2021年おすすめ新譜アルバムVol. 16: Fat Ray「Santa Barbara」
新譜アルバム紹介Vol. 16です。
今回紹介するのは、デトロイトのラッパーのFat Rayがリリースした「Santa Barbara」です。
Fat Rayはデトロイト出身のラッパーです。
00年代前半に登場し、06年にはミックステープ「Bananas Vol 1」を発表。その後08年にはBlack Milkとのタッグ作「The Set Up」、10年にはミックステープ「The Lunch Room」を発表します。(恐らく)10年代前半にはDanny BrownのレーベルのBruiser Brigadeに加入。以降は客演メインでの活動が続きますが、18年にはアルバム「Perseus」をリリースしています。
太く低い声質で武骨なラップを聴かせるラッパーです。サウンド的にはミックステープではトラップなどにも乗っていますが、アルバムではBlack Milk周辺らしい硬質なブーンバップを中心に据えています。
今作はGriselda周辺とも共振するハードボイルドなブーンバップ系のサウンドで、荒々しさや渋味を見せるラップが堪能できる良作に仕上がっています。
今作の多くを手掛けるRaphyプロデュース。
ヨロヨロとしたサックスとヘヴィなベース、硬いドラムが印象的なブーンバップです。フックなしのシンプルな作り。
3. Menacing
イントロでのWu-Tang Clanへのシャウトアウトから鷲掴みにされます。
ビートもローファイで不気味なWu-Tang Clanっぽいもの。そこに乗るラップとの相性もばっちりです。
緊張感漂うデトロイト印のブーンバップ。
淡々としたベースとクールなエレピが効いたビートに武骨なラップが映える良曲です。フックでのMobb DeepのProdigyの声ネタも印象的。
6. Dopeman Heaven Feat. Danny Brown
Black Milkプロデュース。
今作のムードに合った不穏なブーンバップです。タイトに連打されるドラムにBlack Milkの色が出ています。Danny Brownはフリーキーさ控えめ。
10. The One
「The Shining」期のJ Dillaが作りそうな曲。
生っぽい響きのドラムと暖かい電子音を使ったビートで、しなやかなラップを聴かせる好曲です。テクノっぽいベースがユニーク。
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