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ホテル療養を終えた人に「まだ感染力あるかもしれないでしょ」と言い放つ、心ない医者がいる話。終章

こんにちは。コロナにかかったニートこと、真琴です。

だいぶ遅くなってしまいましたが、病院からコロナ差別を受けて法務局に相談していた件で、決着がついたのでご報告させていただきます。

前回までのあらすじ

ホテル療養が終わったその日、肺が心配でレントゲンを撮るためにかかりつけの呼吸器内科に電話をしたところ「コロナ療養終わったばかり?なら別の待合室使って、CTも受けて。飲めないなら診察できない」と言われ「コロナ差別ってこんなに酷いの?」と思いながら、法務局に相談しにいきました。

時系列順に整理するとこんな感じ。

12月17日|ホテル療養終了。帰宅
12月18日|かかりつけの病院を予約。診察拒否
12月23日|法務局に電話
12月25日|法務局へ行き、1時間ほどで状況を説明
1月5日|調査開始の連絡
4月19日|調査結果の連絡◀︎今回の話はここから

病院や法務局との詳しいやりとりは、下の記事からご覧いただけます。

法務局からの調査結果の電話

「調査は最低でも1ヶ月はかかる」とのことだったけど、調査結果の連絡があったのは4月。調査開始から3ヶ月半後のことだった。

結論はこうだった。

・『条件を飲まなければ診察をしない』と病院側が言った事実は確認できた
・ただ民法などの法令違反に当たるとまでは言えず、人権侵犯とは認められなかった
・しかしCTスキャンを受けねばならない理由などは丁寧に説明すべきであったと考えられるため、今後は相手の人権に配慮した対応をするよう「啓発」としてその旨を伝えた


そもそも法務局は裁判所とは違い、人を裁くところではない。法務局のできることは、大きくわけて以下の7つになる。

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今回は人権侵犯が認められなかったため、1番優しい「啓発」を行なったみたい。


なぜ人権侵犯にあたると認められなかったのか

これは民法709条の不法行為にあたるかどうかを照らし合わせて判断しているとのこと。709条の条文は以下の通り。

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うーーーん、これだけじゃなぜ人権侵犯にあたらないのかわからない。

もう少し見てみると、下記にあてはまれば「不法行為に基づく損害賠償請求権」が発生するようだけど、これは何か関係あるのだろうか。

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うーーーーーん。わかんない。


法務局に詳細を尋ねてみた

私「民法709条に基づいて判断されているということはわかりました。今回、その条文をどのように適用したかを教えていただけますか?」

と質問すると、法務局の担当者はこう答えた。

法務局「検討過程はお答えできません。相手の話した内容が開示できるとなると、お互いに奇譚なく事実を話すことができなくなってしまうため、開示できません。調査結果が不服だとしても、再調査などはできません」

それ以上どんな訊き方をしても、答えてくれることはなかった。

法務局「ただし、調査内容について文書で交付することはできます。個人情報保護法に基づいて一部開示できない部分はありますが」

多くは開示されないだろうなと思ったけど、ダメ元でその文書を請求してみることにした。

調査内容の文書を請求

さらに1ヶ月ほど経ってから、請求した書類が届いた。書類は発行手数料と送料で、1000円近くかかった。

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厚さは1.5cmほど。重たい。90ページもある。愛用のリップクリームで厚さを比較してみた。

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肝心の内容はこんな感じ。うわ真っ黒。8割真っ黒。

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90ページ全て目を通したが、得られた情報は

・私が法務局に相談していた内容
・法務局と病院側の間で複数回話し合いが行われていたという事実と、その日時

の2点のみ。病院側にどんな話をしてくれたのか、病院側がどういう経緯で事実を認めたのか、法務局側でどのような話し合いがなされてていたのかという部分は全て黒塗りされていた。

(100歩譲って相手方の証言を開示できないのは良いとして、法務局側の処理方針まで開示できないのはどういうことだろうか)

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さいごに

私はもうこの病院に行くことはないけど、この先この病院でコロナ差別はなくなる(可能性が高い)から、相談してよかったと思います。

(改心してくれたかはさておき、人気の病院がこんなに何度も聴取に応じさせられるというのはかなりの不利益だったろうし、こんな面倒なことはもうしたくないだろうと思う)

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腑に落ちない点はたくさんあります。コロナ罹患歴を理由に診療拒否なんてあってはいけないことだし、ばっちり人権侵害にあたると思う。なんでこんな結果になったのかも、きちんと説明してほしかったです。

本当のことを言えば、きちんと処罰を与えて、全国的に注目されてほしい。同じようなコロナ差別がなくなってほしいと思います。

でも法務局は解決や和解を目標として仲介をしてくれる機関。きちんと裁いてほしいなら、弁護士に相談するしかありません。

逆に言えば、学校や職場などの訴えづらい環境下では、まずは法務局を頼るのが良いということもわかりました。相談から1〜2週間程度で調査を開始してくれたおかげで、お互いの記憶が曖昧にならないうちに事実確認をできたのも大きなポイントでした。


法務局へのコロナ関連の人権相談は、全国で2300件。(2021年3月時点)

絶対コロナ差別で困っている人はもっといると思います。誰にも相談できないまま、1人で傷ついたり、不利益を被ったり、学校や会社を去っていく人もたくさんたくさんいると思います。

そういう方に、今回のレポが届いてほしい。

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法務局に相談すればきちんと話をきいてくれたし、相手方にも話をしてくれる。公的機関から連絡が行くだけでも、かなりの抑止力になると思います。

困った時は1人で悩まず、こういう方法もあるんだということを頭のすみに置いておいていただけたらなと思います。

それでは。

私に、コーヒーを一杯ごちそうしてくれませんか。