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人工呼吸


迫り上がっていく感情の渦 
溢れ返って呼吸が止まる
心音を聴き気道を確保 心肺蘇生
僕らは手を取り合って一つになって 
隣に立って 笑い合ってた
あなたがそれを愛と呼ぶたび
平衡知覚を僕は奪われていた

機械仕掛けの恋をして
(眠るように瞳を閉ざした)
夜空のキラキラ星に願いを掛けて言った
「どうかどうか 僕の心を抱きしめて」
≪支配されていく鼓動の色まで全てが≫
(深入りしては駄目と知ってた それでも…)

思考回路の上の台詞を指でなぞって出した吐息は
宙を漂い弾けて消えた 泡のように…
あなたの瞳の奥は誰を映すの?
僕は怖くて顔を背けた
締め付けられる胸骨の奥 
結論はまだ聞きたくない

頬を伝い落ちる星の理由を探る
(そんな瞳で見ないで)
愛してしまった
壊され砕かれ息も出来ない 
ただ僕らは今初めて「好き」と言ったんだ

迫り上がっていく感情の渦 溢れ返って呼吸が止まる
真空圧の人工呼吸 貴方が居なきゃ息もできない

愛してたのは君じゃなかった 
そんな落日…言える訳ない
わかっていたよ 貴方にとって
私の居場所は此処じゃないんだと

機械仕掛けの恋をして
夜空のキラキラ星に願いを掛けて言った
「どうか…僕の心を抱きしめて」
今僕らは一つになって

『応答確認。共鳴胴に信号を送ってください。
自動操縦の脳、思考回路上の台詞は、
ただ貴方を想うのみで構築されています。
最後の我儘です。「私の事を抱きしめて」
受け入れる準備は整っていました。
私の願いは輪のように、かの愛によって廻されて、そうして、』

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