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転職先=大工は案外悪くないぞ

「お前はぶきっちょだから、継がないで良い」

手先の器用な兄と比べると、はるかに不器用な私が大工の父と母からこう言われて育ったが。
それがいまどういう訳か、こうして大工をやっている。

はじめまして。
不器用な大工こと、鷹見と申します。

会社員として10年働いた後に大工になりました。
会社員時代は主に大学受験界隈で営業、営業企画を経験しました。

大学受験指導をしながら家を建てられる人は日本でも3人いないんじゃないだろうか?

という私が

今の会社辞めて転職したいなら、次の仕事は大工ていうのもありなんじゃない?

ということをコアコンセプトにnoteを書いてみたいと思っています。

大工の何が悪くないの?

思ったところを書き出してみます。

  • 若いというだけで優遇される

  • 約束を守るだけで他の職人と差別化できる

  • 技術はそこまで関係ない

  • 人間関係がだいぶ楽

  • そこそこ稼げる

  • 意外に休日はとれる

  • 終わりが見えない

  • 元気になった

ひとつずつ説明します。

若いというだけで優遇される

競争に勝つためには競争が少ない世界に飛び込むのは鉄則。
大工の世界は今、まさにそうなっています。

監督さんから聞いたら、いま取引してる大工がおおよそ70組。そのうちの50%以上は60代オーバーだそうです。70代もまあまあ見かけますし、80代だけど1人で家を作っている人も見かけます。

と聞くと、職人さんは歴が長い人の方が技術があって有利で、大工歴10年程度の若造では叶わなそうなメージですよね?
意外とそうでもないんです。

まず、大工の仕事は最初に「雨仕舞い」と言う窓サッシの取り付けや破風という雨除けを取り付ける仕事があります。
これらは足場、つまり不安定な場所で作業します。60を超えると膝、肩、腰などが痛くて足場に上がりたくない、という人が多くなります。

すると、雨仕舞い専門の大工さんに依頼することになるのですが、雨仕舞い大工さんの数はけして多くないですので、順番待ち=ハウスメーカーからすれば、家を建てる回転率が上がらないわけです。

また、戸建てには3階建てもあるわけですが、1〜3階の登り降りがキツい、ということで3階をやりたくないという人も多くなります。

そしてそして、地域によっては準防火地域と言いまして、通常の石膏ボードよりも重たいボードを使わないといけない現場もあります。
はい、当然こういった現場もやりたくないわけです。

ということで、若い=どの現場にも入れる大工さんというのは大変重宝されながらも、技術力のある先輩大工さんとは競合しにくいので、技術が無いから仕事が無い、ということも起きにくいのです。

約束を守るだけで他の職人と差別化できる

これができるだけで、とてつもなく重宝されます。
たとえば、会社で働いていれば「この仕事、来週の水曜までにやって」と言われることは日常茶飯事だと思います。

当然大工の世界でも「いつまでに終わるか」(木完と言います)ということは言われるのですが、これを願望ベースで約束する人がとてつもなく多いんです。

大工さんの仕事が終わってもその後に壁紙を張る人・キッチンを作る人・電気配線をする人、ブロック塀を立てる人、など多くの人が関わります。
その工程を管理している監督からすれば「〇日までに終わる詐欺」をされると後の工程にも大ダメージを受けます。

ということで、自分の力量を把握して、その通りに行動できるだけで監督は負担が一つ減るので重宝がられるのです。

技術はそこまで関係ない

いまの戸建てはパターンがありますから、「どうやって作るの?」となることはほぼないです。
それで言えばこの世界は加点方式ではなく減点方式だと思っています。

いつかどこかで説明出来ればと思うのですが「正しく測って、正しく切る」がそこそこできれば、とりあえず一人で仕事はできます。むしろ、本当の修行は一人になってから始まりますから早いうちに「正しく測って、正しく切る」状態になれた方が良い。その状態からの方が学ぶことが多いです。

そして「正しく測って、正しく切る」は才能とか手先の器用さではなく、努力で習得できる内容です。

だとすると、腕も大事なのですが、ハウスメーカーからすれば意思疎通がちゃんと取れることの方が非常に重要なのです。

人間関係がだいぶ楽

大工の仕事は基本的に一人でやるので、人間関係で悩むことはほぼないです。
もちろん、癖のある監督さんや大工さんもいますが、会社員の時と比べれば関わる頻度が圧倒的に低いので「この人に嫌われたらもうこの会社で生きて行けない」的なプレッシャーは感じません。

あと、大工さんに関して言えば年配の人が圧倒的に多いので、細かいことを気にしないでいてくれるのもありがたいです。

意外に休日を取れる

私は月間22日労働と決めていまして、お盆と年末年始も各3日程度は休みます。
なので、年間で107日”分”は休んでいることになります。
ただ、これを他の大工さんに話すと「そんなの職人じゃねぇ、職人の休みは日曜だけだ」という人もいますが、そんな言葉も気にしないで良い世界なので、やっぱり人間関係がだいぶ楽ですね。

あと個人的に大きかったのは、要するに月間で22日で働けば良いので、たとえば妻が体調崩して子供の幼稚園の送り迎えをその日の朝に誰にも言わずに決めることが出来るのは結構良かったりします。もちろん、どうしてもだめな日もありますが、振り替えはかなりしやすいです。

妻が二人目の子どもを妊娠していた時は仕事のペースを抑えて働くこともできたのでかなり助かりました。

107日”分”としたのはそういう理由です。送り迎えをして仕事をしなかった分は別の日に仕事をして帳消しにする、というのも自分で決められますし。

そこそこ稼げる

たとえば私の家は妻と子供2人の4人家族ですが、妻がなんとか専業主婦でいられるくらいにはお金は入ってきます。
ここは関心がある人も多いと思うので、別の機会に詳しく。

というのと、自分の現場を早く終わらせればそれが収入になるので、副業に力を入れるよりは本業に時間をかけた方が稼げたりします。

終わりが見えない

個人的に、この世界は加点方式ではなく減点方式と言いましたが、この仕事で90/100点をとるのは、とてつもないほど難しいです。
そういう意味で自分の技量が成熟されるのがいつなのか予想がつかない、だから長期間打ち込める仕事だと思います。

元気になった

会社員の時は平熱が35.5度だったんですが、いまは36.6度です。
会社員のころは季節に1回風邪を引いていましたが、最後に風邪になったのがいつなのか思い出せないくらい健康です。

あと何を食べても太らなくなりました。

どうだい?大工も悪くなさそうだろう?

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