2021年おすすめ新譜アルバムVol. 20: OMB Peezy「Too Deep For Tears」
新譜アルバム紹介Vol. 20です。
今回紹介するのは、アラバマのラッパーのOMB Peezyがリリースした「Too Deep For Tears」です。
OMB Peezyはアラバマ出身のラッパーです。
これまでの活動については以前書いたこちらを。この後は19年にソロ作「Preacher To The Streets」、20年にDrum Dummieとのタッグ作「In The Meantime」をリリースしています。
以前の記事ではBoosie Badazz系の高音でキレのあるラップと書きましたが、その後メロディアスな側面を強く打ち出すようになっていきました。サウンド面も以前はベイやルイジアナに近いと書きましたが、ベイっぽさは抜けてYoungBoy Never Broke AgainやRod Waveのようなエモーショナルなトラップが多くなってきています。
今作は、近年のOMB Peezyのモードに沿った南部色の強い哀愁メロディックトラップ作品です。歌心は増してもラップのキレは健在なので、ほかのYoungBoy Never Broke Again系とは一味違う魅力が出ています。良作。
2. The Bottom
Drum Dummieも制作に関わった哀愁曲。
ピアノやストリングスを使った切ないビートで、詰め込み気味のフロウも取り入れつつメロディアスに攻める良曲です。被せやアドリブの入れ方も絶妙。
3. Be This Way
Drum Dummieプロデュース。
ギターやピアノが効いたDrum Dummie印のソウルフルなサウンドで、歌心とキレが同居したラップが光る佳曲です。やはり名タッグ。
4. Dope Boy Feat. Rylo Rodriguez
Hitamakaらが手掛けた威圧的なトラップ路線。
ボコボコと鳴る低音とパシャパシャとしたドラム、妖しいピアノで聴かせる少しメンフィスっぽいビートの曲です。Rylo Rodriguezの低めの声質とも好相性。
6. Soul Ties
早回しの歌も取り入れた哀愁曲。
切ないピアノと重厚なシンセ、トラップ系のドラムを絡めたビートが素晴らしいです。オフビート気味に詰め込みつつメロディアスに聴かせるラップも見事。
7. I Try
寂しげなピアノを使った哀愁もの。
音数少なめのシンプルな作りで、ドラムの鳴りも優しい繊細な曲です。歌心が沁みる良曲。
9. Keep That Feat. Blac Youngsta
今作のハイライトの一つ。
スロウで美しいギターが印象的なトラップビートで、メロディアスでキレのあるラップが堪能できる名曲の雰囲気がある曲です。Blac YoungstaもOMB Peezyに合わせたような詰め込みメロディックフロウを披露。
J.R. Rotemプロデュース。
今作の中で最もポップな曲です。清涼感のあるメロウなサウンドで、Jacqueesのセクシーな歌を添えた好曲に仕上がっています。
14. Love Is Blind
Drum Dummieのタグで始まる時点で良曲を確信。
その後ポロポロとしたピアノやギター、OMB Peezyの泣きそうな歌フロウが聞こえてきて完全に悶絶させられます。ラッパーとプロデューサーのコンビネーションの妙。
16. Big Homie (Remix) Feat. King Von & Jackboy
暖かいギターが効いたエモーショナル路線。
詰め込み気味のフロウも用いつつ圧巻のラップ力で魅せるOMB Peezy、荒っぽいラップで引き込むKing Von、間の取り方と詰め方が凄いJackboyと三者三様の魅力を発揮した良曲です。全員が素晴らしいヴァースを残しています。
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