2024-08-18 誕生日20集連作
特別さなくなっていく青空の下で腐ってしまうお盆のカレー
『今月の誕生日の子』に並ばない8月生まれ蝉も死んだか
これからは絶望感の勢力が勝っていく我の影濃く
足掻く気もなくなってきた夜夜中まだ産まれてはいない気がする
真っ白な家をペンキで塗りましょう あなたを思い出さないように
大学を非常口から立ち去ってビッグになれないままのニンゲン
一年をかけておんなじ場所にいる解放計画断念直前
誕生日ガールは緑色纏いタルトを砕くあかあかとして
大人にもなれていないの寄生虫地獄の釜の音を聞かない
昼過ぎに生まれたわたし トロッコの問題における一人のひと
丸い窓開かない窓と窓もどき 全部わたしを笑ってくれる
わたくしの人生は常にぐにゅぐにゅと螺旋階段止まれないのさ
栄光の記憶があると建物は保存されてる 死す事故物件
赤い靴履いて出かけるその街で生まれた子どものなまえ一覧
おみくじを捨てて綺麗になるカバンやり直せるならあの教室に
誕生を祝いに来たる友がありミルクティーにシロップを足す
一枚の花弁であればと願ってる好きで始めて終われるからさ
誰よりも早い祝いのツイートの中で溶けゆくアイスの甘さ
脱ぎ捨てたワンピの皺でサーフィンを 干されたタオルはダニの死臭
身体がダクダクと揺れ生命を生み出しもせぬ血が大量
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