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いまだに残る契約更新問題。来夏11選手が契約満了へ。

はじめに

2021年の夏はクリスタルパレスにとって大きな変革の年だった。

指揮官がロイ・ホジソンからパトリック・ヴィエラに代わっただけでなく、スコット・ダンやママドゥ・サコ、アンドロス・タウンゼンなど計10人の選手が契約満了でクラブを去った。

そして新たにマーク・グエイやマイケル・オリーセなどの新戦力をスカッドに加え、当時29.2歳だったスカッドの平均年齢を27.0歳まで若返らせた。

しかし、今シーズンの開幕前もクリスティアン・ベンテケやシェイク・クヤテなどが契約満了で退団していった。

30歳以上の選手は単年の契約延長を原則としているクリスタルパレスにとって契約更新問題は毎年降りかかるものであり、今シーズンは11人の選手が契約満了を迎える。

来シーズン、誰と契約し、誰と道を分つべきなのかを考察していく。



ヴィセンテ・グアイタ

来シーズンに36歳になるグアイタ。しかしいまだにリーグ戦のゴールマウスは彼のものである。ここまで全16試合に出場し、瞬発能力に衰えは見られない。
本人も家族を連れてロンドンに住んでおり、バトランドやジョンストンなどイングランドの代表キャップを持つ選手も現状でグアイタを脅かす存在になれていない事を考えると1年の延長の提示の可能性は大いにあり得る。


ジャック・バトランド

30歳で迎える2023年夏、フリーで移籍する可能性は大いにある。
バトランドは2022年夏の移籍市場でジョンストンが加入したことにより、序列が第3GKまで下がってしまった。その影響からレンタル移籍を模索していたが、プレシーズンマッチで相手選手のシュートをセーブし骨折し離脱してしまったため移籍は冬に持ち越しとなった。
しかし11月、ジョンストンが背中の負傷で数ヶ月離脱。バトランドまで移籍してしまうとアカデミーの選手しかいなくなってしまうため、今回の移籍の話も頓挫してしまった。
歩んできたキャリア、能力を考えると第3GKに甘んじるような選手ではなく、本人のためにも契約満了で退団が濃厚だ。


ジョエル・ウォード

パレス在籍12年目を迎えられるかは微妙なところだ。本職のRBがパレスで最も手薄なポジションであることに加え、最終ラインをどこでもこなせるユーティリティ性は魅力だ。
しかし、世界のトップ中のトップのアタッカーがひしめくプレミアリーグで安心して起用できるかは甚だ疑問だ。
しかし、RBの主力候補が獲得できない上にウォードまで退団してしまってはやりくりが全くできなくなってしまうため、残留か否かは他力本願となるだろう。


ナサニエル・クライン

来年32歳になるクラインはポジションが被るウォードと比べると幾分かは戦術的に振る舞える上に攻撃能力もある。
しかし、ウォードと比べて怪我がちで稼働率が高くない。今シーズンも約半分は怪我で離脱しており、肝心な時にいないなんてことになりかねない。
ウォードと同様にRBの主力候補が獲得できるかに去就を委ねることになるだろう。


ジェームズ・トムキンス

来年で34歳のトムキンスは現在はCBの3番手という序列にある。
直近のフラム戦でのパフォーマンスこそ印象は良くないが、空中戦の強さは健在で、昔に比べてつなぐ意識も生まれてきている。
スタメンに盤石な2枚がいる上にリチャーズもよりフィットしてくることが予想できる。3〜4番手のCBとしては十分に計算がたつ能力がある上、パレスの補強ポジションのことを考えると退団は現実的じゃないのではないか。

ネイサン・ファーガソン

23歳と若手のDFだが、加入から2年半で出場時間わずか8分は目を覆いたくなるスタッツだ。年明けには全体練習に復帰するとヴィエラは語っているが、そこからスタメンに定着するほどの活躍を見せない限り契約延長は厳しそう。そもそも本職がどこなのかもパレスサポは知らない。


ルカ・ミリヴォイェヴィッチ

クラブのキャプテンで来年32歳を迎えるルカだが、ヴィエラの構想からは漏れているのが現状である。
ホジソン時代の引いて守るフットボールでは中盤で軽微なポジション修正をするなどバランサーとして重要な役割を担ったほか、プレースキッカーとして1シーズンで二桁得点を上げた年もあった。
しかし、ヴィエラの駒として戦うには運動量が足りない。元から瞬発力がなく、タックルが遅れて入ってしまいファールを献上するきらいはあったが、前線から能動的にプレスをかけにいくようになった今、単純に走力が不足している。
昨シーズンのアウェイでのヴィラ戦のようにマンマークでタスクを比較的にシンプルにすれば輝く道もあるだろうが、正直このままでは厳しい。

ジェフリー・シュラップ

30歳のシュラップだが、契約延長は濃厚だろう。現在のパレスはとにかく中盤、特に8番タイプの選手が不足しており、シュラップは貴重な戦力だ。
とはいえパフォーマンスにムラがあり、連戦になるとプレー選択をことごとく間違える。かつては怪我がちなウインガーだったが、ヴィエラによる魔改造を経て連戦耐性がないIHになった。
契約延長はするだろうが、いつまでもシュラップがスタメンで出ているようだとtトップハーフフィニッシュは難しい。


ジェームズ・マッカーサー

来シーズンで36歳になる選手だが、怪我で今季は1度も出場がない。
攻守にハードワークを厭わない、今のパレスに最もマッチするプレースタイルで、コナー・ギャラガーも「シーズンの序盤にマッカーサーとプレーできたのは良かった」と語ったほどの実力者だが、来シーズンの去就は怪しい。
年齢と負傷癖を考えると、来年のマッカーサーは違うユニフォームに袖を通しているかもしれない。


ジョーダン・アイェウ

31歳でシーズンを迎えるアイェウ。W杯ではパレスでは見せない姿を披露したことが記憶に新しい。
アタッカーではあるものの、自陣深くまで降りてボールを刈り取る献身性が特徴。キープ力もあって貴重なカードではあるが、判断の遅さとシュート精度の低さが玉に瑕。
そんなアイェウだが、契約延長するのではないかと踏んでいる。迫力不足の面はあるが、守備で不安定な右サイドにおいてアイェウの献身性は他のアタッカーでは発揮できない。


ウィルフリード・ザハ

30歳のザハが来夏までのパレスの話題の中心になることは間違い無いだろう。これまで常に移籍の話題が絶えなかったザハがついに契約満了を迎える。
実際、ユヴェントスやバルセロナ、ミラン、チェルシーなど国内外を問わずビッグクラブからの関心の声が上がる。そんな中ヴィエラは会見において、新契約の締結に自信を示した。
私も、ザハは残留すべきだと思う。これまで、クラブの王様として彼にボールは集まってきたし、ビッグクラブとの対戦では敵陣にできる広大なスペースを欲しいがままにしてきた。パレスはザハを中心にチーム作りをしてきたし、ザハは自分が中心なチームでしかプレーしてきていない。
年齢的にも、いつ衰えが始まるかもわからないことに加えここから新たなスタイルを模索していくよりも、育ったクラブでキャリアを継続した方が良いのではないかと思う。

終わりに

今回、契約期限が迫っている選手を列挙したが、まず何より1月の移籍市場で必要な駒を補強することが最優先だ。最低でも昨年のギャラガーのようなBox to BoxタイプのMFと、20代のRSBが補強必須だと思う。
MFの中でも先ほど言及した3枚に加え、ヒューズは戦術に合致しないし、リーデヴァルトは速さが乏しく、オリーセ、エゼに守備タスクは任せづらい。攻撃面においてもオフザボールで相手を出し抜くタイプがいない。そういった意味でも、ピッチ内を縦横無尽に走り回れる選手は1枚欲しい。
RSBはクラブで最も高齢化が進むポジションで、有望株の若手がいるとはいえまだ10代。向こう5年はスタメンを任せられるような選手が欲しいところ。
それらの補強を終えて初めて現有戦力の整理に取り掛かるべきだと思う。

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