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2021年おすすめ新譜アルバムVol. 22: Drakeo the Ruler「The Truth Hurts」

新譜アルバム紹介Vol. 22です。

今回紹介するのは、西海岸のラッパーのDrakeo the Rulerがリリースした「The Truth Hurts」です。

ジャケ

Drakeo the Rulerは西海岸出身のラッパーです。

10年代前半に登場し、13年にはミックステープ「Nervous Music」を発表。その後14年のミックステープ「Mr. Mosely」を挟み、15年にはMustard(当時はDJ Mustard)のシングル「Mr. Get Dough」に客演し注目を集めます。同年にはミックステープ「I Am Mr. Mosely」を発表。以降も16年の「 I Am Mr. Mosely 2」や17年の「Cold Devil」などミックステープの発表を重ねますが、18年の逮捕から一時リリースが止まります。しかし20年に獄中からリリースしたアルバム「Thank You for Using GTL」が高い評価を獲得。さらに同年には出所し、20年のうちに「We Know The Truth」、「Because Y'all Asked」と2枚の作品をリリースします。今作の後にもRalfy the Plugとのタッグ作「A Cold Day In Hell」を発表しており、精力的に活動を行っています。

濁った声質で淡々とラップし、ヒリヒリとした緊張感を醸し出すラッパーです。サウンド的には西海岸らしいバンギンなものやトラップ、ラチェットなど。近年は現行ウェッサイ~デトロイト系のハードな音楽性です。

今作は、ラチェットを通過したバンギンなビートが中心の硬派な作品です。メロディアスなラッパーの客演をスパイスに、その緊張感の漂うラップの魅力が堪能できる傑作に仕上がっています。


1. Intro Feat. SaysoTheMac

ジメジメとしたドラムレスのファンク。

ブリブリのシンセベースとヒリついたピアノ、Gなシンセ音が印象的なビートで淡々とラップする曲です。5分越えの長めな曲ですが気になりません。


2. Too Icey

Bankroll Got Itも制作に関わった曲。

ポロポロとしたギターを使ったビートに、静かなラップの凄味が映えた良曲です。少しラテンっぽい匂いも。


3. No Apologies Feat. Damon Elbert

シリアスなピアノを使ったデトロイトっぽい空気の曲。

Drakeo the Rulerの出番は最初のヴァースのみで、フックとヴァース一つを歌心のあるラッパーのDamon Elbertに委ねています。しかし埋もれない抜群の存在感。


6. Same Order Feat. Icewear Vezzo

Ron-Ron The Producerらが手掛けたバンギン。

執拗に繰り返されるピアノとGなストリングスが響く、現行デトロイト系の曲です。Icewear Vezzoの極悪版Too $hortみたいなラップも見事。


8. Chrome Hearts Feat. Pressa

圧の強いキックや不穏なピアノが緊張感を煽る曲。

Drakeo the Rulerのオフビート気味の低音と、メロディアスな高音のPressaの全く異なる個性がうまく噛み合っています。現行ウェッサイ好きの方にはたまらないはず。


12. Dawn Toliver Feat. Don Toliver & Ketchy the Great

シリアスながらラチェット的な要素も強い曲。

ミニマルなシンセのループに手数の多いシャープな808が絡むビートの曲です。Don Toliverの妖しい歌フロウも意外なほど馴染んでいます。


13. When Thugs Cry Feat. Snap Dogg

緊張感のあるピアノが効いたデトロイトっぽい曲。

銃声のようなドラムが良いアクセントになったビートで、Snap Doggのチンピラ感のあるパワフルなラップを迎え撃つ好曲です。ハードな良さ。


14. Pow Right in the Kisser Feat. Ketchy the Great, Money Monk, Ralfy the Plug & Remble

2小節ごとにDrakeo the Rulerがタイトルを言う曲。

多数のラッパーが登場しますが、やはりDrakeo the Rulerの存在感が際立っています。妖しいシンセとピアノをループしたビートも良いです。


15. Tear the Club Up Feat. Ketchy the Great & Ralfy the Plug

「Pow Right in the Kisser」と似た構成の曲。

こちらは若干哀愁が漂うビートで、Drakeo the Rulerの濁った声が悲しげに響きます。Gなシンセも鳴っています。


16. Talk to Me Feat. Drake

透明感のあるメロウ路線。

Drakeはフックでの歌のみに徹しており、ナヨ声でDrakeo the Rulerにはない味をプラスしています。意外なほど好相性。今作のハイライトの一つです。

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