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光あれ

薄紫のたなびく。何だろう?あれは…山?
赤く染まる夕景?
ふと足元を見る。大丈夫、足は付いている。
そうか、これは夢なのだ。
それにしても何だろう、この胸騒ぎは。

ぽよんぽよんと歩を進める度に大地が揺れる。
あの空気の沢山入った遊具のように。
ふかっとした大地に足元をとられながら、ただ私は歩いている。どこへ向かって?

そういえば…
眠りに落ちる前、私は何をしていた?
…そうだ、仕事の後、同僚と食事に行ったんだ。
クソ上司をこきおろしながら、そうそう、私たちはあの大きなスペアリブにかぶりついていたんだ。

じわり、と口の中が潤い、私はひとり笑う。
それにしても、歩きにくい。
しかし何とも心地の良い…湯船に浸かって気を失うあの直前のとろとろした感覚に似ている。
ああ…ねむい…

その刹那、強く身体が浮き上がったかと思うと、落ちる!ああっ!たすけ

「おめでとうございます!元気な女の子ですよ!」

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