2023年おすすめ新譜アルバムVol. 72: Illa J & Harleighblu「Second Record」
新譜アルバム紹介Vol. 72です。
今回紹介するのは、デトロイトのラッパー兼プロデューサーのIlla JとUKのシンガーのHarleighbluがリリースした「Second Record」です。
Illa Jはデトロイト出身のラッパー兼プロデューサーで、J Dillaの実弟としても知られています。HarleighbluはUK出身のシンガーです。
二人とも2000年代半ば頃に登場。それぞれソロ作をいくつかリリースし、2020年には初のタッグ作「Hideout」をリリースします。アルバムとしては今作が2作目。また、この後もIlla Jのシングル「Not Ever」で共演しています。
Illa Jは落ち着いたラップとゆるい歌を聴かせる、リラックスしたスタイルのラッパーです。プロデューサーとしてはPファンクやハウス、ブーンバップなどをミックスしたハイブリッドなスタイル。J Dillaっぽい匂いもありますが、それとは違う魅力も持ったアーティストです。HarleighbluはChaka KhanとErykah Baduの中間を行くようなソウルフルな歌を聴かせるシンガー。サウンド的にはネオソウルを軸にしつつも、エレクトロニックな要素も積極的に導入します。
今作はIlla Jが手掛けたファンキーで爽やかかつ少し毒気のあるサウンドで、二人のラップと歌が絡む快作に仕上がっています。
エレピが心地良いメロウ曲。
細かく刻むシェイカーやブギーっぽいシンセも効いたビートで、二人が楽しそうに歌い上げる良曲です。随所での低速化ヴォイスも良い味を出しています。
3. Resistance
Harleighblu主導でIlla Jは客演っぽく登場する曲。
基本は電子Pファンク系ですが、808の鳴りだけなら少しトラップっぽい匂いもします。A$AP Rocky風のフロウを身に付けたIlla Jのキレのあるラップが強力。
4. Infused
四つ打ちキックをサラっと使った曲。
重厚なシンセやシンプルなピアノ、軽めの808で引っ張る軽快な曲です。Illa Jのねっとりとした歌フックもばっちり。
5. Wanna Ride
ヴォコーダーを取り入れた浮遊感のある曲。
ふうわりとしたシンセにヘヴィなキック、スネアの連打を合わせたメロウな好曲です。Illa Jは歌寄りのアプローチ。
J Dilla直系のネオソウル。
ファンキーなベースの質感にIlla Jらしい味もあります。Harleighbluのソウルフルな歌いっぷりが見事。
10. Keep on Livin' (Interlude)
ブリブリのベースが目立つIlla J流Gファンク。
ブギー系の爽やかなシンセも心地良いビートで、Illa Jがたっぷりとラップする良曲です。Harleighbluはフックのみで登場。
12. Thank You
ヘヴィなシンセを鳴らす哀愁曲。
ウワモノはエレクトロニックな質感ですが、ドラムは妙にオーガニックな響きでです。後半で入ってくる生演奏っぽいシンセも印象的。
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