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限築杯Vol.4 観戦記事 ROUND1 キチ vs Mister Lotus ~冒険の開幕~

text by ふみ

「ゼンディカー=エルドラージ覚醒・ブロック構築」、この言葉を聞いてどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。

ゼンディカーに住まう者たちは、未知なる土地へ「上陸」し経験値を貯めて「レベルアップ」と、私たちが慣れ親しんだ冒険譚を体現しているようで、とって非常に親しみやすい存在だ。取り分けそこに住まうコー族、中でも《石鍛冶の神秘家》は今でも各フォーマットをまたにかけて最前線で戦い続けていることは今更触れるまでもない。

一方で希望に満ち溢れた冒険には困難がつきものだ。何度でも蘇る《恐血鬼》、ジェイスキラー《吸血鬼の呪詛術士》を中心とした部族「吸血鬼」は、この世界で最大の障害として隆盛を極めている。まさにその事実を表すかのように限築杯Vol.4において最大勢力を誇ることとなった。

ここはエルドラージが目覚める前のゼンディカーの地。各地で繰り広げらていたであろう争いの代理戦争を体現するかのような激突が初戦から繰り広げられる。

冒険の書の第1ページ、キチとMister Lotusの一戦を送り届けよう。


Game1

先手となったキチは《平地》から《ステップのオオヤマネコ》、一方のMister Lotusは《沼》から《吸血鬼の裂断者》と「お互い自己紹介はばっちりですね」と笑い合う第1ターン。

だがそのような賑やかな空気を切り裂くかのように、《乾燥台地》を絡めて4/5へ急成長した《ステップのオオヤマネコ》が強烈なパンチを叩き込む。そして《闘争の学び手》がこの後に続く。

冒険者と吸血鬼はやはり相容れない。

Mister Lotusは《ステップのオオヤマネコ》の上陸能力を+1/+1と勘違いしていたようでこの成長力に舌を巻く。《食餌の衝動》で《闘争の学び手》は排除するのだが、《炎の斬りつけ》で《裂断者》を失うと、再び4/5へと成長した《オオヤマネコ》の攻撃をその身に受ける。

未開の地を走り回るヤマネコを止めるのは容易なことではない

キチが《闘争の学び手》を追加するのに対して、Mister Lotusからは《吸血鬼の呪詛術士》。これが持つ先制攻撃でなんとか防衛線を作り上げたいが、そこに鳴り響くのは2度のレベルアップ音。さすがに一方的な状況を前に攻撃を素通しせざるを得ないMister Lotsu。キチは更に《冒険者の装具》を置いて追撃の手を緩めない。

だがここまで耐え抜いたMister Lotusが反撃を開始する。《冒険者の装具》を身につけようとする《オオヤマネコ》を《見栄え損ない》で排除。改めて《装具》をまとった《闘争の学び手》の攻撃を一度は受けてしまうも、返しのターンに《マラキールの門番》。これで遂にキチの探索部隊が壊滅。

通行料はお前の命

しかしここまでその身をはって攻撃を受け続けたMister Lotusの残りライフは僅かに2。

地上を完全に押しとどめたMister Lotusだが、飛び道具にはノーガード。その頭上に《噴出の稲妻》が降りそそいだ。

キチ 1-0 Mister Lotus


Game2

未知なる世界への探求心そのままに、勢いよく一気に押しきってみせたキチ。だがGame2は不承不承といった感じの初手キープとなった。

一方のMister Lotsuも少し考えながらの7枚ではあったが、キチの《闘争の学び手》を即座に《見栄え損ない》し、自身のターンには《恐血鬼》を召喚と狙い通りの立ち上がりとなった。

だがキチが「お、これは良い感じ」と思わず溢したドローから状況が動き始める。キチは《石鍛冶の神秘家》で《バジリスクの首輪》を手に入れると、嫌でも《狡猾な火花魔道士》の存在がちらつきはじめる。

だからといってまだ見ぬ脅威は攻め手を止める理由にはならない。Mister Lotsuは《尊大な血王》を送り出し戦場へとプレッシャー。

しかしキチから送り込まれた一枚を前に思わずその手を止めることになる。

弱点を突くことこそが攻略の鍵

《探検家タクタク》。アンチ《尊大な血王》とも言うべき存在は、その名に反して探検に赴くことも無く、キチのいるキャンプ地をがっちりと固めてみせる。

《狡猾な火花魔道士》よりはまだましとは言えるが地上戦線は停滞。キチは《コーの空漁師》で《石鍛冶》を回収し、今度は《冒険者の装具》の調達をこのコーに命じる。

Mister Lotusは《マラキールの血魔女》で制空権を取り返しにかかる。しかし《炎の斬りつけ》で排除されてしまい、《首輪》と《装具》を身につけた《コーの空漁師》が攻撃を始めると戦線が次第に傾き始める。

この状況を見て意を決したMister Lotus。《食餌の衝動》で《コーの空漁師》を排除すると、その血によって一回り成長した吸血鬼軍団に全軍攻撃を指示。両軍のぶつかり合いが生じた後、《マラキールの門番》でキチのクリーチャーをゴーレムトークンのみとすることに成功する。

確かにゴーレムのサイズを乗り越えることは容易ではないが、ここさえ対処してしまえば……!

だがキチが次に送り出したカードはそんなMister Lotusの思いを打ち砕くものだった。

その姿はさながら十字架をもった聖職者の如く

恐れていた存在が遂に着地しまう。《門番》が《恐血鬼》が……次々と旗下の吸血鬼が倒れる。

最早これまで……自身に振りそぐ火花を確認したMister Lotusは潔く敗北を認めるのであった。

キチ 2-0 Mister Lotus


この冒険がフィナーレを迎えたとき、そこに立っているのは夕刊なる冒険者か、それを狩らんとする吸血鬼か……はたまたまだ見ぬ久遠の闇に生まれしモノ……皆それが自身であると信じ歩みを進める。

彼らの前にはここからどのような冒険譚が待ち受けているのだろ。

14年ぶりとなる「ゼンディカー=エルドラージ覚醒・ブロック構築」の世界は今ここに開かれた。その輝かしい第一歩を踏み出したのはキチ。