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「トッレートレトレトッレー」No.1

題名
「トッレートレトレトッレー」
副題
(OREOREPICHIPICHIKANIGYOZA)
 
            枕詞
嫡啇適者敵啇攴者 嫡蔵十二徳敵匿十二悪 
(啇、とは直系、直系に適うを嫡、と云う、嫡を攴(う)つを敵と云う、
嫡は十二の徳を蔵し、敵は十二の悪を匿す)

               序
  夏も冬も、いつ夏が来て、いつ冬が終わったのか、季節の境目のない、年がら年中梅雨の最中に暮らしているように、ただただ年中蒸し暑い岩牢に二人のこそ泥が、ふんどし一つで、岩床に、体を横たえて、昨日と今日、今日と明日の境目も、夜と昼の境目もない一日を過ごしていた。
 こそ泥の名前?確か以前は有った、今は二三号と二四号と呼ばれて久しく、この呼称にすっかり馴染み、そう呼ばれた方が、それが自分だと認識出来た。
  ただ今後の展開上、一々、その番号を「 」の頭に付けるのも、
「ん?」
だけで四三文字の一行分を抹消して、ページ数をいや増ししてしまう某有名作家の作品のようでは、
「何、真似してんね」
といわれても気分が悪いので、そこで、今後は、
二三号は、自分のことを「ワイ」と自称し、二四号は「ワシ」と自称して、読者の皆様に区別しやすいよう表記して参ります。(作者注:ただ、書いている本人自身が、え?どっち、なん?と思う時もありますが、そこはご忍耐とご寛容を以って、適当に想像して読んで頂けましたら幸いにござります、どっちでも大差ありません)
  なお、再び、風小僧のように出て参ります、「IAS」神教祖、あ、今回はロマンスをメインテーマにしたいと考えております関係上、「IAS」神を、「AI」神、即ち「愛」の神に名を換えて、壮大な愛のストーリーを展開してまいります。で、「AI」神につきましては、「ワレ」と呼称することに予定致しております。
  全て関西弁ふうらしき会話ですが、決して場所を関西に特定する意図はなく、ただ私自身が英語に、西語に、蘭語に、仏語、露語、中文、デンマーク語に通じているものの、この国、この狭い地域に於いては、地域住民の皆さまがこの言葉にのみ慣れ親しんでいるという理由で使用しているだけですので、特に他意はありません。

  では、始めます、が、その前に読者の皆様、また当落語会にご来場の皆さまに一つご注意を、本編は決して実話に基づくものではないことを、従って登場人物、団体名、その他一切が現実に存在しないことを重々ご理解の上読んで頂けますようお願いいたします。
  こう申しますのも、前作発表後、フォルダーに溢れる程に大量のメールが、昔エライ坊さんが、唐の都から紀州の山に向けて射た矢の数の如く、あの神社は実在しないとか、そんな団体、人物、場所は存在しないとか、馬鹿げている、嘘ばっかりや、虚偽のオンパレードや、とかの文句だらけのクレームが飛び来たり、私の胸や腕に突き刺さって、暫く入院治療する羽目に陥りましたので、以後このようなことのなきよう、決して本気で読まないようお願いする次第にござります。
  また、何分、先の展開をじっくり練った上での話ではありませんので、時折り、辻褄の合わない場合、または設定が変わる場合は、勝手に前回の、当該箇所をいじくる場合もございますが、ご了承願いたく早漏。

               1,
では、はじまりはじまり、

「ん?」
「何か、聞こえへんか?」
「聞こえてるけど、どっから聞こえてるのか、何云うてんのかも判らへん、せやけど、どっかで、聞いたこと、あるような…なんか、もしかして、また、あいつ、ちゃうか?」
「似てる、な、しかし、あいつ、あの後どこへ、消えたんや?金持って逃げたんか?」
「判らん、せやけど、あいつあほそうやったんで、全部取り損ねたんちゃうか?もう、二度とあんな奴に関わらんとこよ、なあ相方さん」
「誰が相方やね、ワイももうこりごりや、あいつも、お前も」
そんな、キビシー(財津さんみたいに)云い方せんでもええと思うわ(若井こずえみどり、ふうに)

  岩牢の岩壁の間から、去年の台風の後から、ちょろちょろと水が漏れ出していたが、声はその穴の奥から、耳をくっつけて聞いてみると、確かに浸みだす水音に混じって、まるで地獄の底で命乞いして読経する亡者の声のように聞こえてくる、
(長いので、読まなくていいです、筆者にも、意味解っていません)
「作善來福,作惡來災。善惡之報,終不朽失,並受二報。唯專作善,不可作惡矣」
「夫花咲無聲,雞鳴無淚。
觀代修善之者,若石峰花。作惡之者,似土山毛。匪磰因果作罪,以比無目之人履叵失之兮虎尾。甘嗜名利殺生,疑託鬼之人抱毒蛇。莫朽之號惡種。叵見之號善根。惡報遄來如水鏡。向之即現。
夸力颯被如谷響。喚之必應。現報若之,人不慎乎。此生空過,後悔無益。暫爾身詎伯存之。泛爾命孰常恃之。既入末劫,何弗仂矣。喃汎言惻,那免劫災。唯資施眾僧一搏食,於修善之福而不逢當來飢饉之災。苦賴持一日不殺戒,於行道之力而不值末劫刀兵之怨。
昔有一比丘,住山坐禪。每齋食時,拆飲施烏。烏常啄效,每日來候。比丘齋食訖後,嚼楊枝,嗽口洒手,把礫而翫。烏居籬外。時彼比丘,不瞪居烏,投礫中烏。烏頭破飛即死,死生猪,猪住其山。彼猪至於比丘室上,頹石求食,徑下中比丘而死。猪不思賊,石自來殺。無記作罪,無記報怨。何況乎發惡心殺,無彼怨報歟。殖惡之因,怨惡之果,是吾迷心。」
(日本霊異記 下巻 序文より)

「やあや、お二人さん、お元気そう?やんか、心配しててんで、あれから急に消えてしもて、ちゃんと300年も昔にバックトゥザ・カコ、出来たか、心配しててんで」
「ザ・カコ、やて、全部英語で云えや英語で、で、誰やね、あんた」
「私が誰か判ってて云うてんやろ、ほれ、私、私でんがな、元IASの教祖神、現「AI」神、昔、一緒に大仕事やりましたやん、オールザッツツギャザーで」
「ルー小柴か。ホンで、何やねん、ワイら、今、ほんの今、きめたとこやね、もうあんたと二度と付き合わへんて。悪いけど帰ってんか、ワイら今忙しいねん、明日、船乗って、八丈しかない島へ連れて行かれるて、牢番の徳蔵さんが教えてくれてん、で、その支度で、忙しいんや。あ、それ、わいの歯ブラシや、あ、こいつ、わいの石鹸も、ホンマ、盗人やな、お前」
「そない毛嫌いせんといてや。今度はほんまにエエ話持ってきてんやから」
「何がエエ話や。前は、田邉屋の薄皮饅頭で釣られたけど、今度は騙されへんで」
「そない云うやろ思うて、持ってきたがな、その田邉屋の薄皮饅頭、ほら、腹いっぱい食うて下され」
  ふと二人の足もとに、大皿に薄皮饅頭が山のように。二人はがっつく。


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