名作杯Vol.1 観戦記事 ROUND5 toroCH vs 補充好き～パララクスとオパールは惹かれ合う～

2022年10月16日 20:00

text by いちごピザ

ミドルスクールの魅力はその多様性にある。ビートダウンデッキひとつとっても部族にはじまり、伝統的なステロイド(赤緑)やワイルドゾンビなどさまざまな戦略が用意されている。《神の怒り/Wrath of God》があればクリーチャー対策は万全とはいかないのだ。

これだけデッキの種類がありながらそのどれもが共存しているのは大変興味深い。目の前でバーンやリアニメイトが超速攻マッチを繰り広げているかと思えば、ステイシスやランドスティルのような気の長いデッキも確立されている。目を離した隙にコンボが完成し、敗北の二文字を突きつけられていることも。

広大なカードプールからなる多彩な戦略と豊富なサイドボード。そして何よりもプレイヤーの情熱こそが、ミドルスクールを魅力的なフォーマットへと育て上げているのだ。

ROUND5で対峙するのはどちらも速度に特化したデッキ同士。マナクリーチャーで展開力に差をつけるtoroCHのステロイドと、デッキ名にもなっている補充好きが使用するパララクス《補充/Replenish》だ。

Game１

toroCHはステロイドらしく《フィンドホーンのエルフ/Fyndhorn Elves》から、対する補充好きは《古えの墳墓/Ancient Tomb》を置くかなりスピーディーな序盤戦。

さらにマナエルフを追加しつつ《適者生存/Survival of the Fittest》を設置するも、《浄化の印章/Seal of Cleansing》が阻む。サーチ先はクリーチャー限定とはいえ、すべてのクリーチャーに《悪魔の教示者/Demonic Tutor》を付与されては対処が追いつかない。

ならばとtoroCHは《ヤヴィマヤの農夫/Yavimaya Granger》をプレイし、3ターン目にして6マナまで到達。次のターンにはエコーコストを支払い、強烈な5点クロックを刻みだす。
マナエルフにバックアップされた展開力こそ、ステロイドのストロングポイントだ。

しかし、残酷なことにデッキよって時の流れは異なる。ダメージレースばかりが速度ではないと、補充好きはきっちりと証明してみせる。

《古えの墳墓/Ancient Tomb》と《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》からライフと引き換えに《パララクスの波/Parallax Wave》をプレイ。すかさずクリーチャー3体を追放し、クロックを1点まで下げることに成功する。
《パララクス/Parallax》にバックアップされたボードコントロールこそ、パララクス《補充/Replenish》のストロングポイントだ。

数より質と今度は《貪欲なるベイロス/Ravenous Baloth》が姿を現すも、その返しでプレイされたのはパララクス《補充/Replenish》のフィニッシャーたる《オパール色の輝き/Opalescence》。
これにより《パララクスの波/Parallax Wave》はクリーチャー化を果たし、自分自身を対象に取ることで消散カウンターをリセット可能になる。toroCHの攻め手は完全に止まってしまったのだ。

リフレッシュされると、綿密なスタックが組まれる。先ずはtoroCHのクリーチャーを対象に取りつつ、さらにスタックして自身を対象にする。
一連のスタックが解決されると《パララクスの波/Parallax Wave》の「戦場を離れたときの効果」が先に解決されるため、ほかのクリーチャーを永久に追放するロックが完成。

どんなファッティでも、多勢であっても、《パララクス/Parallax》からは逃れられないのであった。

toroCH 1-0 補充好き

Game２

特殊土地メタの《スカイシュラウドの精鋭/Skyshroud Elite》からスタートしたtoroCH。残念ながら補充好きが置いたのは《島/Island》だったため1点クロックの出だし。

第2ターン目にクロックこそ追加できなかったものの、《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》の設置に成功し、事実上《補充/Replenish》封じに成功。補充好きは墓地を経由せずにエンチャントを展開する必要があり、《調律/Attunement》や《大あわての捜索/Frantic Search》はかなり使いにくくなってしまった。
軽量クロックと墓地対策こそ、toroCHの対《補充/Replenish》戦略なのだ。

と、ここまでtoroCH圧倒的優位と思っていたのはやや軽率だったようだ。