2024年おすすめ新譜アルバムVol. 23: Eric Bellinger「The Rebirth 3: The Party & The Bedroom」
新譜アルバム紹介Vol. 23です。
今回紹介するのは、西海岸のシンガーのEric Bellingerがリリースした「The Rebirth 3: The Party & The Bedroom」です。
Eric Bellingerは西海岸出身のシンガーです。
2010年代前半に登場。2013年には「Born II Sing」シリーズ3部作と「Your Favorite Christmas Songs」の4枚のミックステープ、EP「In The Meantime」を発表します。2014年には1stアルバム「The Rebirth」をリリース。以降も膨大なアルバムやミックステープ、EPを発表しています。客演も多く、ラッパーやプロデューサーとのタッグ作も複数枚発表。近年では2021年と2023年にHitmakaとのタッグ作をリリースしています。
スウィートで誠実な歌声を聴かせる正統派R&Bシンガーです。ラップっぽい歯切れの良い歌い方も器用にこなし、ヒップホップ色の強い曲も自然に聴かせます。サウンド的にはトラップやR&ベース系といったメインストリーム寄りのものが中心。西海岸ヒップホップや1990~2000年代R&Bの要素の消化も巧みです。
今作はヒップホップ寄りの曲も少しありますが、基本はその甘い歌声の魅力を活かしたメロウで穏やかな路線をメインとした作品です。良作。
1-2. All For Me
Hitmakaも関わった曲。
Ciara「Promise」あたりを思わせるシンプルなドラムパターンと、浮遊感のあるシンセが効いたメロウ路線です。低速コーラスも印象的。
ヒップホップ寄りの曲では今作のベストトラック。
クールなシンセや「Boyz-N-The-Hood」ドラムを使ったメロウかつハードなビートで、Mozzyの厳ついラップと絡む佳曲です。Eric Bellingerヴァースでのファルセットが美味。
1-4. Drop (with Sevyn Streeter)
ラップっぽい歌い方を聴かせるヒップホップ色強めな曲。
ボコボコした低音や細かく刻むハイハットを用いたトラップソウルです。Sevyn Streeterの早口の歌にもラップっぽいニュアンスがあります。
1-6. Don’t Play Wit It
リラックスしたトラップソウル。
ふうわりとしたシンセや808が効いたビートに、やはりラップっぽい歌い方を織り交ぜて乗った好曲です。しかし丁寧なコーラスはR&Bの味。
1-8. Body On Mine
ちょっとTimbalandっぽいノリの曲。
メロウなエレピに合わせた細かいドラムの使い方が目立つビートで、誠実な歌が沁みる良曲です。1990年代R&Bファンの方も是非。
2-2. Mutual Agreement (with Queen Naija)
艶やかなベースやギターを使った曲。
ヒップホップ的なビートではありますが、ドラムも含めてオーガニックな質感です。Queenn Naijaの甘い歌との絡みも極上。
Jazze Pha絡みの曲。
美しいピアノと控えめながら弾力のあるベース、細かく刻むハイハットが印象的なスウィートな曲です。BJRNCKのコーラスもばっちり。
2-8. D.Y.T
クールなトラップソウル路線。
1990年代R&Bを思わせる透明感のあるシンセを使ったビートで、三連フロウも交えつつR&Bマナーで歌い上げた好曲です。時折ある音の抜きが絶妙。
2-12. Anyway
メロウなエレピが沁みる哀愁曲。
手数の多い808や逆再生っぽい音使いも取り入れていますが、味付けとしてはかなり抑え気味の印象です。歌自体の魅力が光る佳曲。
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