2024年おすすめ新譜アルバムVol. 37: KYLE「SMYLE AGAIN」
新譜アルバム紹介Vol. 37です。
今回紹介するのは、西海岸のラッパーのKYLEがリリースした「SMYLE AGAIN」です。
KYLEは西海岸出身のラッパーです。
初期はK.i.D.名義で活動し、2010年の「Senior Year」や2011年の「Second Semester」などのミックステープを発表。その後現在KYLEに名を改め、2013年にはKYLEとしての初のミックステープ「Beautiful Loser」を発表します。2015年にはChance the Rapperも参加したミックステープ「SMYLE」をリリース。2016年にはLil Yachtyをフィーチャーしたシングル「iSpy」がヒットし、2018年にはAtlanticから1stアルバム「Light of Mine」をリリースします。その後は2020年にアルバム「See You When I Am Famous!!!!!!!!!!!!」、2022年にアルバム「It's Not So Bad」をリリース。客演でもBenny SingsやCraig Davidなど、多彩なアーティストの作品に参加しています。
力みすぎないラップと歌の二刀流の、現行マナーのラップスタイルの持ち主です。トラップやブーンバップ的なものなどヒップホップ文脈のビートにも乗りますが、ハウスやフューチャーベースなどの要素も積極的に導入するクロスオーバー志向を持っています。
今作はドラムンベースや2ステップ、ジャージークラブなどのダンスミュージック要素をふんだんに取り入れたダンサブルな作品です。涼しげなムードでまとめられたポップな良作。
1. Onceuponatimeinthe805 (Else's)
ボサノヴァっぽいギターを使ったドラムンベース。
美しいストリングスやピアノが過剰になる一歩手前の絶妙な使い方です。エディットしまくったヴォーカルも見事。
アメリカなのにUKっぽい味の曲。
浮遊感のあるシンセが目立つ2ステップ系のビートで、軽快にラップと歌を聴かせる好曲です。フックで入ってくる陽気なホーンもばっちり。
6. Somethin Bout U (feat. Teezo Touchdown)
今作のハイライトの一つ。
甘酸っぱいギターが効いたR&B色の強いトラップです。Teezo Touchdownとのメロディアスなラップの絡みが美味。
メロウなジャージークラブラップ。
早回しの声ネタに添え、「Some Cut」音もきちんと使った完全にマナーに沿った曲です。Lay Bankzのヴァースも強力。
9. Who's Taking You Home (feat. Tinashe)
今作のベストトラック。
UKガラージ系のダンサブルで清涼感のあるビートで、KYLEの歌心のあるラップとTinasheのスウィートな歌が絡む佳曲です。Sufyan Jaeの声ネタも楽しく聴けます。
13. Forever & Ever & Ever & Even After That
壮大なストリングスが目立つ曲。
ドラムンベース要素を導入したビートで、歌寄りのアプローチも織り交ぜてエモーショナルに聴かせる曲です。凝ったヴォーカルのエディットも印象的。
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