキャンダルを暴いた」はメカのデータに反映しにくいし、「ヒロインと一夜を過ごした」は戦局にはまったく関係しない。
 こうした場合、無難で汎用的なリワードとして「戦う理由:1シナリオに1回、ラウンド中【戦意】を+1する」を推奨する。敵データの内容に関わらず使えるし、PCの気持ちの問題だからだ。

▼ペナルティについて
 行動の結果とペナルティを関連付けられるなら、その方が望ましい。
 「敵兵器の輸送情報を事前に察知できなかった」なら「敵の攻撃が強化される」だろうし、「敵の望んだ戦場で戦う」なら「地形による不利を受ける」だろう。

 伝統的なTRPGにおいて、ワンダリングモンスターと戦ったり、ワナにかかった場合の、もっとも普遍的なペナルティは「HPダメージ」である。ただし、このゲームのPCにHPはないし、スピナーの【装甲値】は冒険者のHPほどお手軽に減らして納得できるものでもない。というわけで汎用的なペナルティを設定するのは難しい。
 データのような有形の要素にあまりに多くのペナルティを与えると、結果的に「勝てない戦闘」にもなり得るので、「防衛拠点が半壊した」「知り合いが爆撃で死んだ」などの実体がないものが望ましいだろう。

◆メインフェイズ中の戦闘

 メインフェイズ中にスピナーに搭乗しての戦闘が発生する場合、クライマックスフェイズのような詳細な戦闘ルールを適用するべきではない。
 基本的には「アクションの解決」のルールに沿って処理するべきだ。

 ただ、この時スピナーのデータを活かしたアクションのアイデアを積極的に促すといい。データに書かれている情報が採用されることで、十分に戦闘らしさ(あるいはメカを操縦している感じ)を演出できる。
 また、失敗した場合にペナルティとして【装甲値】を減らすのも良い。ペナルティについての項では否定的に書いたアイデアだが、実際スピナーに乗っている状況においては十分に納得できるものだろう。

◆メインフェイズと〈カルマ〉

 GMは登場したキャラクターに対して、PCが〈カルマ〉を設定することが許可できる。
 PCの設定している〈カルマ〉の数は、そのまま【戦意】の現在値になる。追加で〈カルマ〉の設定を許可することは、PCをより強くすることを意味する。
 この許可は「より強力な敵と戦うシナリオでバランスを取るため」「当事者性の高い主人公的PCの主人公性を引き立たせるため」「困難な選択やチャレンジに対する最上級のリワードとして」などの、明確な理由をもって行うべきである。

■クライマックスフェイズ

 敵メカとの激しい戦闘は、メカ戦TRPGの華だ。
 ガトリングから銃弾を吐き出し、高速機動でブレードを叩き込み、敵を撃ち倒す快楽のためにこのゲームは存在する。

 クライマックスフェイズは「ラウンド」という抽象時間単位でゲームを進行する。これは「各戦闘ユニットが1回行動するまで」の時間で、具体的な時間として処理する必要がある場合、10秒から1分程度として扱う。
 勝利条件、または敗北条件を満たすとエンディングフェイズに移行する。

◆ラウンド開始プロセス

 ラウンド開始時、各戦闘ユニットは以下の処理を行なう。
 処理を行なったら「行動順決定プロセス」に移行する。

  • 【戦意】の上昇

  • 【機動力】の回復

▼【戦意】の上昇
 PCの【戦意】は「〈カルマ〉の数+経過ラウンド数」になる。経過したラウンド数なので、1ラウンド目の「経過ラウンド数」は「0」になることに注意。
 敵の【戦意】は固定値である。

▼【機動力】の回復
 PCの【機動力】は、第1ラウンド開始時は【最速】÷2(端数切捨)になる。その後、毎ラウンドの開始時に【加速】点回復(最大で【最速】点まで)する。
 敵の【機動力】も同様のルールで回復する。

◆行動順決定プロセス

 「ラウンド開始プロセス」が終了したら、行動済みでない各戦闘ユニットの【機動力】を比べる。【機動力】が一番高いユニットから「行動解決プロセス」を行なう。
 【機動力】が同じだった場合、PCが敵より優先される。PC同士、敵同士だった場合はプレイヤー(GM)同士で任意に順番を決める。

 全員が行動済みになったら、「ラウンド終了プロセス」に移行する。

◆行動解決プロセス

 「行動解決プロセス」を行なう戦闘ユニットは、敵1体に対して攻撃を行なうことができる。攻撃された側は回避または防御を選び、命中したらダメージの処理を行なう。
 これらが終わったら「行動解決プロセス」は完了し、攻撃したユニットは行動済みになる。

 ふたたび「行動順決定ステップ」に移行する。

▼攻撃ステップ
 【戦意】個のサイコロを振り、それぞれの出目を確認する。出目に応じたスピナーの武装を、出目の回数だけ使用して攻撃できる。攻撃に使用する武装の順番は攻撃する側が決められる。
 たとえば、サイコロを3個振って「3、3、5」と出た場合、スピナーの「3」に搭載した武装で2回、「5」に搭載した武装で1回攻撃できる。
 この時、任意の武装による攻撃をキャンセルできる。キャンセルした出目は「0」扱いになる。(スピナーには《0:セントリーガン》が搭載されており、最低限の攻撃回数を保証してくれる)

 武装1つにつき【連射】の数だけ攻撃が成功する。【連射】3の武装で1回攻撃した場合、攻撃が3回成功する。
 また、攻撃時に相手より【機動力】が高いなら、武装の【命中】を+1扱いできる。(機動性を活かして優位な位置取りから攻撃しているため、相手は攻撃を回避しにくい)

▼防御ステップ:回避
 攻撃に対して【機動力】を消費して回避にチャレンジできる。
 サイコロを1個振り、出目を確認する。出目が【命中】以下なら攻撃は命中。【命中】を超えていたなら回避成功だ。
 攻撃が命中した回数だけダメージを受ける。

 回避にチャレンジするたびに、成否に関わらず【機動力】を1点失う。
 【機動力】が0点の場合、回避にチャレンジできない。

▼防御ステップ:防御
 攻撃に対して防御に徹することができる。
 攻撃は自動的に命中するが、搭載している武装に「防御時にダメージ軽減」効果がある場合、ダメージを軽減できる。

▼ダメージステップ
 回避に失敗/防御したなら、攻撃の【火力】点だけ【装甲値】にダメージを受ける。
 ダメージを受けて【装甲値】が0以下になると、そのメカは行動不能になり、戦闘から除外される。

◆ラウンド終了ステップ

 ラウンド終了時、各戦闘ユニットは行動済みから未行動になる。

 勝利条件/敗北条件を満たしているか確認し、満たしている場合はエンディングフェイズに移行する。
 まだ満たしていないなら、ラウンド開始ステップに戻る。

◆〈カルマ〉の昇華

 〈カルマ〉毎に1シナリオに1回まで「カルマの昇華」ができる。
 サイコロを振った直後に、〈カルマ〉への想いを演出することで、出目を任意の値に変更できる。

◆特殊:大型拠点の挙動について

 しばしばボスとして登場する「大型拠点」はスピナーのような機動兵器とは異なる挙動を取る。
 基本的な方向性として【機動力】がないために攻撃は素通しであること、代わりに「被攻撃時に反撃する武装を持つ」こと、ラウンド開始時に宣言して終了時に条件を満たしている敵に強力な攻撃を浴びせる「大型武装」を持つことがある。

◆特殊:戦闘中の非戦闘行動

 敵の要塞にある穴に潜り込む、敵の防空弾幕を潜り抜けて味方ヘリを護送する、などの戦闘中に発生する攻撃と回避以外のアクションについては、基本的に「アクションの解決」のルールに殉じる。

■エンディングフェイズ

 クライマックスフェイズで勝利/敗北条件を満たすことで、エンディングフェイズに移行する。
 セッションは続いているが、ゲームは完了したとも言える。このフェイズはドラマ的にも、ゲーム的にも後片付けを行なうものだ。

 クライマックスフェイズの戦闘の結果に応じて、状況がオープニングフェイズと比べてどう変わったかを描く。PCがその状況の変化にどれほど貢献したかを、PCの〈カルマ〉に絡めて演出すると、ドラマ的に綺麗だ。

 その後、シナリオで得たリワード、カルマをすべて消去する。この際、PC作成時に得たカルマと、シナリオ中に得たカルマを置き換えても良い。ただし、カルマの数は変わらない。
 また、武装の弾数、装甲値を回復する。但し、キャンペーンなどで続きもののシナリオを行ない、消耗状態を反映したいという場合は例外となる。この場合、事前にそのような処理を行うことを宣言しておくべきだろう。(クリンナップ)

◆キャラクターの成長

 基本的にキャラクターは成長しない。
 考慮中:〈カルマ〉を増やすルール、金を得て武装を買うルール(金のかかる武装と初期作成武装の性能差、そもそも初期作成時に金を使うルールにするか?)

■メモ:スピナーデータ案1

フレーム:ヴェロシティ(軽量・最高速重視型)
【装甲値】20
【機動力】加速:2/最高速:12
武装
《0:セントリーガン》命中:1、連射:1、火力:1
《1:ブースター》攻撃の代わりにサイコロを2個振り足す。
《2:ガトリング》命中:1、連射:4、火力:2
《3:ガトリング》命中:1、連射:4、火力:2
《4:ブレード》命中:3、連射:1、火力:2+機動力、機動力4点消費
《5:プラズマボム》命中:1、連射:1、火力:20、弾数:1
《6:バルカンシステム》攻撃の代わりに出目を「2・3」にする。

 最高速重視の軽量機にガトリング×2で相手に回避を強いて機動力を削ぎ、機動力の優位を維持することをコンセプトにしたスピナー。バックパックは「手持ち火器の攻撃を補助するスマートリンク用システム」という設定。
 ブレードは単発火力が欲しい時に高機動力を活かして攻撃するが、加速が弱いので何度もは使えない。プラズマボムは動けなくなった相手に叩き込む。
 低HP、低加速、高最高速、連射攻撃特化のベンチマーク的存在。これを基準にバランスを取る(どうしようもなければこっちを調整する)ための1つ。

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