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2023年おすすめ新譜アルバムVol. 55: Mistah F.A.B.「March Motion」

新譜アルバム紹介Vol. 55です。

今回紹介するのは、ベイのラッパーのMistah F.A.B.がリリースした「March Motion」です。

Mistah F.A.B.はベイ出身のラッパーです。

2000年代前半に登場。2002年には1stアルバム「Nig-Latin」をリリースし、その後も2005年の「Son of a Pimp」や2007年の「Da Baydestrian」などアルバムリリースを重ねていきます。以降もアルバムやミックステープ、タッグ作などを膨大にリリース。客演でもDJ ShadowやSnoop Dogg、Kamaiyahなど多くのアーティストの作品に参加しています。今年に入ってからも複数枚の作品をリリース。精力的に活動を続ける多作なアーティストです。

低めの声質で落ち着いたフロウも聴かせますが、フリーキーなラップを得意としています。オフビート気味のフロウも使うスキルフルなラッパーです。サウンドはハイフィやGファンク、ラチェットやブーンバップなど。

今作はGファンクやラチェットなど、現行ベイGマナーに沿った曲が中心の作品です。ベイ好きの方にはたまらないと思います。


1. You From Cali (feat. The Game, $cuba Sleeze & Yung Semi)

トークボックスをサンプリングした爽やかなメロウ。

ダーティな低音や鋭いスネアロールなど現代っぽい要素もありますが、基本的にはGな匂いが濃厚です。The Gameの力強いラップとも好相性。


2. Dead Homies (feat. G Perico)

L Finguzプロデュース。

シンプルなピアノループと弾けるようなドラムが効いた、ストレートなバンギンです。フックでは例の高音シンセも聞こえてきます。


3. Bands With Somebody (feat. Sada Baby & Tyler Reese)

いかにもSada Babyがやりそうなバウンシーな曲。

共にフリーキーなラップが持ち味の強力タッグです。フックでのMistah F.A.B.のヘタウマな歌もキャッチー。


5. On The Unda (feat. Larry June)

Larry Juneに合わせたような曲。

ブリブリのベースに例の高音シンセ、現行トラップ的な808を絡めたメロウ路線です。Larry Juneの歌フックに悶絶必至。


6. Back Up Back Up (feat. Yung Semi)

ナヨ声シンガーのYung Semiがフックを歌うメロウ。

落ち着いたエレピをループしたビートはベイのGらしいものですが、プラグっぽくも聴けます。Mistah F.A.B.の抑え目ながら仄かにフリーキーなラップも見事。


9. IDEK

現行ベイらしいハードな曲。

冷たいピアノとブヨブヨのベースが効いた早めのビートで、余裕たっぷりにラップする好曲です。タイトル連呼系。


10. Who Want It

Three 6 Mafiaオマージュ的な曲。

2000年代の南部ヒップホップ作品に入っていそうなシンプルなビートで、フックではコール&レスポンス的なアプローチを聴かせるクランクです。Gangsta Boo追悼ラインもあり。


11. Old Skool (feat. Chevy)

現行ベイGマナーの中にハイフィが香る曲。

跳ねるようなピアノやドラム、例の高音シンセを使ったバウンシーな曲です。Chevyのラップもベイらしい良さ。

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