2022年おすすめ新譜アルバムVol. 97: Kid Cudi「Entergalactic」
新譜アルバム紹介Vol. 97です。
今回紹介するのは、オハイオのラッパーのKid Cudiがリリースした「Entergalactic」です。
Kid Cudiはオハイオ出身のラッパーです。
2000年代後半に登場。2008年のミックステープ「A Kid Named Cudi」あたりから注目を集め始め、2009年にリリースした1stアルバム「Man on the Moon: The End of Day」で本格ブレイクを掴みます。2010年には2ndアルバム「Man on the Moon II: The Legend of Mr. Rager」をリリースし、その後もソロ作やKanye WestとのデュオのKids See Ghostsでリリースした2018年の「Kids See Ghosts」などをリリース。以降も客演やアニメの制作など、精力的に活動しています。
低めの声質で歌うようなゆるいフロウを聴かせるラッパーです。リリック面では早い段階で心の弱さを歌い、後進に大きな影響を与えています。サウンド的にはインディロックやエレクトロニカなどを取り入れた、クロスオーバー志向でダウナーなものが中心です。
今作は初期作品に近い、ダークで幻想的なサウンドでその歌フロウが楽しめる良作に仕上がっています。
2. New Mode
Kid CudiとDot Da Geniusの共作。
1980年代っぽい響きのシンセやノイジーなスネアが印象的な、程良い暖かさのある曲です。ほぼ歌に徹したようなKid Cudiの乗せ方もばっちり。
歪んだギターが初期Kid Cudiを思わせる曲。
ドラムの手数は多いもののトラップ感は希薄です。歌心を備えつつも歌までは行かないフロウが光る良曲。
7. Willing To Trust with Ty Dolla $ign
チョップしたようなシンセが効いたドリーミー路線。
控えめなブーンバップ系ドラムを使ったビートは初期Kid Cudiマナーですが、Ty Dolla $ignも自然と溶け込んでいます。マイクリレーというよりがっつりとした絡みが楽しめる好曲。
8. Can't Believe It Feat. 2 Chainz
テンション抑えめなトラップ風味の曲。
ミニマルなシンセや分厚い低音が印象的なビートで、メロディ成分少なめなラップを聴かせる曲です。2 Chainzのゆるいラップも良い味を出しています。
ソウルフルなネタを使った初期Kanye Westっぽい曲。
歌声ごとサンプリングしたビートは、それだけならブーンバップとして聴けます。しかし総合的にはKid Cudiの歌うようなラップの染め上げ力の勝利。
11. Can't Shake Her with Ty Dolla $ign
細かく揺れるシンセが目立つ初期Kid Cudi系の曲。
シンセの音色は華やかですがドラムもベースも骨太で、Kid Cudiのラップもテンション抑えめなので派手すぎないバランスに仕上がっています。Ty Dolla $ignのサポートも絶妙。
インディロックっぽい匂いが漂うKid Cudiらしい曲。
重厚なシンセを使ったダークかつドリーミーなビートで、歌い上げるラップの魅力が堪能できる佳曲です。ファンの方にはたまらないと思います。
14. Somewhere to Fly with Don Toliver
WondaGurlとLUCYCLUBHOUSEがプロデュース。
幻想的ながら少しニュー・ディスコっぽさもあるビートに、Kid CudiとDon Toliverのメロディセンスが光る好曲です。二人の掛け合いは今作のハイライトの一つ。
15. Burrow with Don Toliver, Steve Aoki & Dot Da Genius
Steve AokiがSteve Aokiのままいるような曲。
ワブルベースにトラップ系のドラムを合わせつつも、ハイテンションになりすぎず今作に自然と馴染んでいます。Don ToliverとKid Cudiのメロディアスでエモーショナルなスタイルとも見事な相性。
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