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2021年おすすめ新譜アルバムVol. 69: Boldy James & The Alchemist「Bo Jackson」

新譜アルバム紹介Vol. 69です。

今回紹介するのは、デトロイトのラッパーのBoldy Jamesと西海岸のプロデューサーのThe Alchemistがリリースした「Bo Jackson」です。

ジャケ

Boldy Jamesはデトロイト出身のラッパーで(生まれはアトランタ)、The Alchemistは西海岸出身のプロデューサーです。

Boldy Jamesについては以前書いたこちらを。The Alchemistは90年代から活動を行っています。二人の初合体は恐らく13年のBoldy James名義でのミックステープ「My 1st Chemistry Set」で、同作ではThe Alchemistが全曲をプロデュース。以降もお互いの関連作に参加し合い、19年には連名でのEP「BOLDFACE EP」、20年には連名でのアルバム「The Price of Tea in China」をリリースしています。

The Alchemistはソウルやロックなどのサンプリングを用いて、マッドに仕上げた作風が得意なプロデューサーです。ブーンバップ系譜のビートが中心ですが、それだけではなく幅広いビートを聴かせます。

今作はThe Alchemistなりにデトロイト流儀を意識したような、ハードボイルドなブーンバップを軸に多彩なアイデアを詰め込んだ傑作に仕上がっています。


1. Double Hockey Sticks

二回ビートスイッチがある曲。

最初のビートはシリアスなピアノと生っぽいドラムが印象的なもので、昨年のBoldy JamesとSterling Tolesのタッグ作を踏まえたような味があります。続くビートは硬質なウワモノと圧の強いキックが効いたもの。最後はアウトロ的にソウルフルなネタ感強めなものに変わります。


3. Brickmile To Montana Feat. Benny the Butcher

ブーンバップじゃない方のデトロイトを意識したような曲。

ブヨブヨのシンセベースと妖しいオルガン(?)のループを用いたビートで、Benny the Butcherと共に三連フロウを多用してスキルフルに聴かせる曲です。今作のハイライトの一つ。


6. Photographic Memories Feat. Earl Sweatshirt & Roc Marciano

哀愁漂うソウルフル路線。

ドラムが非常に控えめなRoc Marcianoマナーの曲です。不敵なEarl Sweatshirt、鋭いキレを持つRoc Marcianoもビートに映えています。


7. Speed Trap

今作のベストトラック。

緊張感の漂うドラムループにSE的なシンセが絡む不気味な曲です。Boldy Jamesのヒリヒリとしたラップも抜群。


8. Diamond Dallas Feat. Stove God Cooks

哀愁漂うスロウなブーンバップ。

もの悲しいピアノと遠くから聞こえてくるストリングス、ドラマティックなドラムが印象的な良曲です。Stove God Cooksによる歌心のあるラップも見事。後半に入ってくる泣きのギターも素晴らしいです。


12. 3rd Person

UGKが出てきそうな哀愁曲。

咽び泣くようなギターのループを控えめなドラムで聴かせるビートに、クールなラップを乗せていく好曲です。時折入るエフェクトの使い方も巧み。


13. First 48 Freestyle

煌びやかなウワモノをダークに捻じ曲げたような曲。

早めに刻むハイハットの抜き差しの瞬間にたまらない気持ち良さがあります。Boldy Jamesの淡々としたラップもビートに映えています。

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