ストリップ学園


2018年1月観劇。


1年以上前の記憶を辿ってるので、多少の記憶違いがあると思います。雰囲気で感じてください。


タイトルから既に混沌の香りが漂うと思うが、もちろんその通り。期待は裏切らず、予想を裏切るような舞台だった。ちなみに18禁だとか年齢制限はない。ただ、常識禁とは書いてあった。粋な演出。ステージも周りが360度客席になっており、本物のストリップ会場に近い構成のステージになっている。

ここで言うストリップというのは、いかにも女の人が美しく衣類を脱いでいくあのストリップのことだ。


この舞台は簡単に言うと、それぞれの事情を抱えつつも伝説のストリッパー"アゲハ"の称号を目指して奮闘する4人の女の子たちの物語。


もう一度言うがこの舞台鑑賞に年齢制限はない。と言うのも、ストリッパーの女の子役を演じるのはもれなく全員男性俳優なのだ。男性俳優が脱衣していく女の子を演じる。何だそりゃである。だがもうこの文章だけで面白味を感じられるのではないだろうか。 最初は女の子というよりはしゃいでるオネエたちに見えたが、俳優さんの力量はやはり凄く、すぐに可愛い女の子に見えてくる。(ちなみにさすがに全裸にはならない)


天真爛漫な主人公、ラン。ストリッパー家系の葉子。貧しい家庭で育った朋美。お嬢様育ちの姫華。

ストリップ学園に入学し、出会う4人の女の子。それぞれ良いキャラになっており、そしてバックグラウンドがある。が、基本的にコメディなので重めな内容でもガハハ的な勢いとお笑いの雰囲気で物語は進んでいく。

 メインはランだが、個人的には姫華もランに次ぐキーパーソンだと思った。姫華のバックグラウンドが、物語を大きく動かすことになっていく。


昔見た伝説のストリッパーが忘れられず、強い憧れからストリップ学園に入学したランは、仲間と出会い友情を深めていく。ほどなくして、ランは学校の業者として出入りしていた男と恋に落ちてしまう。(みんな狙っていた男だったが結局ランの純粋さが勝った)

順調に恋仲を深めていく傍ら、友情の方にはそこそこの波乱が訪れる。それぞれの環境や事情の違いでぶつかり合う4人。貧しい育ちの朋美は、何不自由ないお嬢様育ちである姫華に対してどうしても劣等感を抱いてしまう。自分は本当はストリップなんかやりたくない、お金が必要だから仕方なくなのに、と悲痛な本音を吐き出す朋美。ランはランで恋にかまけているし。とにかくあちらこちらで人間関係がぶつかり散らしている。なんたってみんな10代の女の子。そういう時ってあるよね。

とは言え、誰しも闇はある。姫華はお嬢様として抑圧された生活の中で、しがらみから解き放たれたい願望がストリップに繋がり、親に内緒でストリッパーを目指したいと思ったことを語る。互いの理解が深まり、亀裂が入ったと思われる友情も修復され強い絆へとなっていく。学園祭(だったかな?とにかく学園で行われる大きいイベント)に向けてストリップの腕をみんなで磨いていこうと誓い合う。

学園祭当日、モチベーションもボルテージも絶好調。清く、妖しく、美しくを円陣にて声高々に宣言し、本番に挑む4人。

それぞれソロの出番があり、姫華の出番がくる。が、事件はここで起きた。


曲に合わせて舞う姫華、服に手をかけ脱いでいくと「やめろ!!!!」と響く怒号。


皆が目を向けたその先には、姫華の父親の姿があった。

雰囲気は一転。観客もストリッパーたちも呆然。姫華はもちろんストリップどころじゃない当然。(ラップ調で)


姫華の父親はなかなかの大御所で、確か大臣とかだったかな。そんなお偉いさんである父親、娘のあられもない姿を見て激怒して帰ってしまう。トラブルになりストリップは中止。罪悪感で泣き出す姫華。気にしないでと、慰める仲間たち。美しい友情。


多分ここが物語のピークくらいの良いところなんだけど、いかんせんこの後の物語の展開がものすごくあやふや。断片的にしか覚えておらず申し訳なさの極みなのだが、どうしてもこの狂った舞台の空気感だけでも伝えたいのでふわっとした感じで引き続き記していく。


なんやかんやでランの恋人は事故で亡くなり、その悲しみを糧にランはとんでもないストリップの才能を開花させる。

そして過去の回想として伝説のストリッパーの歌唱シーンがある。ちなみにこのストリッパー(過去ver)は女性が演じている。妖艶で美しく、操り人形である自分を悲観する歌が心に刺さる。アゲハにも色々あるんだなぁと。

最終的にランの恋人の死は嘘で実は生きており、最後にしっかり再会を果たす。再会を果たすっていうか「嘘だよっ」て墓石から爽やかに飛び出てきてた。恋人の存在はランの成長の妨げになると考えた学校側の策略だったらしい。にしてもやり方がむごい。姫華も父親のことは吹っ切れ、家出して自分の力で道を歩んでいく決意をする。葉子や朋美もそれぞれの闇を乗り越え、前向きな気持ちでストリッパーを目指していく。

というところで物語は終わる。未回収のフラグも山ほどある。「え ここで終わるの?」と混乱したが、最後のお祭り騒ぎのようなダンスナンバーで「ほんとはもっとランの過去の秘密とか何か色々あるけど入りきりませんでしたーー!!でももしかしたら続編とか出たら分かるかもね!!」みたいなことをキャストさんが堂々と宣言してて、清々しいくらいに正直だったので逆に納得した。

伝説のストリッパー"アゲハ"の称号の継承者は決まらず、「俺たちの冒険はこれからだ!」的な終わり方で物語は幕を閉めた。

幕を閉めたというか、踊り狂って舞台が終わったらそのままキャスト全員出口に走っていって「お帰りはこちらになりま〜〜〜す!」とお見送り体制に入るので物理的に幕を閉めるようなエンドではなかった。



この物語の面白いところは完全に"観客参加型"であるところ。

推してるストリッパーが脱ぐところでは、観客がリボンを投げて演出を彩ることができる。(実際のストリップでも観客がリボンを投げる)    ただ、このリボン投げが意外と難しい。ロールごと飛んでるとこも何度か見たし、正直前の人やキャストに当たったらどうしようとかそんなことしか考えられなかった。

それから、舞台の途中で皆で下着を振り回す演出がある。そのため、観客は新品下着の持参を推奨される。"新品の下着持ち込み可"の舞台って何?


そして"チップ渡しタイム"。チップと称したお札のような紙を物販で購入することが出来、チップ渡しタイムや公演後に推しにチップを渡すことが出来るのだ。

チップ渡しタイムは、主要キャスト以外の男性俳優が音楽に合わせて縦横無尽に舞台を走り回り、その間に推してるキャストにチップを渡していく。客も客で、チップでネックレスを作ったり扇子を作ったりしている猛者もいた。

また、公演後には主要キャストにもチップを渡せる。私はぶっ飛びお嬢の姫華が1番好きになったので姫華に渡した。可愛かった。

余談だが、姫華役は藤原祐規さんという方で、昔友達と「この漫画のキャラ好き〜声やってる藤原祐規って人もカッコよくない?!」と一時期キャーキャーしてた相手だったので、時を経た今まさか舞台でストリッパー役しているところを観て感銘を受けることになるとは思わなんだ。



どうしても文字では伝わりにくいと思うが、本当に最初から最後までお祭り騒ぎな舞台だった。歌にダンスに芝居に、しかも少ないキャストで回しているためか序盤からみんな汗だく。あと基本的に全員テンションが高いなんてもんじゃない。本当にシラフか疑うレベル。



そんなストリップ学園、DVDも発売されている。今度イベントもやるそうだし公演から1年以上経った今でも続編のフラグが立ちまくりなので、もしまた公演があるのなら観に行ってみたい。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?