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The Blue Hearts 全曲レビュー 後編

7th DUG OUT

1.手紙
フォーキーでノスタルジックなこのアルバムの性格をよく表した一曲目。
ストリングスも導入した重厚感漂う名曲。
中原中也にも通ずるような風景描写やロマンチシズムは流石マーシー。

2.緑のハッパ
意味性は排除、言葉の響きだけを重視したような究極の脱力ソング。
おそらくドラッグソングでしょう。

3.トーチソング
ロマンチックでノスタルジック。
綺麗なピアノの旋律にのった魔法のような言葉たちが涙を誘う。

4.雨上がり
このアルバムの中で個人的にベストナンバー。
優しい童謡のようなメロディに乗せて、夏の雨上がりについて歌う。
マーシーの詩はなんでもない日常の一部分を切り取るだけでそれがキラキラして見えてくる。

5.年をとろう
マーシーボーカル曲。
「年をとる」ことを肯定的に捉えた視点はこれまでのパブリックイメージからはかけ離れた視点だったかも。
ハープの響きで切なさ倍増。

6.夜の盗賊団
後半の盛り上がりがすごい。
スローで重ろ重心な演奏に乗せた煌めく夜の描写。
「5月の風のビール」等表現がどれも洒脱。

7.キングオブルーキー
ヒロトのボーカルの力の抜け具合が凄い。
言葉遊びに近い歌詞は特に難しいことは考えず語呂の気持ち良さに身をまかすべし。

8.ムチとマント
こんなふざけた曲の中で、
「恋をする時素敵な事は 何もいらないと本気で思えること」
なんてサラッと言っちゃうのがニクイ。

9.宝もの
音楽的にはもろオールディーズ
3連バラードに乗せた宗教的な歌詞はもちろん河ちゃん作。

10.夕暮れ
後期ブルーハーツの傑作。
儚くもポジティブな演奏と言葉にはいつ聞いても新鮮に勇気をもらえる。
ライブでは演奏されるイントロのギターフレーズはヒロトが独断でバッサリカットしたらしい。

11.パーティー
ブルーハーツのヒロト作の中でもかなり異色な曲だと思います。
ヒロトが苦悩や悲しさをここまで吐露した曲は他にない気がする。
ヒロトなりのHelpだったのかも。

12.チャンス
アルバムのラストを締めるマーシー作。
切ない旋律に乗せて「チャンスは降ってくる」と歌う。
なんとなくこの曲にはブルーハーツの終焉を感じる。

8th PAN

1.ドラマーズセッション
解散発表後、権利の都合上4人の完全別制作で構成されたラストアルバム一曲目は梶くんと新井田耕三によるドラムインプロ。
なかなかカッコいい。

2.ヒューストンブルース(月面の狼)
本人たちがいくら否定しようとブルーハーツ解散に宗教的な問題が絡んだことは事実だと思わずにはいられないヒロト作。
「天国なんかに行きたくねえ」
音楽的にはそのままハイロウズに繋がる。

3.もどっておくれよ
マーシーのソロ作、夏のぬけがらに入っていても何も違和感のない佳曲。
少年時代の思い出に想いを馳せたセンチメンタルバラード。

4.ボインキラー
ナンセンスな言葉をひたすら繰り返す、ハイロウズ初期に通ずるヒロト作。

5.花になったかまきり
サンバのリズムに乗せて梶くん本人が歌う。
子供声のコーラスやホーンセクションも入った軽快なナンバー。
ボーカリストとしての迫力のなさは仕方なし。

6.バイ バイ Baby
おそらく下敷きにしたのはロネッツ/Be My Baby
音楽的にもウォールオブサウンドを目指したような音作り。

7.歩く花
ヒロト作、前作DUG OUTに入っていても不思議じゃない名曲。
ヒロトのラブソングはいつも純粋で無垢。

8.休日
マージービート風ゴキゲンポップ。
爽やかな曲調にマーシーの力強いボーカルが乗る。

9.トバゴの夢(キチナーに捧げる)
梶くんによるカリプソの偉人、ロードキチナーに捧げた曲。
南国風のトロピカルなナンバー。

10.幸福の生産者
河ちゃんによる大川隆法への賛歌。

11.Good Friend(愛の味方)
河ちゃん作。ベースの歪み具合が凄い。
歌詞はやっぱり宗教的。

12.ひとときの夢
曲のはじまりから瞑想的。
この曲とヒューストンブルースが同じアルバムに入ってることがこのアルバムの特異性を物語っている。

13.ありがとさん
アルバムラスト曲は河ちゃんによる弾き語り。
ファンへの感謝を歌っている。
特にダブルミーニング的な部分はなくシンプルな言葉が並ぶ。
これがブルーハーツ最後の曲。


アルバム未収録曲(年代順)

1.1985
1985年のクリスマスライブにて配布された幻のソノシート曲。
その後はSuper Best発売まで封印。
これから時代を変えていくことになるブルーハーツのエネルギーが詰まってる。

2.人にやさしく
日本のロック、パンク史を塗り替えた永遠の名曲。
ガンバレ、なんて当時反則だったはず。
この曲が後世に与えた影響は計り知れないと思います。

3.ハンマー(48億のブルース)
誰もが抱える孤独や淋しさを2分ちょっとの曲の中で切り取った名曲。
「48億の個人的な憂鬱」は自分だけじゃないことを投げかけた。
マーシーの歌部分が反則級にカッコいい。

4.僕はここに立っているよ
リンダリンダのB面曲。
大きいものや上の人に対する反骨心が力強く歌われている。
「くそったれって言ってやる」

5.ブルーハーツのテーマ
自主制作シングルとして、チェルノブイリ、シャララと共に発表。
これから何かが変わるかもしれない、そんな高揚感がヒシヒシと伝わる。

6.シャララ
もの凄く重いテーマを子供のコーラスも含めたポップな演奏で歌うブラックジョーク的な内容。子供の声が逆に怖い。

7.チェルノブイリ
当時大問題になったチェルノブイリ原発事故について触れた問題作。
過激な内容によりメジャーレーベルからはリリースできなかった。

8.平成のブルース
10分近くに及ぶ長尺でマーシーが吠えまくる。
「ロックンロールスターになりてえな ブルーハーツの真似すりゃいいんだろ」
当時の世間や自分たちに対する認識に対してストレートに歌われている。

9.鉄砲
鉄砲に対するアンチソング?
明確なメッセージは歌われておらず曲の意図は不明。最後はピアノと謎の子どもの声で終わる。

10.シンデレラ(灰の中から)
河ちゃん作。曲は初期のブルーハーツスタイル。ギターソロがカッコいい。

11.わーわー
ライブ音源のみのリリース。
ナンセンスな言葉の繰り返しはハイロウズスタイル。曲中で歌われているあの女はジャニスジョプリンのことらしい。

12.1001のバイオリン
1000のバイオリンのオーケストラVer.
イギリスのバンドによくあるオーケストラアレンジを参考にしたんだと思います。

13.ブルーハーツより愛をこめて
ライブ音源のみがSuper Bestに収録されています。
余計なアレンジは一切なし。シンプルイズベスト。


以上、前編、中編、後編にわけてオリジナルナンバー全114曲個人的レビューでした!
最後までご覧いただきありがとうございます!
これからも大好きな音楽について発信していきたいと思うのでよろしくお願いします!!

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