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ウーリーを探せ
「ねえ、僕どこだー?」大きな声でウーリーが聞く。
「そこでしょ」
兄弟の中に埋もれたウーリーはすぐ見つかる。
「ばれたかー」キャキャッとウーリーは声を上げる。
しばらくすると少し遠くの方からウーリーの声が聞こえる。
「ねえ、僕どこだー?」
「そっちでしょ」縞模様の木々の間に顔が出ていてすぐ見つかる。
「ばれたかー」ウーリーは見つかったことがなぜか嬉しそうだ。
「ねえ、僕どこだー?」
今度は見つけられないフリをして、キョロキョロ周囲を見回す。
「あ、そこにいた」声がした先の古い木箱の中から顔を出しているウーリーを指差す。
「ばれたー」
見つけてもらえることが嬉しいんだね。
そうか、きっと気づいてほしいんだ。
自分がここにいるということを。
誰もがきっとそうなんだ。
自分に気づいてほしいんだ。
「ねえ、ばれてなかったでしょー?」
ウーリーは私の元へ寄ってきて、キャキャッと身体を弾ませ、私の周りをクルクルと回った。
※年賀状に書いている、干支をテーマにしたミニミニ小説です。
今回は亥(いのしし)がテーマです。こどもの頃は自分もかくれんぼしましたね。
見つかりたくないはずなのに、見つかったときにはちょっと嬉しい気がしていました。
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