2023年おすすめ新譜アルバムVol. 64： Shame Gang「Better Late Than Never」

新譜アルバム紹介Vol. 64です。

今回紹介するのは、ノースカロライナのラッパーのShame Gangがリリースした「Better Late Than Never」です。

Shame Gangはメリーランド出身で現在はノースカロライナを拠点に活動するラッパーです。

2010年代前半に登場。初期はShame名義で活動し、2015年のミックステープ「The Sequence (1988)」や2018年のアルバム「Genesis 98」などをリリースします。その後Shame Gangに名義を改め、2021年にはアルバム「NO SAFE HEAVEN」をリリース。堅実にキャリアを進めている新進ラッパーです。

東海岸的なタイトさを持ったスキルフルなラッパーです。路線としてはソウルフルなブーンバップをベースにしつつ、トラップやメンフィスGっぽい要素などを取り入れたようなものを聴かせます。

今作はLittle BrotherとA$AP Rockyの中間を行くような、暖かい路線とドロッとした路線を織り交ぜた好作に仕上がっています。

1. Feel

Griseldaがやりそうなハードボイルドなブーンバップ。

シリアスなピアノループに骨太なドラムを合わせたビートに、小気味良くラップを乗せていく良曲です。低速化したアドリブも印象的。

2. Get It Started

ベースが目立つストイックな曲。

この曲もブーンバップ系ですが、やはりA$AP Rocky経由っぽい南部要素が入っており一味違う曲に仕上がっています。Wu-Tang Clanっぽい良さも。

3. Million And One (feat. DEVN & Erick Lottary)

緊張感の漂うトラップ路線。

ストリングスのループと手数の多い808が効いたビートで、キレのあるラップを聴かせる好曲です。歌心のあるフックもばっちり。

7. Ghetty Green

今作のハイライトの一つ。

タイトルからしてG好きの方ならニヤリとすると思いますが、曲も実際にメンフィスっぽい路線です。某ラッパーの声ネタやストリングスを用いたドロドロの佳曲。

11. Facts (feat. Ian Kelly & Nyannia)

メロウなトラップ系の曲。

手数の多い808と心地良いエレピを用いたビートに、歌うようなフロウも取り入れてスムースにラップを乗せた好曲です。後半ではビートスイッチでブーンバップに変化。

12. Reasons (feat. Rapper Big Pooh & Vanessa Ferguson)

Littler Brother的なソウルフル路線。

歌声のサンプリングも使ったビートで、女声シンガーのVanessa Fergusonがフックを歌う華やかな曲です。Rapper Big Poohの太いラップとも好相性。