2023年おすすめ新譜アルバムVol. 47： Liv.e「Girl In The Half Pearl」

新譜アルバム紹介Vol. 47です。

今回紹介するのは、テキサスのシンガーのLiv.eがリリースした「Girl In The Hald Pearl」です。

Liv.eはテキサス出身のシンガーです。

2010年代半ば頃に登場。初期はJade Fox名義で、スクリューDJやラッパーとして活動します。その後シンガー寄りの活動に移行し、2017年にはソロでのEP「FRANK」と「RAW DAYBREAKS VOL​.​1」を発表。以降は2018年のEP「Hoopdreams」や2020年のアルバム「Couldn't Wait to Tell You…」などをリリースしています。

ジャズやソウルなどにLAビートの要素を加えたようなものを軸にしたサウンドで、ソウルフルで漂うような歌声を聴かせるアーティストです。ラップやスポークンワード的なアプローチもたびたび取り入れます。単なる心地良いネオソウルではなく、どこかエッジーな印象に仕上げてくるアーティストです。

今作はさらにドラムンベースやゲーム音楽っぽい要素も取り入れ、スペイシー＆クールなムードで全体をまとめつつも尖った作品に仕上がっています。快作。

1. Gardetto.

いきなりドラムンベース風味で驚かされます。

ミニマルなシンセと疾走感のあるドラムを使ったビートを、クールな歌やラップで見事に乗りこなした好曲です。後半でのメロウなエレピが入る展開も絶妙。

3. Lake Psilocybin

MNDSGNプロデュース。

ブギーっぽいシンセに淡々としたハイハットを絡めたビートで、浮遊感のある歌声を聴かせる佳曲です。Sy Smithあたりが好きな方も是非。

6. Find Out

再びMNDSGN制作。

高音シンセやサックスを使った、明るく開かれたような印象の曲です。Liv.eの柔らかな歌声とも好相性。

11. Wild Animals

SolomonophonicとJohn Carroll Kirbyの共作。

暖かいドラムやジャジーなピアノが目立つ、ノスタルジックな曲です。グルーヴはよれ気味のブーンバップっぽい仕上がり。

12. RESET!

メロウなR&BをLAビート以降の感覚で作ったような曲。

煌びやかなシンセに繊細でいて入り組んだドラムを合わせたビートはMNDSGN作。一瞬ドラムンベースっぽいドラムパターンも入ってきます。

16. NoNewNews!!!

穏やかなメロウ曲。

優しいエレピや太く柔らかいドラムが効いた好曲です。力強いラップや重ねたコーラスの入れ方など、ヴォーカル面の多彩な表情が楽しく聴けます。

17. Glass Shadows

Liv.eの声が全編でピッチアップされた曲。

歌が声ネタのような扱いでビートに不思議な馴染み方をしています。今作の中で最もLAビートっぽさが強い曲です。プロデュースはMNDSGN。