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おすすめ旧譜アルバムVol. 60: Young Buck「Buck the World」

旧譜紹介Vol. 60です。

今回紹介するのは、テネシーのラッパーのYoung Buckによる07年のアルバム「Buck the World」です。

旧譜紹介

Young Buckはテネシー出身のラッパーです。

90年代から活動し、95年頃にはCash Money Recordsと契約。しかし同レーベルからリリースはなく、01年にJuvenileが同レーベルを去った際に共に離脱します。その後Juvenile率いるUTPの一員として活動し、01年のSkipのアルバム「Live From Hollygrove」などに参加。そして03年頃に50 Centと出会いG-Unitに移籍し、G-Unitの03年のアルバム「Beg for Mercy」に参加しブレイクを果たします。04年にはソロアルバム「Straight Outta Cashville」をリリース。その後T.I.やYoung Jeezyといったシーンの重要人物の作品への参加で勢いを増し、07年には本作をリリースします。以降は50 Centとの不和が生じたこともあり目立つ活動は減っていきますが、Drumma Boyとのタッグ作などミックステープは多く発表。今年に入ってからも「Vaccine」、「Back on My Buck Shit, Vol. 3」と2枚の作品をリリースしています。

2Pacの影響を感じさせる力強いラップが持ち味で、エネルギッシュなクランクも哀愁系もこなすGな魅力を持っています。サウンド的にはトラップやクランク、G-Unitらしいソウルフルな路線など。

本作は個人としての旬とG-Unitの力が良いバランスで合わさった傑作です。G-Unit色の強いハードボイルドなものやクランク、(当時の)トラップなど充実したビートで、そのラップの魅力が堪能できます。G-Unit好きの方も南部ラップ好きの方も是非。


1. Push 'Em Back

Young RJプロデュース。

テネシー流儀を意識したような催眠的なウワモノに、固めのドラムが絡むG-Unitらしさもある曲です。ド迫力のラップも脂が乗っています。


2. Say It to My Face Feat. Bun B, 8Ball & MJG

今作のハイライトの一つ。

クラシックをサンプリングしたドラマティックなトラップビートで、南部の燻し銀ラッパーが次々と登場するハードな曲です。Bun BとMJGのヴァースが素晴らしいですが、Young Buckによる連呼系フックが特に強烈。


3. Buss Yo' Head

J.U.S.T.I.C.E. League制作のソウルフル路線。

勇壮なホーンやストリングスが効いたRick Rossがやりそうな曲です。Kingpin Skinny Pimpの某曲のラインを引用したフックにニヤリ。


5. Get Buck

Polow da Donが手掛けた無骨なファンク。

Young Buckの声の大きそうなラップと、重厚なブラスががっつり噛み合った名曲です。アウトロまで完璧。


6. Buck the World Feat. Lyfe Jennings

Jake Oneプロデュース。

骨太なドラムと哀愁漂うストリングスが効いたブーンバップ系のビートで、Lyfe Jenningsがソウルフルに歌い上げる良曲です。Young Buckのラップとも好相性。


7. Slow Ya Roll Feat. Chester Bennington

Linkin ParkのChester Benningtonをフィーチャー。

しかしゴリゴリにロックに寄った曲ではなく、哀愁漂うブルージーな仕上がりです。Chester Benningtonの出すぎない使い方が絶妙。


8. Hold On Feat. 50 Cent

Dr. Dre制作のソウルフル路線。

ちょっとHi Recordsっぽいブラスに、この頃のDr. Dreらしい弾けるスネアを合わせた好曲です。パワフルなYoung Buckとゆるい50 Centの絡みもばっちり。


10. Haters Feat. Kokane

西海岸ヒップホップっぽい哀愁曲。

もの悲しいギターが目立つビートで、KokaneのPファンク直系の歌が絡む佳曲です。Young Buckの熱いラップもここでは哀愁を引き立てます。


11. U Ain't Going Nowhere Feat. LaToiya Williams

Dr. DreとMark Batsonが手掛けたメロウ路線。

ハートウォーミングなピアノやストリングスが効いたビートと、LaToiya Williamsの美声に悶絶必至な良曲です。2Pac度高めなYoung BuckのラップにもGセンスがあります。


15. 4 Kings Feat. T.I., Young Jeezy & Pimp C

「Say It to My Face」と並ぶ今作のハイライトの一つ。

Jazze Pha制作のホーンやオルガンが効いた(当時の)トラップです。旬を迎えたT.I.とYoung Jeezyのラップもキレキレ。Pimp CがBig Mike「Havin' Thangs」をまんま引用してYoung Buckと掛け合うフックも素晴らしいです。

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