2023年おすすめ新譜アルバムVol. 105： Chlorine Mist「BL3SS3D」

新譜アルバム紹介Vol. 105です。

今回紹介するのは、ベイのプロデューサーのChlorine Mistがリリースした「BL3SS3D」です。

Chlorine Mistはベイ出身のプロデューサー、 Dylan Reznickによるソロプロジェクトです。

Dylan ReznickはプロデューサーデュオのFriendzoneのメンバーとして、2010年代前半に登場。Main AttrakionzやA$AP Rockyなどを手掛けて注目を集めます。2017年にメンバーのJames Laurenceが亡くなり、Dylan ReznickはChlorine Mistとしてソロ活動を開始。同年にはEP「"RESET" EP」をリリースします。その後はSoundCloudやBandcampでシングルを何曲か発表しています。

Friendzone時代から続く、エモーショナルで幻想的なクラウドラップ系のスタイルを軸に聴かせるプロデューサーです。アンビエントやエレクトロニカなどに接近した曲も残しています。

今作は全曲がインストですが、クラウドラップのラップ抜き的な路線が目立つヒップホップ寄りの作品です。女声シンガーの歌声のサンプリングも多用しており、Friendzoneファンの方ならたまらないと思います。

1. STARBURST

チョップしたような隙間のあるシンセを使った曲。

手数の多い808やうねるようなシンセも印象的なエモーショナル路線です。Friendzoneの音が鳴っています。

2. PS2

逆再生っぽいループが効いたエレクトロニカ的な曲。

キラキラしたシンセの響きや女声シンガーの歌声のサンプリングには、どこかJ-POPっぽい匂いも漂っています。クラウドラップ好きの方は是非。

3. DAYLIGHT

高速ハイハットが目立つインストクラウドラップ。

ここでも女声シンガーの歌声をサンプリングしており、穏やかなエレピと共にノスタルジックな空気を生み出しています。ならではの美しさ。

5. JAMIE'S PRAYER

今作のハイライトの一つ。

繊細なピアノのループにシンセを丁寧に重ねていき、エモーショナルに聴かせる佳曲です。手数の多いドラムがヒップホップ感を出しています。

9. NO REPLY

どこかゲーム音楽っぽい匂いのする曲。

美しいストリングスや重厚なシンセ、声ネタが効いた神秘的な曲です。途中のドラムの抜きが絶妙。

14. KISS HER

今作の中で最もFriendzone的な曲。

美しいピアノに手数の多い808、切なく煌めくようなシンセが絡むエモーショナルな曲です。クラウドラップ好きの方は悶絶必至。