2021年おすすめ新譜アルバムVol. 92: Tion Wayne「Green With Envy」
新譜アルバム紹介Vol. 92です。
今回紹介するのは、UKのラッパーのTion Wayneがリリースした「Green With Envy」です。
Tion WayneはUK出身のラッパーです。
10年代前半に登場。14年にはミックステープ「Wayne's World」を発表します。16年にはその続編「Wayne's World 2」を発表し、17年のEP「Transition」を挟み、19年には「T Wayne's World 3」を発表。今年に入ってからはシングル「Body」がヒットし、勢いに乗っている新進ラッパーです。
太く低めの声質で、歯切れ良いフロウや歌心のあるフロウを聴かせるラッパーです。サウンド的にはUKドリルやアフロスウィング、R&B的なメロウ路線など。アクセントやリズムなどにUKの要素はもちろんありますが、アメリカのヒップホップが好きな方でも自然に聴けると思います。
今作はハードなドリルもありますがメロウな曲が充実した作品です。アメリカからの客演も何人か参加しているので、あまりUKのヒップホップに馴染みがない方も是非。
哀愁漂うドリル路線。
切ない響きのギターループにグイっと迫るベース、そしてカリブの匂いがするドラムが効いた良曲です。ラップのキレも抜群。
シカゴっぽいウワモノを使ったドリル。
シリアスなストリングスやコーラスを使ったビートで、Polo Gと共にスピットするハードな曲です。Polo Gはメロディアスではないフロウを披露。
メロウで涼しげなアフロスウィング。
エレピやギターが心地良いビートに、歌心のあるマイクリレーがスムースに乗る好曲です。随所で入るサックスも印象的。
6. More Money
オートチューンも使って聴かせる哀愁メロウ曲。
ハープ(?)のループにUKらしいリズムのドラムを合わせた切ない曲です。Nelly「Ride Wit Me」を思わせるフレーズも登場。
7. West End Feat. D-Block Europe
今作のハイライトの一つ。
穏やかでメロウなアフロスウィング系のビートで、オートチューンを巧みに使った優しくメロディアスなラップが楽しめる良曲です。Young Adzが歌うフックが沁みます。
Bad BoyやMurder Inc.ものを思わせるメロウ曲。
ストリングスやピアノのループや軽めのドラムを用いたビートは、アメリカのヒップホップが好きな方も自然に楽しめると思います。RAYEの情熱的な歌もばっちり。
哀愁系アフロスウィング。
ギターループと早回しサンプリング、サックスが印象的なメロウな曲です。Afro Bが歌うレゲエっぽい匂いのするフックも切なさを引き立てます。
10. Wow
ハードなドリル路線。
コーラスを細かく刻んでダーティな低音を合わせたビートで、鬼気迫るラップを聴かせる好曲です。「ンン、ン」というフックの締め方がお気に入り。
今作のベストトラック。
シリアスな雰囲気のドリルビートに、強力なヴァースが次々と乗っていくアンセム感のある曲です。Fivio Foreignのヴァースがベスト。
12. Realest One
メロウで美しいドリル。
優しいピアノや綺麗なコーラスが、ドリルのドラムやベースに見事に馴染んでいます。Tion Wayneのキレのあるラップも素晴らしいです。
暖かくメロウなアフロスウィング。
ギターやサックスが印象的なUKマナーのビートが、6LACKのスウィートな歌と自然と調和しています。6LACKはヴァースも披露。
15. Who's True with JAE5 & Davido
T-Pain「I'm Sprung」を思わせるメロウ曲。
生っぽいピアノやオルガン、サックスが効いたアフロスウィングです。フックでのDavidoの歌とトークボックスの絡みに悶絶。
17. Road to Riches
生演奏と思しきギターやストリングス、ピアノが印象的なメロウ曲。
ポジティヴな雰囲気でUK流儀のリズムが活きたビートで、力強いラップを聴かせる好曲です。終盤でのギターソロも極上。
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