「うるしで繕う生活道具」では、生活道具を漆で修理して日常で使い続けられる方法をご紹介しています。割れや傷を修繕する際に素材に合った手法を用い、美しさと耐久性を兼ね備えた道具に仕立て直すあれこれ。 今回は「紙」です。 芯になるもので製品の呼び名が変わる うるしは液体なので形にするには塗るためのベースが必要です。そして芯になるもので形や名称が変わります。 一番馴染み深いのは挽物、指物、刳物のような木地が芯になる木漆器でしょうか。 言われてみればと思い出す竹などを編み上げて作
漆器が壊れたらどうする? 私自身、以前は漆器というと、お味噌汁椀は毎日使っていたものの、日常的な陶磁器に比べて「ハレの日」のイメージが強く、高価で手入れも大変そうだし、丁寧に扱えないからと、当時はあまり進んで手に取ることはありませんでした。 しかし、金継ぎができるようになり、修繕材料として漆を使うことが増えてから、漆や漆器がとても身近な存在になりました。講座では、ビギナークラスの段階から、生漆の使い道としてピクニックスプーンを拭き漆で仕立てたり、表面の傷んだ漆器の修繕方法を
金物も金継ぎ補修しています! 台所道具は丈夫なため、油断して焦げ付かせたり、空焚きしたり、錆びつかせてしまったりすることがあります。自分の不注意で傷めてしまった時の落ち込みは大きいものです。過去には、ぶつけてガラス質の釉薬が欠け、そこから錆びて水漏れを起こした琺瑯ポットを、泣く泣く処分したことが何度もありました。水道水のカルキが露出した鉄素地に浸食し、劣化が進んでしまうのです。琺瑯製品は修理を受け付けている業者が少ないため、新調するしかなかったのですが、金継ぎの材料を使って
ご縁があって「民藝 859号(2024年7月号)」に、うつわ継ぎ山鳥を掲載していただきました。 取材はインタビュー形式で、仕事を始めたきっかけや修理の際の難しいことなどをお話しています。私は日常の金継ぎ修理先として紹介いただいたのですが、この"直す、繕う"はうつわだけではなく、器物の修理に焦点が当てられおり、先に東洋古陶磁修復の「繭山晴観堂」繭山さん親子のお二人、ウィンザーチェアなど西洋木工品の修繕を手がける「Swallowdale Antiques」室田さんのお仕事が紹介さ
雨、雨、雨梅雨の頃は雨で外出が億劫になったり、湿気で悩まされたり、カビ対策だったりetc…..。予報でも「さあ、いよいよ梅雨ですね!」とにこやかに語られることはほぼ見たことがなく、季節の中でもどちらかというと疎ましがられる立ち位置です。 谷戸地形にある自宅は、周辺の自然環境も豊かでとても過ごしやすいのですが、梅雨の季節は部屋の湿度計も90%を示す日々。。押入れ用の湿気取りは効果を発揮する前に水気に変わり、除湿機は毎日フル稼働しても箪笥の下段にしまった衣類はしっとり。 衣服や
金継ぎを習いはじめた頃、漆が定着しない場所(釉薬の上など)は、溝をつけ素地を露わにして漆や錆をつけるという説明が主流だったように記憶しています。 程なくしてガラス漆が一般化し、磁器の表面に新たに溝をつけたりしなくてもある程度強度がある装飾が可能になったり、ガラス製品の蒔絵装飾や直しができるようになりました。 これまでも幾つかお預かりし、先日も指輪の修理の返却を終えたばかりです。 教室でもガラスを持ち込まれる方が多く見受けられます。 ガラス漆は、大まかな説明ですがケイ素に反
少し前に、数年使っているドリッパーの袴部分を折ってしまいました。 金継ぎが出来るおかげで、割った時の胸の痛みは昔に比べずいぶん軽く感じます。 ご依頼も抱えているいるのであまり手をかけられず、折れたままで使えなくもないのですが、そのままではやはり痛々しいので麦漆で接着しました。 麦漆(むぎうるし)は小麦粉と漆を練った接着剤で、陶磁器を接着する際に使っている材料です。陶磁器は割れた衝撃で所々ほつれている部分が残ることが多く、ご依頼のものは錆漆という漆と砥の粉のパテで丁寧に埋
4月になり新生活が始まって、環境が大きく変わる季節です。 この時期の引越しや片付けで、大切なうつわが壊れてしまった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 ”金継ぎ”が知られるようになり、捨てるしかなかったものが再び使えるようになることで、胸の痛みや落胆が少し軽減されますし、自分で直すという選択肢もそのうちに出てくるかもしれません。 それまで大切に保管していただければと思います。 傷むものではないので永久的に保管はできますが、傷を深めないためのポイントがいくつか
金継ぎだから金? 金継ぎの請け負い仕事を始めて10年以上経ちますが、以前に比べて広く認知されるようになったと感じます。やってみたいと反応をいただいたり、割れた部分が美しく再生されているということに、海外からも注目が集まっています。 金継ぎというとやはり金を施したものというイメージが浮かびますよね ですがこのところの金属の高騰で、蒔絵用の金粉が15年前と比べて約4倍。。 小さな欠けでも、うつわの値段の何倍にもなるほど、金や銀はほんとうに高価になりました。 ご依頼で金を使っ
はじめまして noteを始めることにしました。 これまでずっと、オードリー若林さんや気になる書き手の方の記事を読むだけでしたが、自分が書く側になって発信の勉強をしようと思ったことがきっかけです。 もう成人した子供たちの育児中に、mixiで日々の出来事をブログを綴っていた感覚が思い出されて懐かしいです。 仕事は金継ぎ請け合いや、金継ぎ教室の講師をしています 普段SNSへは主に金継ぎ関係の投稿をInstagramなどに投稿しています。 HPでは教室や作品関連のお知らせなど。