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随想 ーー心を澄ますーー

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心の奥底に潜む声を掬い上げるエッセイ・詩など
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#詩

残照

「昔、秋葉原にもバスケットコートがありましたよね」  私の渋谷の廃墟を見せた彼が言う …

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coyoly
4年前
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タイムスリップ

音の向こうに 二十歳の娘がいた 玉音放送を耳にし 何を言ってるのか 何が起こったのか …

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coyoly
5年前

幸福

ハッピーエンドを押し付けないで わたしから目を逸らさないで あなたが耳を塞ぐ痛々しさ それ…

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coyoly
5年前
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あはれ私は娼婦

終わるまでの時間をやり過ごしていた 何も感じることはなかった 「気持ちええやろ」「感じてる…

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coyoly
5年前
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美しき天然

土を掘り起こし蛹を潰す 毒霧を撒き虫けらを窒息させる やってくる鳥を睨み猫を追い払う 魚の…

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coyoly
5年前
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微睡みの彷徨

冥府で蹲っていると 突然手を差し出された 暗闇に現れた光 再生への密儀 触れた瞬間 温も…

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coyoly
5年前
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浄夜

汚辱に塗れた肉体を 彼は撫で浄める 特に念入りに 胸を 穢され続けた 胸を たとえそのときだけでも その夜だけでも それ以上は望めなくても 欲望から逃げたくて逃げたくて それでも逃げ切れなくて泣いて あやふやな記憶から解放されたかった 自分で決める幕開けくらいは 心から願う人に赦されたかった 赦されても 緊張が続く強張った胸に 実に慣れた右手が伸びて 何も考えずに包み込んで 胸の重さと 手の軽さが重なった 汗ばんだ夏の夜を 花火の匂

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Different phase/12歳、1月13日の金曜日

小学校6年生の冬休み最終週 朝起きるとシーツが赤黒く汚れていた がに股で階段を降りると 動…

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coyoly
5年前
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ただひとり、穴があいたまま立ち続ける 気づいてくれたのは風だけ バランスがおかしくても立ち…

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coyoly
5年前
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託宣

 顔は奇異で世に類がなく  色白く水晶のように透明になり  声も哀雅で  聞くものはすべて…

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coyoly
6年前
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通奏低音

 熟田津の月夜を  オルレアンの勝鬨を  この身で感じる  デンマークの川で  フランス…

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coyoly
6年前
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