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ユーチューバになりたい子どもたち

昨年01月26日から
小中学生への学習支援で得た知見を基に色々書き始めて58回目です。

ある日の学習支援で・・・
「おとなになったら 何をしたい?」
「ぼくは ユーチューバー!」
「アイドルもいいな」
「そうそう K-POPなんかかっこいいね」
「えっとね お笑い芸人!」

インターネットを利用したリモート教育が始まってから
将来の夢を聞いてみると こうした答えが増えてきています。

子どもたちにとって
ユーチューバーは 自分の好きな事や遊びのような楽しいことをやっていて楽にお金が稼げるように見えているようです。
「努力したくない+毎日遊んでいたい+楽して儲けたい」の実現ですね。

以前からある程度の割合で
歌手やバンド・お笑い芸人といった「芸能界」に憧れる子どもがいましたがポップスの世界では音符を読めないことがステータスになっていて
「正規の音楽教育」にはない「異端のジャンル」を誇っているようです。
そうして「変な絵で売れたい」と言い出す生徒がいたりします。
「論破」を他者の意見を否定することと受け取っている例もみられます。

最近大学生からあった相談で・・・
「将来 記者になりたいんです」
「へー!じゃあ文章を作る訓練はしているの?」
「文字を書くのは好きですけど・・・」
「自分の文章は読みやすいけど 他人の文章って読みにくくない?」
「はい」
「読んでもらう文章 もっと言うと読んでいただく文章は訓練が必要だよ」「え”っ??」

「メディアに就職したいんだけれど どうしたらいいのかわからない」
「エントリーシートを出したんだけれど 書類選考から先に行き着けない」「じゃあ どんな分野のメディアを仕事にしたいの?」
「マスメディア!」
「というと?」
「放送局とか 映像制作なんか」
「そのための スキルは持ってるの?」
「え”っ! 会社に入ってから教われるんじゃないのかな」

大学生に「メディア」への就職希望が増えているようになってきていますがそのための準備は考えらえていません。

もちろん 夢を追いかけるのは 悪い事ではありません。
しかし どうしたら夢を実現できるかということと
現実に学校で実施している「学習」との接点が ほとんど感じられないので「学習」と「夢の実現」は無関係になっているようです。

でもよく考えてみてください。
学校教育の内容は
「表現」や「論理的思考」の基本的知識を得られるように組まれています。言い方を変えると
「学習」には夢の実現にとって大切な知識が含まれているのです。

問題は
教える側が生徒の夢や希望などを
教育に うまく取り込めない点にあるのかもしれません。

教科書やワークブック中心の「学習」では
教わる側の生徒は常に「知識」の受け手でしかないため
「自分で考えて発見する」機会を得にくいようで
こうした教育現場での混乱が
子どもたちを「学習」のおもしろさや楽しさから疎外しているようです。

子どもたちの自己肯定感を助長し
生活の充足感や達成感と共に
単なる自己顕示欲の発出ではない
他者や社会から認められたいという願望を満たす承認欲求を引き出せる
「教育を通した人格形成」が求められているのではないでしょうか。

先生と生徒という立場を超えて
そんなお付き合いができるような場が
これからの世の中を創っていく気がしています。

保護者の皆さんや 生徒の学習に関係している方々へ

ご承知のように
子どもたちは年齢を増すごとに
保護者の庇護から自己認識を経て親離れし
一人の人間として自立してゆく過程を体験してゆきます。

学校教育は そうした心の成長に合わせた心の拡がりをも含め
全人的な成育を抱合しているはずですが
なぜか 得られた知識量に注視してしまう傾向にあるようです。

もっと 大きく もっとおおらかに 
子どもたちの成長と お付き合いいただけると
自分の可能性を見つけられやすくなるでしょう。

子ども達にために 大人はゆったりと構えてあげたいですね。

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