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日本×デンマーク お仕事手帳 

心理的安全性について

もう、かったるい

と、言っていたのは元日本の会社の上司。彼女の会社の採用現場では、職場の心理的安定性を指標に、企業の懐の大きさを測ってきたり、会議の中では、組織に心理的安定性がないから、大事な意見の交換ができないと部下に言われたり、と、このワードが足かせになる感じることが多いらしい。

言葉の一人あるき?

言葉の流行りは両国に共通しているらしい。日本の本屋でも、タイトル文字を大きくみたし、デンマークの職場でも、このテーマが主題となった講演会などに行っている人がいた。流行ってくるといろいろな意味で解釈されはじめ、その言葉にまつわっておこる、職場の好ましくないエピソードによって、言葉自体に嫌悪感を覚えたり、というのはよくあることなんじゃないかと思う。本来意図された、大事なメッセージからだんだん言葉だけが一人歩きしてる状態なのかもしれない。

職場の心理的安定性は誰が決めるの?

職場での心理的安定性、は定性的なものではなく、流動的なものだと思う。少なくとも、上司や同僚の転職や1年間の産休などで、常に職場の顔ぶれが変わってしまう私のデンマークの職場では、長く働いていても、その時々にいる職場の人の考え方や、働き方によって、心理的安定性は微妙に変化している気がする。そんな中でこそ、自分の持っている価値観を言葉にして、話し合っていける職場の土壌はとても大切だと思う。自分のとっている行動や、自分が同僚、部下にとって欲しい行動の裏付けや意図を、他人に説明する事が必要なのだと思う。その土壌になる一つのものが、心理的安定性であるわけだけれども、心理的安定性があれば話し合っていけるのか、というと、それ以外に自分の持っている価値観を言語化でできる能力、他人を理解する想像力、などなど、個人がもっていなければいけない、鍛えなければいけない力はたくさんある。心理的安定性はそこにもともとある、だけじゃなくて、そういう土壌を作ろうと思っている個人が沢山いることで初めて成立するものだと思う。

じゃあ、どうすればいいの?

皆でわーっと飲みにいったり、職場でチームビルディングと称してイベント、ゲームをしたりだけしていてもなかなか心理的安定性はつかない。

もちろん同僚の個人的なバックグラウンドを知るのは、何よりその人の考えている事を理解したり、その人の立場やその人の見ている景色を想像するのには役に立つとは思う。でも同僚とは、友達にならなくてもいいし、嫌いな人がいてもいい。ただ一緒に仕事をしていく中で、目標の共有と同僚にとっての仕事の意味づけぐらいは分かると、職場の心理的安定性はかなり高くなると私は思っている。私にとっての職場の心理的安定性とは、同僚と自己開示をしながら、日々の業務をしながら、少しづつ築いたり調整したりできるはずのもの。私はそれができる仕事の仕方や職場のあり方に最近注目している。

写真出典・pexels nicollazzi xiong


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