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文庫本を閉じる前と同じ教室 聖パウロは今日も回心している マスールのベールと同じ空…
罪悪感をずっと押し付けられてきた 普通ではない私がいけないのだと 社会に馴染めない…
ポケットの中にあるはずの世界が消えた 手のひらに収まる世界が 目の前には一つの世界し…
ラジカセを持ち入ってくる修道女 静まる教室 「考えなくていいから聞きなさい」 『星…
「昔、秋葉原にもバスケットコートがありましたよね」 私の渋谷の廃墟を見せた彼が言う …
ふと振り向くと、私の後ろで溺れている女の子が沢山いた。その時気づいた、後ろを振り返る余…
ここではないどこかを 探す気力すらなかった そんなところがあると 憶うことすらできなかった 行く場所も帰る場所もなく さまよい続けたある日 小さな島に足を下ろした その刹那 心の底から安堵した そこはわたしの島だった 怯えず息ができた 空洞が塞がった 力が抜けた 静かに運命は舞い降りた たましいのふるさとにめぐりあった 疑う隙もなく満たされた 故郷になじめぬ寂しさが消えた 東京でしか生きられぬ私が消えた ここに墓を建てよう
他者からの評価を 震えながら待った 逃げたら一生ここから逃げられない そう言い聞かせ…
深く潜る 深く潜るわたしを 私は見る 音もなく雪を吸い込む海 渚に座り 岬に立ち 結晶を顔…
英雄になり損ねた怪物、怪物になり損ねた小心者--すなわち境界例に殺されかけたあの時に引…
「女性のライフサイクル無視の歴史は長い」と明示されている通り、ここに私たちのための服は…
肉体を持つとはどういうことなのだろう。 肉体を喪った人のために嘆く人がいる。そしてそ…
詩なんて棺桶に片足突っ込むまで書くことは許されないとずっと思っていた。 怖かった。な…
ああ、この人も虚無なのだ。 空洞に風が吹き荒ぶ人なのだ。 そうわかった時、全てが腑に落ちた。 私の中にはずっと男性がいなかった。それが不自然だと気付いてはいたが、どうやっても誰にもたどり着けなかった。 そんな時分、ある映画を観た。登場人物の一人がやけに気になり、モデルとなった人物を調べた。調べ尽くした。 一見派手で陽気で女たらしで、一本気で感情がすぐ顔に出て、でもいざという時にはたじろがず泥臭く周囲を支え、親友の危機には駆けつける、そしてそんな思いやり