2021年おすすめ新譜アルバムVol. 97: Key Glock「Yellow Tape 2」
新譜アルバム紹介Vol. 97です。
今回紹介するのは、メンフィスのラッパーのKey Glockがリリースした「Yellow Tape 2」です。
Key Glockはメンフィス出身のラッパーで、故Young DolphのレーベルのPaper Route Empireに所属しています。
10年代半ば頃に登場。16年にはミックステープ「Whole Lotta Errthang」を発表し、その後も17年の「Glock Season」や18年の「Glock Bond」などミックステープのリリースを重ねていきます。19年にはYoung Dolphとのタッグ作「Dum and Dummer」をリリース。20年には1stアルバム「Yellow Tape」とミックステープ「Son of a Gun」をリリースし、今年に入ってからも今作のほかにYoung Dolphとの二作目のタッグ作「Dum and Dummer 2」をリリースするなど精力的に活動しています。
Juicy Jからの影響を感じさせる、いかにもメンフィスっぽい匂いがするラップスタイルの持ち主です。サウンド的にはPaper Route Empire流儀のピアノやストリングスの音を多用したトラップが中心。
今作は全曲トラップで淡々とラップする曲が20曲続く、好みは分かれそうですが好きな方にはたまらない作品です。メンフィストラップ好きの方は是非。
Tay Keithプロデュース。
Drumma Boyタイプの勇壮なホーンと妖しいピアノを使った、ダークなトラップです。ハイハットの刻みの速さが変わる瞬間がお気に入り。
3. Bill Gates
今作のハイライトの一つ。
Seth The ChefとBuddah Blessの共同プロデュースで、デデデンと連打される極太ベースが強烈なビートです。アンビエントっぽくうっすらと敷かれたシンセも絶妙。
5. Juicemane
OJ Da Juicemanオマージュ。
09年頃のZaytovenっぽいシンセやオルガンが効いたビートで、裏声の「アイ!」も交えてラップした好曲です。ニヤリとさせられます。
CuBeatzとTay Keithの共作。
フルートと思しき笛の音とうっすら鳴るバンジョー(?)を使いつつ、Three 6 Mafia直系のバウンシーなドラムでメンフィスマナーに仕上げた好曲です。Key Glockのふてぶてしいラップも好相性。
8. Ya Feel Me
BandPlay制作のメンフィストラップ。
不穏なピアノやストリングスを用いたダークな曲です。Key Glockの淡々としたラップも映えています。
10. The 1
ウワモノだけならThe Alchemist作品にも通じる質感の曲。
プロデュースはBandPlayで、ホラーコア系の暗く荒廃した雰囲気の佳曲です。ガシガシとしたドラムも絶妙。
11. Quarterback
ブルージーなギターが沁みる哀愁曲。
基本はトラップ系のビートですが、サンプリングか生演奏っぽいベースやギターが効いた好曲です。クレジットにはDun Dealの名前も。
14. From The Bottom
ギター(?)の音を活かしたトラップ。
寂しげな雰囲気のウワモノにトラップ流儀のドラムを合わせたビートに、淡々とラップを乗せていく良曲です。哀愁系。
15. Luv a Thug
UGK周辺を思わせるカントリーラップ系の曲。
ドラムはしっかりとトラップですが、生演奏を落とし込んだようなギターのループが印象的な佳曲です。今作のハイライトの一つ。
20. Gangsta
Juicy Jプロデュース。
イントロの「シャタファカー!」から思わず熱くさせられますが、淡々としたピアノにバウンシーなドラムが絡むビートも本物ならではの強力なものです。今作のベストトラック。
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