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おすすめ旧譜アルバムVol. 92: Lil Wayne「Tha Block Is Hot」

旧譜紹介Vol. 92です。

今回紹介するのは、ルイジアナのラッパーのLil Wayneによる1999年のアルバム「Tha Block Is Hot」です。

Lil Wayneはルイジアナ出身のラッパーです。

1990年代前半に登場。B.G.とのデュオのB.G.'zを組み、1995年にはデュオでのアルバム「True Story」をリリースします。その後JuvenileとTurk(とBulletproof)も交えて新たなグループのHot Boysを結成し、1997年にはグループでの1stアルバム「Get It How U Live!」をリリース。1999年にはグループでの2ndアルバム「Guerrilla Warfare」を挟み、本作でソロとしてデビューを飾ります。以降もグループでの活動のほか、2000年の「Lights Out」や2002年の「500 Degreez」などのアルバムをリリース。2000年代半ばからは精力的なミックステープの発表と膨大なリーク・客演により、シーンのトップへと上り詰めました。

キャリア初期はまだ10代だったこともあってスタイルには変化があります。Hot Boys期のLil Wayneは「Old Weezy」、ミックステープ期のLil Wayneは「Mixtape Weezy」と呼ばれており、本作リリース時は「Old Weezy」です。この頃は高めのねめりのある声質でオフビート気味のフロウも交えた、イナタいラップスタイルを聴かせます。「Old Weezy」はサウンド的にはバウンスやメロウ、ラテン風味などを取り入れたMannie Freshの手腕が冴え渡ったもの。二人三脚の良さです。

本作はMannie Freshの奇天烈なアイデアが光る怪ビートの数々を、それに負けないくらいアクの強いラップでねじ伏せたスリリングな傑作に仕上がっています。


2. Tha Block Is Hot

客演としてはクレジットされていませんが、JuvenileとB.G.が参加。

シンプルなベースと控えめなピアノに、手数の多いドラムや唸り声(?)などを合わせた奇妙でいてストイックな曲です。フックでの三人のコンビネーションも見事。


3. Loud Pipes (feat. B.G., Big Tymers & Juvenile)

陽気なホーンをループした曲。

ニューオーリンズのブラスバンドのノリをヒップホップに落とし込んだみたいな味があります。フックを担当するJuvenileを筆頭に曲者揃いのマイクリレーですが、ラストを飾るLil Wayneのフリーキーなヴァースがベスト。


8. Fuck Tha World

本作のハイライトの一つ。

生々しいピアノとギターとベース、恐らく打ち込みですが随所で遊びを入れたドラムを使ったジャジーな味わいのある曲です。インストでも成立しそうですが、Lil Wayneは完璧に乗りこなしています。


10. Respect Us (feat. Juvenile)

ラテン風味の軽快な曲。

Juvenileがビートのメロをそのままなぞって歌うフックが楽しい良曲です。Lil Wayneのフリーキーなヴァースも流石のラップ力。


11. Drop It Like It's Hot (feat. B.G. & Mannie Fresh)

Juvenileの名曲「Back That Azz Up」と同じフレーズを使った続編的な曲。

壮大さとチープな味が同居したウワモノと808を鳴らしまくるビートで、キレキレのラップを聴かせる佳曲です。ヌルっとしたB.G.と元気の良いMannie Freshのラップも完璧。


13. Enemy Turf (feat. Juvenile)

切ないギターを使った哀愁メロウ。

ウワモノやベースは生演奏っぽい感情の籠ったものですが、ドラムの手数が物凄いことになっておりMannie Freshの奇才ぶりに圧倒されます。それをアクたっぷりに乗りこなす二人のラップも強力。


14. Not Like Me (feat. Big Tymers)

フックでPapa Reuが参加。

ここでは哀愁メロウに振り切っており、寂しげなギターにラテン風味のパーカッションを合わせた沁みる曲です。癖は控えめで比較的ストレートな良い曲。


16. Up To Me

客演として記名されていませんが、Turkがフックを担当。

The Isley Brothers風の優しく染み入るキーボードが効いた哀愁メロウ曲です。Turkのフラフラとしたフロウが見事にマッチしています。

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