止められない夜更かし、積みあがっていく灰と吸い殻

昔から早く寝るのが嫌いだ。

昼間に満足行く一日を送ることができなければ、そのストレスから無意識に夜遅くまで起きてしまうことを「リベンジ夜更かし」というらしい。
ちょっとかわいい名前をしている。

とはいえ、眠れなくて困っているわけではない。
そこまで眠りたくないわけでもない、次の日に予定があるときは逆算して寝れるようになった。
25年唯一の成長だ。

だが、何もない日の前の夜だけは話は別だ。
それまでの全ての鬱屈をやわらかい夜風に溶かすように、僕は夜を更かしてしまう。
この世界一無駄な時間を過ごすことをもはや趣味と呼んでもいいのではないか。

短針が頂点を通り過ぎるあたりから、夜が一番深くなる時間が好きだ。
街は少しずつ喧噪を収めていき、一日で一番優しい風が吹く。

夜と朝が混じる時間が好きだ。
空が少しだけ青みがかって、そうこうしているうちに朝が来る。

朝は苦手だ、太陽が顔を出してこれから元気な一日を送らなければいけないような気がしてくる。
分厚いカーテンを閉めて必死に抵抗するが、それも気休めにしかならない。今日もそんな空しい抵抗をつづけながらまどろみを覚えるのだろう。

そんなことを、屋上でタバコに火をつけながらふと考える。
この時間が、やはり一日で一番好きだ。


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