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2022年おすすめ新譜アルバムVol. 93: Johan Lenox「WDYWTBWYGU」

新譜アルバム紹介Vol. 93です。

今回紹介するのは、マサチューセッツのプロデューサー兼シンガーのJohan Lenoxがリリースした「WDYWTBWYGU」です。

Johan Lenoxはマサチューセッツ出身のプロデューサー兼シンガーです。

2010年代半ば頃に登場。2017年にはEP「Wilds」をリリースし、その後Kanye West関連作などに参加していきます。2019年にはミックステープ「everybody’s cool but me」をリリース。その後も2020年の「cancel the party」や2021年の「World On Fire」などミックステープのリリースを重ね、プロデューサーとしてもBROCKHAMPTONや070 Shakeなどの作品に参加しています。大物とのコラボも多く、着実にキャリアを重ねてきている新進アーティストです。

クラシックの素養を感じさせる丁寧で重厚なストリングスがトレードマークで、そこにシンセポップやトラップなどの要素を入れたユニークな作風を聴かせるプロデューサーです。シンガーとしてはPost MaloneとBon Iverの中間のような、エモーショナルでラップっぽいニュアンスも備えたスタイル。ヒップホップリスナーだけではなく、インディロックリスナーでも楽しめそうな音楽性の持ち主です。

今作はそのストリングス捌きにトラップの要素がマッドに調和した、SoundCloudラップ以降のチェンバーポップといった趣の作品です。傑作。


1. What Happening with KayCyy & Brooklyn Youth Chorus

コーラス隊を配した壮大な曲。

ドラムは現行トラップ系の手数が多い808で、そこに丁寧なストリングスが合わさって不思議なバランスでまとまっています。KayCyyのメロディアスでオフビート気味のラップも好相性。


2. ​I’m A Mess with Lancey Foux

ストリングスと808のメロディアスなヒップホップ路線。

Johan Lenoxもヴァースとフックを担当していますが、Lancey Fouxがアドリブとヴァースでかなり絡んできます。Lancey Fouxヴァースでのエフェクトも絶妙。


5. Get My Shit Together with Thouxanbanfauni

ドラムも控えめで美しいチェンバーポップ寄りの曲。

Johan Lenoxの歌が主役を張っていますが、ドラムレスの状態から入るThouxanbanfauniのダウナーなラップが強力です。音数の調整も見事。


6. ​Fuck This Town

ヒップホップ色はそこまで強くないチェンバーポップ。

ドラムもトラップというよりシンプルで控えめなもので、美しいストリングスと歌で聴かせるような曲です。後半のストリングスソロも美味。


8. ​Hitting Different

「Fuck This Town」同様、ヒップホップ色薄めの曲。

シンプルな打ち込みのドラムにドラマティックなストリングス、エモーショナルすぎない歌が光る良曲です。途中のノイジーな展開も印象的。


11. No One Gets Me with RMR

今作のベストトラック。

重厚なストリングスと遠くで鳴っているようなドラムが効いた佳曲です。ピアノと共に入るRMRのヴァースが凄まじく、出番に入ってから即持って行かれます。


15. Don't Wait For Me

ヒップホップ色薄めな哀愁系チェンバーポップ。

モコモコと処理したストリングスに抑え気味のドラムを合わせたビートで、エモーショナルでじっとりとした歌を聴かせる好曲です。ノイジーな後半の展開も沁みます。

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