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2021年おすすめ新譜アルバムVol. 76: IDK「USEE4YOURSELF」

新譜アルバム紹介Vol. 76です。

今回紹介するのは、メリーランドのラッパーのIDKがリリースした「USEE4YOURSELF」です。

ジャケ

IDKはUK生まれでメリーランド育ちのラッパーです。

初期はJay IDK名義で活動。14年には初のミックステープ「Sex, Drugs & Homework」を発表し、15年の「SubTrap」、16年の「Empty Bank」とミックステープの発表を重ねていきます。その後は名前をIDKに改め、17年にはIDK名義で初となるミックステープ「IWASVERYBAD」を発表。続いて18年のEP「IDK & FRIENDS :)」を挟み、19年には1stアルバム「Is He Real?」をリリースします。以降は20年に映画「Basketball County」のサウンドトラックとなる「IDK & Friends 2」のリリースや、YouTubeでのカヴァーの発表など精力的に活動しています。

Kanye Westを思わせる少し高めの声質で、多彩なフロウをスキルフルに使いこなす実力派ラッパーです。ソウルフルな歌も魅力的でシンガーとしての実力も高いです。サウンド的にはトラップやバウンス、ブーンバップなどの多彩なヒップホップの要素をミックスしたようなものを聴かせます。

今作はその多彩なアイデアが詰まったサウンドでスキルフルなラップや歌を聴かせる傑作に仕上がっています。数々のヒップホップ名曲からの引用にニヤリとさせられる瞬間も多数あり。


2. Santa Monica Blvd

痺れるような低音に圧倒されるトラップ。

とにかくダーティな音使いが強烈なビートで、三連フロウも駆使してスキルフルにラップする良曲です。21 Savageもチラっと参加。


3. Dogs Don't Lie

DJ Dahiも関わった曲。

子どものような声の歌をループし、カチッとしたドラムを合わせたブーンバップです。しかし低音の動きなど癖もたっぷり。


5. PradadaBang with Young Thug

少しエレクトロニカっぽいウワモノを使ったトラップ。

無機質なループにボコボコとした低音が絡むビートで、ルーズなフロウも交えたIDKに対して怪フロウのYoung Thugと異なる持ち味のマイクリレーが楽しめる好曲です。Young Thugの入りから持って行かれます。


6. Shoot My Shot with Offset

トラップの流れが続きます。

オーガニックな鳴りの淡々としたベースが印象的なビートの上で、Offsetのスキルフルなラップと絡む佳曲です。ゆったりとしたフロウも使って堂々とラップするIDKはOffsetに負けないスキルフルさ。


7. Red with Westside Gunn, MF DOOM & Jay Electronica

今作のベストトラック。

最初ストリングスと歌のループだけでWestside Gunnがラップし、その後IDKが登場し途中で不穏なベースが入ってきて驚かされます。さらにMike Jonesの声まで聞こえてきたと思ったら某G名曲の替え歌まで飛び出し、気付いたらトラップ的なビートでMF DOOMがラップしているカオスな曲です。IDKによる「Back That Azz Up」風のフロウも聴けます。


9. Puerto Rico with Lucky Daye

ラップではなく歌を聴かせるR&B路線。

最初はほぼメロウなエレピとコーラスのみでしっとりと歌を聴かせます。途中でトラップ系のドラムが入ってくる瞬間は素晴らしい格好良さ。Lucky Dayeのオートチューンを使った歯切れの良い歌もばっちり。


11. 10 Feet with T-Pain

ロマンティックなメロウ曲。

ルイジアナG名曲の引用を巧みに用いつつ、穏やかなエレピと優しいスナップ音で心地良く仕上げた良曲です。美しいストリングスと共にT-Painが入ってくる展開に悶絶必至。


14. Peloton

DJ KhalilとCashMoneyAP、YoungKioも関わった曲。

初っ端からUGK名曲の引用にのけぞります。洗練されたソウルフルをネタ使いのビートで、IDKのスキルフルなラップと歌が堪能できる好曲です。


15. Hey Auntie with Slick Rick

クールなエレピがどこか不穏に響く曲。

クラップや高音シンセも使ったビートは西海岸ヒップホップ的な魅力を出しています。ラストに登場するSlick Rickのスムースなラップも見事。


16. Cry in Church with Sevyn Streeter

Gの匂いがする声ネタとメロウなエレピを用いた曲。

落ち着いた穏やかなビートで、ラップと歌を巧みに使い分けるIDKのヴォーカルが堪能できる佳曲です。DMXの喋りやEminemの某曲を思わせるフレーズも飛び出し驚かされます。

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