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割れたうつわの保管と、箱詰めのコツについて

4月になり新生活が始まって、環境が大きく変わる季節です。
この時期の引越しや片付けで、大切なうつわが壊れてしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
”金継ぎ”が知られるようになり、捨てるしかなかったものが再び使えるようになることで、胸の痛みや落胆が少し軽減されますし、自分で直すという選択肢もそのうちに出てくるかもしれません。
それまで大切に保管していただければと思います。

傷むものではないので永久的に保管はできますが、傷を深めないためのポイントがいくつかあります。仕事上の経験談もありますので、よろしければお付き合いください。


保管するときの包み方

まず破片がすべて揃っているか確認します。ピースがどこかに潜り込んで行方不明になっていないか、一度組み立ててみるのも良いかもしれません。
揃っていれば、ひとつひとつ個別にティッシュやキッチンペーパーなどやわらかい紙で包みます。
ごく小さい破片は紛失防止のためファスナー付きの小袋にまとめます 。

重ねたりせず、一つづつ

そしてテープで仮止めした場合はすべて取り外します。
テープはそのままにすると劣化してべたつき、とてもはがれにくくなります。
粘着剤の跡が残ったり、薄く削げた箇所が古いテープに負けて割れてしまうこともあるので、必ず剝がしてから保管しましょう。

こうすることで破片同士がこすれず、断面がきれいな状態で保たれ、土こぼれや
ほつれがこれ以上進まないようになります。(後々修理をすることになった場合、手間節約の面でも大切です)

ひとつにまとめておく
養生テープで止めると開封が楽です

次に緩衝材などで一つにまとめておきます。
夕刊紙ほどの枚数を使ってまるまる包むとより丈夫です。
マジックで中の物を記入しておくとより分かりやすいです。

生まれ変わる日がくるまで、しばらくこのまま。。


修理先に送る

信頼できる修理先が見つかり、配送する場合は、安全に届くために詰め方にも気を配ります。

まず段ボールはなるべく厚めのものを、壁とうつわの間にクッションが入るサイズを選びます。大きな箱しかない場合、切り込みを入れてリサイズしておきます。
ピッタリし過ぎるものは避けます。
底には緩衝材を敷きます。

少しゆとりがあるサイズを

壁とうつわの間には必ずクッションを詰めていきます。
蓋を閉めた時に上部に隙間が開かないよう、高さも気を配ります。


新聞紙をプチプチに置き換えるときは多めに使うと安全です

詰めたら蓋をして持ち上げ、試しに左右に少しゆすり、中身が動かないことを確認してください。揺れるようなら緩衝材を追加します。
大きすぎると箱がつぶれやすくなりますし、箱の壁に直にうつわがあると、どこかにぶつかったときの衝撃で、中のものが割れてしまうことがあります。
依頼品を送っていただいた際、配送中に割れてしまったトラブルが過去数件ありましたが、原因のほとんが梱包不足によるものでした。
小さな傷の修繕で済むはずが、大破損になって修理を諦めざるを得ないのはとても胸が痛みます。たくさんの荷物を多くの人がかかわって捌く環境では、割れものシールの効果は絶対的なものではありません。

無事に到着したら出来上がりを楽しみに。。。。

以上、梱包から箱詰めまででした。物流量が年々増えていますので、思いがけないこともあります。できるだけ未然に防ぎたいものです。
大切にしていたうつわが再び活躍する日まで、安全に保管するための参考になれば幸いです。

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