ピーターパン
ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」
2016年7月観劇。
主演は唯月ふうかちゃん。
高い歌唱力と身体能力の持ち主で、ミュージカル版デスノートではミサミサを演じたり数々のミュージカルに出演している子。
私はこの人の透き通った高音や大の大人が出すには難しい独特な歌声が大好きで、一度は生で歌を聴いてみたいと思っていたので感激した。観劇だけに、つって。
友達も本格的なミュージカルが観てみたいとのことだったので、夏休みの間のミニ旅行として行ってきました。
暑い中会場に着いたと思ったら、子供が意外と多い。ピーターパンの仮装してる子も結構いる。
というか、もはや家族連れがほとんど。そこそこ大き目の女性2人組なんて私たちくらいしか見当たらない。どっちかっていうと子供向けなのは知ってたけどそこまでガッツリ子供向けな感じなの?子供を経験した大人にも観て欲しい的な宣伝してたやん?私たち浮いてる?と動揺しつつ着席からの観劇。
物語は大体ディズニー版と同じ流れで進んで行く。
さすが何十年も続いてる舞台。セットが壮大で綺麗。小さい子役の子も上手。フライング(舞台上でワイヤーに吊るされながら飛ぶこと)も迫力がある。やってる側はもっとスピード感じてるだろうし、吊るされたまま喋ったり歌ったり大変なんだろうな〜と思った。
ピーターパン役は数年で変わるので、演じる人が変わればピーターパンの個性も変わって来る。
ふうかちゃんのピーターパンは可愛くてコミカルでよく笑う。けど結構物の分別がつく大人めな印象。
フック船長は見た目厳ついけどこの人もまた結構コミカル。そしてめちゃめちゃ踊れちゃう。あとスミー役の人は一目で分かるというか、よくこんなサイズ感の役者を見つけてきたなー!と感嘆するくらいはまり役。
数人いる海賊にも名前と個性がちゃんとある。覚えきれないけど。血の気の多いやつやオネエもいた。このオネエが個人的に気になって仕方なかった。割と男前なビジュアルなのにオネエ。素敵。
ネバーランドには迷子の少年たちも住んでる。5人くらい?迷子たちはそれぞれの色の服を着てるので覚えやすい。少年たちはみんな子役の子かなと思いながら観てたんだけどバリバリの成人女性たちが演じてた。驚愕。インテリ系キャラの黄色い子が可愛かったです。
私たちのテンションが急速沸騰したのはタイガーリリーの登場シーン。ロープか何かで颯爽と登場した。登場した後のタイガーリリーの立ち振る舞いがぶっ倒れるくらいカッコいい。シルエットもダンスもずっとカッコいい。さすが中の人が元宝塚のスターなだけある。羨望の眼差しで見惚れる私たち。インディアンたちのダンスシーンは迫力があって情熱的でサーカスみたいだった。
前半が終わり休憩時間になって、開口一番に話したのがタイガーリリーのことだったので、それくらいタイガーリリーは私たちを虜にした。
後半の幕が上がり、家族が恋しくなったウェンディたちはやっぱりお家に帰ると言いだす。まだ子供だもの。
ここが結構印象的なシーンなんだけど、というのもピーターパンって少年だから基本的に子供っぽいんだよね。だからディズニー版では「あぁそうかい好きにしろよ!勝手に帰ればいい!」みたいな感じでウェンディたちに怒っちゃうんだよね。
でも先述のとおり、ふうかちゃんピーターパンは割と大人め。帰りたがるウェンディたちに「そ、そうか…。分かった。家に、帰るといいよ…。」と強がりつつ下手くそな笑顔を見せて穏やかに振る舞う。めちゃくちゃ大人な対応。
ここはそれぞれのピーターパンの個性が出たところだなぁと。
まぁ帰れずに海賊に捕まるんですけど。
海賊たちもウェンディに「お母さん」になって欲しかったらしい。そこはピーターや迷子たちと同じ目的。ネバーランドの住人はみんな永遠に心は子供のままなんだろうか。にしてもいい大人たちまでこんな少女にそんな責務負わせなくても。
なんだかんだでピーターパン到着しウェンディたち救出。
からのフックとピーターの一騎打ち。
戦闘シーンはナイフのさばきや動きはカッコいいけど基本対象を子供としているからか、割とゆっくりめで怖くならないようにされてる。周りは野次を飛ばしてるというか、ワーワー応援してる。会場のみんなで声を出して応援するシーンもあった気がする。私たちも一応会話程度の声量で声を出してみたような。せっかく来たのだからとりあえず乗っかっていくスタイル。
余談だが、海外のミュージカルでは戦闘シーンでピーターパンは海賊の首とかしっかり致命傷を狙ってバタバタ倒していく。これが欧米クオリティ。容赦ない。
一対一の剣を交え、とどめを刺されるフック船長。
チクタクワニの演出は多分あったはずなんだけど忘れた。
無事ピーターパンは勝利を収めた。
戦いも終わり、ウェンディたちは迷子たちに感動的に見送られ、ネバーランドを去ることに。「春の大掃除には迎えに来て」みたいなことをウェンディが言ってた気がするが、ロンドンの大掃除の季節は春なのかな。そしてピーターとティンクに家まで送ってもらい帰宅。
家で待っていたパパとママ。再会を喜び合う家族。
ここで気付いたが、このママはタイガーリリーと一人二役。そしてパパはフック船長と一人二役だった。アクターの演技の幅に脱帽。人って高い技術があれば何にでもなれるのね。
そして家族同士の絆を確かめ合い、子供達は冒険の話を嬉々として話し始める…
というところまではディズニー版とほぼ同じストーリー。
ここからが衝撃のクライマックスだった。
ウェンディたちが帰宅して、家族同士キャッキャしていたら
なんと窓からネバーランドの迷子たちが転がり込んで来た。
ふぁ?!?!
普通にこっちに来ちゃってる。何かこう、ネバーランドと人間界の時間軸とか、色々大丈夫なんだろうか。色々。
驚く家族たち。当然である。そんな中、迷子たちは元気よく「僕たちもこの家の子供にしてください!!(*^▽^*)」と。
ふぁーーーー
何を言い出すのか。迷子たちは5人。そこそこの大人数。観てる私たちは内心動揺だらけである。いやこんなことある?
さすがにパパも動揺して決めあぐねてる様子。そりゃ一家の大黒柱として迷うよね。
が、そんなパパを差し置いて
「だ、大丈夫よ!このくらいの人数何とかなるわよ!ねぇ、パパ!!」
と漢気で迷子たちを迎え入れることを決意するママ。歓喜する子供たち。驚くしかないパパ。と私。
最終的にはパパも承諾して、みんなで家族になることに。圧倒的大団円。でも多少上手くいきすぎてるくらいの展開こそが、子供達の目線からしたら理想的な結末なのかもしれない。
ピーターとティンクはネバーランドへ帰るが、また会いに来ることを約束してお別れをする。
それから月日が経ち、ウェンディは子を持つ母親になった。娘を寝かしつけ、ふとピーターパンやネバーランドのことを思い出し、物思いにふけていた。
そこに再びやってきたピーターパン。再会を喜び合う2人。けどウェンディはもう大人なので空を飛ぶことは出来ない。
そこで目覚めたウェンディの娘、ジェーン。ちなみにこの娘役は、タイガーリリーとママを演じた人。まさかの一人三役。演技の幅というか演じる年齢の幅もえげつないほど広い。
今度はジェーンがネバーランドへ行くことに。ティンクの魔法にかけられ、ピーターパンと共に飛んで行くジェーンを、ウェンディは笑顔で見送る。
ここで物語は終幕。
上記でティンカーベルのことをほとんど書かなかったけど、ティンクは音と光の演出で表されてたので実体はなかった。けどもちろん役としてはちゃんと存在してました。冒頭でしっかりウェンディにヤキモチやいてたしね!キュート!
そういえばラストシーンだったかな。最後にピーターパンたち、海賊たち、インディアン、迷子たちとほぼ全キャストが舞台上に揃い、みんなで歌って踊るシーンもありました。ハッピーエンド後なのでそこではみんな仲良し。1番小さい子役に合わせてしゃがみ、優しい顔で踊る海賊の姿にほっこり。
客席にキャストが降りて来る演出もあったけど、基本的にファンサの対象は小さい子供達なので私たちはほぼスルーでした。精神年齢は多分そんなに変わらないはずなんだけどな。
舞台を観終わって5歳くらい若返った気がする。元々実質3歳児みたいなとこはあるけど。心洗われるミュージカルでした。
チケットか何かの特典で、魔法の粉が入った小さい小瓶を貰ったんだけど見つからなかった。物の管理がずさんなところは成長せず。
子供向けと侮ることなかれ、毎年変わるハイクオリティな歌にダンスに演出。圧巻。なによりふうかちゃんのピーターパンを拝むことが出来て本当に良かった。声帯交換してくれないかな。
ふうかちゃんのピーターパンはこの年がラストでした。観に行って良かった本当に。歴代でもクオリティの高いピーターパンと評される理由が身に染みて理解できた。
ちなみにこの少し後、ふうかちゃんはフライングの練習中に3メートル落下して怪我をする事故があった。フライングの高さやスピードを実際に観た身としては心配したけど、少しして「私は元気です!^^」と明るい報告をしてくれたふうかちゃん。いい子すぎて。
2019年は、吉柳咲良ちゃんが三年目のピーターパンを務めるそう。
久しぶりに観に行こうかな。
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