AIが文章を採点!? 人間の評価者に迫る大規模言語モデルの驚きの能力

対象の論文はこちら:
https://arxiv.org/abs/2305.01937

タイトル:
Can Large Language Models Be an Alternative to Human Evaluations?

皆さんは、自分の書いた文章を誰かに評価してもらったことはありますか?作文や小論文、レポートなど、文章の評価は私たちの生活のあちこちに存在します。でも、もし人間の代わりにAIが文章を評価できたら、どうでしょうか?最新の研究では、驚くべきことに、AIが人間の専門家に匹敵する評価能力を持つ可能性が示されました。この発見は、私たちの日常生活や教育、仕事のあり方に大きな影響を与える可能性があります。

概要

最新の研究で、大規模言語モデル(LLM)と呼ばれるAI技術が、人間の専門家に匹敵する文章評価能力を持つ可能性が示されました。
研究者たちは、ChatGPTなどのLLMを使って、物語やニュース見出しの品質を評価する実験を行いました。
その結果、LLMは人間の専門家とほぼ同じように文章を評価できることが分かりました。この発見は、教育現場での作文採点や、SNSの投稿品質チェックなど、私たちの日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
AIによる評価は、人間による評価よりも再現性が高く、コストが低いという利点がありますが、感情理解や創造性の評価など、まだ課題も残されています。
研究者たちは、AIが人間の評価者を完全に置き換えるのではなく、人間と協力してより良い評価システムを作ることを目指しています。
この研究は、AIの新たな可能性を示すと同時に、人間とAIの協力の重要性を教えてくれます。
今後、AIの評価能力がさらに向上すれば、文章以外の分野でも活用される可能性があり、私たちの生活や仕事のあり方に大きな変革をもたらすかもしれません。

論文の内容

概要

本研究では、大規模言語モデル(LLM)を用いてテキストの品質を評価する「LLM評価」を提案し、その有効性を検証しています。オープンエンド型ストーリー生成と敵対的攻撃の2つのタスクにおいて、LLM評価と人間による評価を比較した結果、最新のLLMは人間の専門家と同様の評価結果を示すことが分かりました。LLM評価は再現性が高く、コストが低いなどの利点がある一方で、事実の正確性や倫理的な問題など課題もあることを指摘しています。

実験方法

オープンエンド型ストーリー生成タスクでは、人間が書いた物語とGPT-2が生成した物語を、文法、一貫性、好ましさ、関連性の4つの観点からLLMと人間の英語教師に評価させました。敵対的攻撃タスクでは、元のニュース見出しと攻撃後の見出しの自然さと意味の保持をLLMと人間に評価させました。LLMとしてはT0、InstructGPT、ChatGPTを使用しました。

実験結果

オープンエンド型ストーリー生成タスクでは、text-davinci-003とChatGPTが人間の専門家と同様に、人間が書いた物語をGPT-2が生成した物語よりも高く評価しました。敵対的攻撃タスクでも、LLMは人間の専門家と同様に、攻撃後の見出しの品質を元の見出しよりも低く評価しました。ただし、LLMは人間よりも若干高めに評価する傾向がありました。

考察

最新のLLMは人間の専門家に近い評価能力を持つことが示されました。LLM評価は再現性が高く、コストが低いなどの利点がある一方で、事実の正確性や倫理的な問題など課題もあります。LLM評価は人間による評価の完全な代替ではなく、補完的なツールとして活用することが望ましいと考えられます。

新規性

本研究は、LLMをテキスト評価に使用するという新しいアプローチを提案し、その有効性を実証的に示した初めての研究です。従来の自動評価指標や人間による評価の限界を克服する可能性を示しています。

限界

LLMの知識の正確性や倫理的な問題、感情を伴うタスクへの適用の難しさなどが限界として挙げられます。また、LLMの出力が時に一貫性を欠く可能性や、視覚的な手がかりを処理できないことなども課題です。

応用可能性

NLP研究における評価プロセスの効率化や、テキスト生成システムの品質管理などへの応用が考えられます。また、人間による評価が困難な大規模なテキストデータセットの評価にも活用できる可能性があります。
教育分野でのエッセイ評価支援や、コンテンツモデレーションの自動化、テキストマイニングにおける品質評価など、幅広い分野での応用が考えられます。また、マルチモーダルなコンテンツの評価にも拡張できる可能性があります。

編集後記

AIによる文章評価は、まだ完璧ではありません。感情を理解することや、創造性を評価することなど、AIには難しい部分もあります。しかし、AIと人間が協力することで、より良い評価システムが作れる可能性があります。
皆さんは、AIの評価を信頼できますか?
それとも、やはり人間にしか分からない要素があると思いますか?

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