2024年おすすめ新譜アルバムVol. 59: The Spinners「Full Circle」
新譜アルバム紹介Vol. 59です。
今回紹介するのは、デトロイトのヴォーカルグループのThe Spinnersがリリースした「Full Circle」です。
The Spinnersはデトロイト出身のヴォーカルグループです。
1950年代半ば頃に結成。1961年には初のシングル「That's What Girls Are Made For」をリリースします。その後1965年のシングル「I'll Always Love You」などを経て、1967年には1stアルバム「The Original Spinners」を発表。以降も1970年の「2nd Time Around」や1973年の「Spinners」など、アルバムのリリースを重ねていきます。1980年代まではアルバムをハイペースで発表していましたが、1990年代には1999年作「At Their Best」の一枚のみをリリース。その後2000年代~2010年代はリリースがありませんでしたが、2021年にはアルバム「 Round the Block and Back Again」をリリースしています。
かなりキャリアの長いグループで、メンバーの入れ替わりも多いので一貫したものを挙げることは難しいですが、逆に言えば柔軟なグループです。1980年代にはエレクトロファンク的な要素も取り入れており、近年の作品ではオートチューンやトラップ的な808も導入しています。しかし、それでもトレンドど真ん中には寄り切らない、古き良きR&Bグループとしての魅力はキープし続けています。
今作は今年亡くなった最後のオリジナルメンバー、Henry Fambroughにとっての生前最後の作品です。結成70年の伝統あるグループですが、モダンなR&Bの要素もやりすぎない程度に取り入れた快作に仕上がっています。
1. After Hours
四つ打ちの軽快なファンク。
打ち込み感の強いドラムとファンキーなギター、ホーンが印象的な好曲です。濃厚な歌の絡みはグループならではの旨味。
以前Podcast「Detox Lounge」でも紹介した曲。
オートチューンのかかった歌声とトラップ的な細かいドラムを取り入れつつ、現行シーンに寄り過ぎないバランス感覚が光る良曲です。今作のハイライトの一つ。
3. Easy On Me
切ないポップ寄りの曲。
枯れたギターが印象的なビートで、誠実な歌を聴かせる哀愁曲です。フックではトラップっぽいハイハットが鳴ります。
ダンサブルなハウス路線。
カッティングギターが効いたファンキーなサウンドで、グループらしい歌の絡みを聴かせる曲です。フックでのハーモニーに悶絶必至。
6. New Level
哀愁漂うトラップソウル。
伝統的なソウルの要素と、モダンな音作りが見事に合わさった佳曲です。一瞬ラップっぽい早口の歌い方も取り入れています。
今作のベストトラック。
哀愁漂うピアノや繊細なドラムを使ったサウンドで、誠実に歌い上げるスウィートな曲です。のけ反るようなフックに完全にノックアウトされます。
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