本当のミームは、そこに人間の生体が見えなくちゃいけない。それが、お互いのコミュニケーションで、肌で感じ合うことなのよ。【第32回 ミーム演劇教室 稽古日誌 2022.1.11開催】
毎週火曜日、15時から17時で開催しています。ミーム演劇教室。見学・受講、いつでもお待ちしています!!
今回、先生からいただいたダメ出しは、「生きている生体を描写しなくてはならない」ということでした。
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「お前(寺原)はタイム(いわゆる「間」)としての「情感」でやっているけれども、違うんだ。ここでお前がやんなくちゃいけないのは、作られた人間ではなくて、「生きている生体」として、五感が反応しているようにちゃんと見えるかということを、やっていかなくちゃいけない。
だからここが、特別の場所だという確認をする(寺原演じる男が登場してからの流れのこと)ためには、目で確認する、もしくは五感の、匂いなり音なり、それで確認する。そして確認して、(登場時に持っている椅子を、)置き場所がここしかないという場所に置くわけ。
反応している、いわば感覚的な、自分としては無意識の内に反応している生体を、ここで描写しなくちゃいけない。それが欠落している。管理下にある。最初はそこからスタートよ。それをまた管理下で生体の五感覚を組み込んで作っていくと、それがまた管理下になる。そうならないようにするために、レッスンと蓄積が必要だし、何回かの公演をやって、初めて客が自分の思った通りの反応をしないことがわかって、それじゃいけないということがわかる。
今お前のここからが入り口で、本当のミームは、そこに人間の生体が見えなくちゃいけない。それが、お互い(演者と観客)のコミュニケーションで、肌で感じ合うことなのよ。フッとした視線の散らばりとか、耳の感じとか、皮膚感覚の感じ、風を感じるとか、そういうことが全くない。
自分のために演技するんだったら演劇でやる必要ない。遊戯すればいい。自分の人格を確保するために、遊戯すればいい。人に感動与えるために、何か与えるために、人間としてこうあるべきだという社会通念に大クエスチョンマークを問いかけるような作品を作るんだったら、演劇はそれをできるんだけども、そのためには遊戯ではだめだ。」
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遊戯の価値は、社会のルール・社会的生産性から一旦離れて、遊びのルールの中に自身や他者も含めた一つのコミュニティーが身を投じて、無用性の中で戯れ、日頃の憂さを晴らすということにあるでしょう。人は社会的生産性のルールの中だけでは生きていられないから、遊戯を必要とします。お茶したり、飲み会や、読書会や、ゲームなど。
演劇もまた、遊戯性を否定しては成り立たないメディアです。だから、チケット代や最低限のマナー以外で観客の制限はかけません。
しかし作り手は、遊戯性に身をやつすわけにはいきません。というより何かを「作りたい」、何かを「作らねばならない」という思いは、遊戯の範疇外の感覚のように思います。それはどこか宗教性さえ帯びてくるような、芸術性への思い。「本当に必要なものは何だろうか?」と悩み、ギリギリのところで答えを決めるその営為。
それを続けていれば、運が良ければ、「感動」なるものを、観客が感じてくれるのかも、知れません。
2022.1.14
寺原航苹
[ミーム演劇教室]
毎週火曜日15:00〜17:00
新宿ダン⭐︎スタ3
東京都新宿区西新宿7丁目13-7 タカラビル3F
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