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亜sian.h  津波古亜希

ノスタルジー

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ノスタルジー。

この作品は数年前に制作したもので、ずっと前から感じていた制作時のエネルギー消費や溶かす、という行為についての疑問、制作年数を重ねるほど当たり前と思っている手法について一度見直せないか、と取り組んだ中で生まれたものです。

工房ではずっと廃窓ガラスを砕いてまた溶かしてお皿などを作っていました。その中での制限の一つに、膨張係数の違うガラス同士は溶かし合わせられない、というものがあります。ガラスはそれぞれに膨張係数という言わば血液型の様な物をもっていて、同じ様に見える透明の窓ガラスでも溶かし合わせると割れることがあります。瓶などもそうです。色々なところから廃ガラスを集めて使用している私にとってそれは一つのネックであり、ストレスでした。

そこでまず、溶かし合わせなければならない、という自分の限定的な考えを見直してみようと思いたち形にしました。この作品では様々な廃瓶をカットしてそれぞれに穴を開けて、金属のネジを使い、組み直して花器にしています。

数年前の実験的な作品ですが、まだ完成形に完全に納得出来ておらず、頭の中にずっとあります。ですが、ここで一旦立ち止まれたことは私の今後の制作において常に新しい考えを生み出すきっかけとなっています。

またこの時まで、自分の作品の背景にあるもの、テーマやコンセプトに当たるものに名前をつけていなかったのですが、この作品に取り組むなかで
「ノスタルジー」
というワードに落とし込むことが出来ました。

いつも私自身の記憶や見てきた景色や蓄積や色々と言葉多く説明をしてきたのですが、このノスタルジーというワードで、スッと伝わる様に感じます。いつかどこかで私の作品に出会う機会がありましたら、ぜひこのワードを通してご覧いただけたら、と思います。

はじめまして

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沖縄本島南部の小さな工房でガラス制作をしています。

100mほどの短い橋でつながった奥武島という小さな島で生まれ育ち、
今もその島の対岸、橋のすぐ手前に工房を構え日々を過ごしています。

自身の工房ではキルンワークという、一度ガラス化したものを電気炉で再加熱する技法で作品を制作しており、主にパート・ド・ヴェールの置物、再生ガラスのお皿・器などです。また、知り合いの吹きガラスの工房をレンタルして吹きでコップや風鈴なども制作しています。

ものづくりの相棒

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工房は海からの柔らかい風と、半ノラのねこ達がよく通ります。
現在、主な出入りのねこは三匹。
甘えんぼにゃん、ツンデレにゃん、ツンのみにゃん、の3タイプ。
時に癒やしを、そして大いに邪魔を仕掛けて来ます。
席を立った時によく椅子を取られるのでその攻防も一日の流れに組み込まれています。たまに手に絆創膏をしていると「ガラスのお仕事大変ですね」と言われるのですが、ほぼこの相棒とのやり取りで生まれた傷です。言い出せませんが……。

いつもダラダラと近くにいる彼らのおかげで生まれた作品もあります。
instagramの方に過去の作品があるので良かったらのぞいて見て下さい。

ハマっています

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今年に入ってから朝に30分ほどのんびりとした散歩をするようになりました。

本当は毎年年末にマラソン大会に参加していて、それに向けてジョギングをするのですが、今年はそういった大会もなくモチベーションが保てず走らなくなりました。でもゆっくり歩くお散歩は私の性に合っていて、周りの景色と、毎日のお天気と、季節ごとに変わる植物とともに時間を感じることが出来ます。その中から作品のモチーフを見つけたりもします。今までは朝が苦手な方だったのですが、散歩のおかげで目覚めるのが楽しくなってきました。散歩のコースは毎日決めずに、家を出て「よし!今日は右!」みたいな感じでスタートします。毎日通学で通っていた道もあの頃と視点が変わって新しい発見がありそれも楽しいです。

あしたはどっちに行くかなー。