2022年おすすめ新譜アルバムVol. 91: AzChike「I.S.W.I.L.L」
新譜アルバム紹介Vol. 91です。
今回紹介するのは、西海岸のラッパーのAzChikeがリリースした「I.S.W.I.L.L」です。
AzChikeは西海岸出身のラッパーで、コレクティヴのAzCultのメンバーとしても活動しています。
2010年代半ば頃に登場。2017年にはEP「CULT UP E.P.」を発表し、その後も2018年のアルバム「My World」や2019年のアルバム「Rich & Ratchet」などの作品を数枚リリースします。2021年にはRucciとのタッグ作「Kourtesy Of Us」をリリース。今年に入ってからも今作のほか、ミックステープ「Chike Different」をリリースしています。
少し高めの声質でオフビート気味のラップを聴かせる、現行ウェッサイらしいスタイルのラッパーです。路線的には基本はラチェット経由のバンギンやメロウですが、そのマナーの中での奇怪なビートも好んで使います。
今作はハードな路線もメロウも充実した、現行ウェッサイのGセンスが詰まった快作に仕上がっています。
ブヨブヨのベースが唸るバンギン。
イントロでベースが入ってきた瞬間に持って行かれます。アクの強いラップもビートに負けず強烈。
哀愁漂うストリングスをループした曲。
手数の多いドラムはトラップ的にも聴けますが、冷徹なラップスタイルもあり現行ウェッサイマナーに仕上がっています。哀愁系ですがハード。
4. Paint Where It Ain't Feat. Bravo the Bagchaser
ラチェット経由っぽいループ感強めのGファンク。
ブリブリのベースやメロウなエレピ、例の高音シンセを使った哀愁メロウ路線です。Bravo the Bagchaserの噛みしめるようなラップも絶妙。
ナヨ声のWill IVが歌い上げるメロウ。
透明感のあるシンセやスクラッチ音が効いた爽やかな曲です。例の高音シンセも聴けるので、G好きの方にはたまらないと思います。
7. Big Vibes Feat. Chris O'Bannon
歌フックをフィーチャーした哀愁メロウ曲。
寂しげなウワモノに「Boyz-N-The-Hood」も鳴らした現行ウェッサイマナーの曲です。やるせないフックでオヤGの方はソファに泣き崩れるはず。
9. New Money
ボコボコと鳴るキックが印象的なバンギン。
冷たいピアノと手数多めなドラムが緊張感を出したビートで、絞り出すようなAzChikeのラップが光る好曲です。歌心のあるフックでのフロウもハード。
11. Mr. Snakek Feat. MoneySign Suede
硬質なオルガン(?)をループした曲。
ドラムはZapp的な弾け方をするものの、全体の質感はかなり硬く異彩を放つビートです。MoneySign Suedeの泣きそうなラップとの絡みも美味。
14. Losing Focus Feat. CRENSHAWCHEY
女声シンガーの歌フックをフィーチャー。
悲しげなウワモノを使いつつも圧の強い低音が鳴っており、柔らかではなくシリアスでハードな仕上がりです。現代のGセンス。
15. Time Went
ハードさと哀愁を同時に感じさせるメロウ路線。
繊細なドラムや浮遊感のあるシンセが寂しそうに響く中、力強さも覗かせるGなラップが堪能できる佳曲です。アウトロでの隙間のあるラップが印象的。
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