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The Blue Hearts 全曲レビュー 中編

4th BUST WASTE HIP

1.イメージ
過剰に歌詞の内容を求められるようになっていたバンドへの違和感がこの曲の根本にある気がします。
「中身が無くてもイメージがあればいいよ」

2.殺しのライセンス
ギターリフ、転がるピアノ、
初期に比べて音に厚みが増したこの時期のブルーハーツの典型的なスタイル。
ヒロトの声が曲によくマッチしてます。

3.首つり台から
メッセージ性等は排除してノリやイメージ重視。
ギターリフで押し進めるロックンロールナンバー。

4.脳天気
急に知名度が上がっていったことに対して自分がついていけず精神的に参ってる時に書いた曲、と後にマーシー本人がこの曲について言及していました。
この脱力感が最高です。

5.夜の中を
センチメンタル路線の佳作。
言葉の表現がとにかくお洒落でロマンチック。
「夜」を書かせてマーシーの右に出るものはいない。

6.悲しいうわさ
ギターが縦横無尽に駆けまわるブルージーな曲。
これまでのブルーハーツ像を壊していこうとする姿勢が感じられます。

7.Hのブルース
重たいノリの長尺ブルースナンバー。
ミックテイラー期のローリングストーンズのようなイメージか。

8.夢の駅
レゲエ風脱力ソング。
ベースラインがゴキゲンで楽しい。

9.恋のゲーム
言葉遊びのように繰り返される「恋のゲーム」
細かいことなんて考えず口ずさめば楽しい気持ちになってきます。

10.スピード
曲名通り当然速い曲。
ちょっとドラッグソングっぽい内容でもある気がします。

11.キューティパイ
ただ円周率を繰り返すだけというブルーハーツ最大の問題作。
歌詞の内容を過度に求められることに対するアンチソングだったとか。

12.情熱の薔薇
言わずと知れた大ヒット曲。
歌詞はもはや悟りの域。
「見てきた物や聞いたこと 今まで覚えた全部
でたらめだったら面白い そんな気持ちわかるでしょう」
こんなワクワクドキドキする詩が他にあるでしょうか。

13.真夜中のテレフォン
初の河ちゃんボーカル曲。もちろん作者曲も河ちゃん。
河ちゃん作の中では最高の出来だと思います。
しっとりとした雰囲気が心地いい。

14.ナビゲーター
宇宙をふわふわ漂っているような浮遊感。
歌詞は哲学的な匂いすらします。
笛の音が最高です。

5th HIGH KICKS

1.皆殺しのメロディ
「バカ」の叫びではじまり、ブリブリのベースがドライブしていく。
こういう曲があるのがブルーハーツが特別たる所以。

2.MONKEY
ヒロトのバイクソング。
春の気持ちいい日にゴキゲンにドライブしているようなイメージ。

3.心の救急車
河ちゃん作、童謡のようなメロディの優しい歌。
ちょっとThe Whoの匂いがするのは自分だけか…?

4.あの娘にタッチ
このアルバムを象徴するようなほんわかムードの名作。
ヒロトらしい抽象的な言葉が並んだ歌詞も楽しい。

5.ホームラン
野球少年だったというマーシー作。
フォークロック的な曲調で小学生あたりの記憶が蘇る。

6.泣かないで恋人よ
優しく懐かしくエモーショナルな佳曲。
どうにかなるようになる、なんて本気で思えてきます。

7.THE ROLLING MAN
ギターのイメージはキースリチャーズか。
歌詞の内容とは裏腹に力の抜け具合が心地いい。

8.東京ゾンビ(ロシアンルーレット)
軽快なロックンロールナンバー。
やりたいことは今やらないと!死にたかねえけど死ぬかもよ!

9.HAPPY BIRTHDAY
ヒロトと河ちゃんの共作。
エイトビートにひらがなを乗せた初期のブルーハーツスタイル。
ヒロトの声は初期に比べて穏やかに。

10.闘う男
そんなんです。男ってそういうもんなんです。
闘うしかないのです。
「最終のゴングまであきらめやしないのだ」

11.ネオンサイン
思春期のもどかしさや行き場のない気持ちが思春期を通過した人の視点優しく歌われている気がします。
名曲。

12.TOO MUCH PAIN
初期から演奏されてきた大名曲。
ノスタルジックとはこの曲のことです。
胸の奥のあたりがグッと熱くなり涙腺が崩壊します。

13.さすらいのニコチン野郎
マーシーのブレイカーズ時代の曲の焼き直し。
ブルーハーツ流ハードロックか。

6th STICK OUT

1.すてごま
模索期を経て完全に吹っ切れたことが伝わるオープニングナンバー。
イントロでぶっ飛びます。

2.夢
この曲を聞くと世界が輝いてみえてきます。
初期のスタイルにさらに重厚感を足したような音作り。

3.旅人
後期の3コードロックンロールの大名作。
明日から楽しいことが待ってるようなそんな気分にさせてくれます。
今日もプルトニウムの風に吹かれて!

4.期待はずれの人
初期には出なかったであろう詞。
この時期からハイロウズ初期にかけてヒロトとマーシーは他者に期待することも他者からの期待に応えようとすることもやめていった気がします。良くも悪くも。

5.やるか逃げるか
当時問題になっていたPKO法案に対する反戦歌?
マーシーらしい皮肉っぽい言い回し。

6.テトラポットの上
サビのメロディの気持ち良さったら。
一部若干リズムが走ってる気もするけどそれも味!
ヒロトの釣り好きが表れてます。

7.台風
「情報やデマが飛び交う 声のでかい奴が笑う」いかにもマーシーな視点。

8.インスピレーション
河ちゃん作。歌詞の一部は幸福の科学に入信した河ちゃんによる神様への言及が。
この部分は歌えないとヒロトが拒否したことは有名。この部分だけ河ちゃんが歌ってます。

9.俺は俺の死を死にたい
マーシー絶叫ブルース路線。
ブルースをけとばせの続編的な趣もある気がします。

10.44口径
軽快で気持ちいいノリ重視の隠れた名曲。
こういうメロディがサラッと書けちゃうのがヒロトの凄いところ。

11.うそつき
嘘や矛盾を放っておけないマーシーらしさ全開の文学的なテーマ。
「せめて100年はばれない たいした嘘をつく」は名フレーズ

12.月の爆撃機
イントロギターリフは神がかってます。
孤独な歌だと思う、とヒロト本人が言及していました。
ギターソロも刹那的です。

13.1000のバイオリン
個人的にブルーハーツの中で1番好きな曲かもしれません。
人生は楽しむもんだと、好きなように生きていいんだと教えてくれた曲です。
文学性と程よい子供心、マーシーは永遠の憧れです。


最後までご覧いただきありがとうございます!
よければ前期3作をレビューした前編もご覧下さい!
残り2枚のアルバムとアルバム未収録曲は後編で紹介したいと思います!

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