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旧作杯Vol.4 観戦記事 ROUND1 かし vs 龍之介 ~夢から覚めないで~

text by いちごピザ

40名の参加者が集った第4回旧作杯。Old Schoolという馴染みの薄いフォーマットにも関わらず参加者日夜研鑚に勤しみ、極上のデッキを構築してきている。

一時ではあるが、パワー9の強さを体感できるスリリングなフォーマットだ。おまけに《露天鉱床/Strip Mine》が4枚も使える構築フォーマットはほかにない。ある意味ではマナベースを完膚なきまでに叩き壊される危険性をはらんだ悪夢としかいえないような展開もあり得るのだから。

初戦のフィーチャーマッチへ登場するのは旧作杯を二連覇中の龍之介と、「突撃!隣のオールド民」企画に登場したかしである。

まさかの黒単同士となった初戦。悪夢はどちらかへ訪れるのだろうか。

Game1

かしはやや悩むとマリガンを宣言し、龍之介もお付き合い。「《露天鉱床/Strip Mine》を考えると土地の少ない手札はキープしにくくて」「全部のデッキに《不毛の大地/Wasteland》が入っているうようなものですもんね」と環境を代表する1枚、《露天鉱床/Strip Mine》を意識したマリガンであることを口にする。

そう、オールドスクールにおいては土地の少ない手札はそれだけで咎められかねない。対戦の土俵にすら立てない可能性があるのだから。

龍之介のデッキは低コストながら相手をゲームから締め出すカードで溢れている。マリガンはしたものの、挨拶代わりに《暗黒の儀式/Dark Ritual》から《Hymn to Tourach》をプレイ。《暗黒の儀式/Dark Ritual》と《Chaos Orb》を抜きつつ、懐かしのマナバーンでライフを19へ減らす。

対照的にかしのデッキはリソースを伸ばすカードで溢れている。《吠えたける鉱山/Howling Mine》、《Timetwister》、《Wheel of Fortune》と相手を巻き込みながら手札を増やし、コンボの下地を作っていく。仮に墓地へ落ちたとしても拾う手段はいくらでも用意されている。初ターンは《Volcanic Island》から《Mox Pearl》《Sol Ring》と順次プレイして大量ブーストに成功。黒マナこそないものの、ほかのカードへの受けは万全となっている。

龍之介が《黒騎士/Black Knight》を最初のクロックとして戦場へ送りだした返し、かしは《Underground Sea》で黒マナを確保すると《Demonic Tutor》から力強く《Ancestral Recall》!続けて《吠えたける鉱山/Howling Mine》を設置してコンボの下準備を終える。

龍之介「悩ましいな」

とごちると《露天鉱床/Strip Mine》《Sinkhole》でマナベースを締め上げる。クロックと妨害カードの双方が揃い一見すると順調そうであるが、それも《吠えたける鉱山/Howling Mine》がなければの話だ。削った先からリソースを届けてくれるこのアーティファクトはかしの生命線であると同時に、妨害カードの威力を半減させてしまう。それが2枚重ね貼りされてしまった日には戦略自体が瓦解しかねない。

かしは《吠えたける鉱山/Howling Mine》の2枚目を設置し、遂に《地獄界の夢/Underworld Dreams》へと辿りつく。悪夢の始まりである

いきなりクロックが逆転してしまった龍之介はリスクを厭わず《Juzam Djinn》をプレイし、クロックを尋常ならざる7点まで引き上げる。自分のライフが尽きるよりも早く、削りきればいいだけの話だ。

しかし、悪夢は始まったばかり。勝負をかけた《Juzam Djinn》は《ブーメラン/Boomerang》《Maze of Ith》の二段構えで処理されてしまい、逆に《地獄界の夢/Underworld Dreams》のダメージが重くのしかかる。

そして、かしは1枚のパワー9へと手をかける。信じられないことに、かつてパワー9最弱の1枚とまで言われていた1枚へと。

《Timetwister》で一気に7点のダメージを入れると、そのままターンを渡さずに《稲妻/Lightning Bolt》。

夢はひとまず終わり、代わりに敗北が顔を出す。

かし 1-0 龍之介

Game2

再び開幕ターンに龍之介が魅せる。《Black Lotus》《Mox Jet》から《Juzam Djinn》!

かし「いやー、これはちょっと。いきなりクライマックスだ」

セットランドとモックスを用意し、悩んで《Chaos Orb》。どうやら《吠えたける鉱山/Howling Mine》を先に設置すべきか悩んでいたようだ。

《Juzam Djinn》が5点のダメージを刻み、すかさず《露天鉱床/Strip Mine》。

そして、この《露天鉱床/Strip Mine》が効いたのか、なんとかしはセットランドできない。ジンこそ《Chaos Orb》で無事破壊するものの、モックスのみでは動きようもない。

龍之介は《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》を二の矢としてライフと同時に手札にもダメージを与えていく。さらに4マナまで伸ばすと打点の高い《巨大戦車/Juggernaut》を続ける。

かし「こんな事故るか…」

土地事故の悪夢を振り払うかのように、かしは投了を宣言するのだった。

かし 1-1 龍之介

Game3

マリガン後、セットランドだけで終えたかしに対して龍之介は《暗黒の儀式/Dark Ritual》×2、そして《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire》!《セラの天使/Serra Angel》と対をなす吸血鬼は、相手の生き血をすすり、主人へ力を届ける。

かしも負けてはいない。2ターン目にデッキのダイナモである《吠えたける鉱山/Howling Mine》の設置に成功し、次のターンには《地獄界の夢/Underworld Dreams》を見据えたマナベースが準備できている。

斯くして大方の予想通り、悪夢は始まる。悪夢が訪れたのがかしである一点を除いて

意趣返しとばかりに龍之介が《暗黒の儀式/Dark Ritual》のバックアップのもとプレイしたのはサイドインした《地獄界の夢/Underworld Dreams》。2ターン目にしてかしのドロー呪文全般に厳しい制限がつける。

前門の《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire》、後門の《地獄界の夢/Underworld Dreams》とわずか1ターンで窮地に立たされてしまったかし。それも自分のリソース拡充を狙った《吠えたける鉱山/Howling Mine》を逆手に取られてしまって、だ。

慎重に考えをまとめると、かしの出した結論はこうだ。《Demonic Tutor》で《天秤/Balance》をサーチ。

土地1枚と引き換えに《センギアの吸血鬼/Sengir Vampire》を除去することに成功。悪夢から覚めたわけではないが、ダメージクロックは大きくスローダウンしている。

いや、悪夢は終わっていない。《吠えたける鉱山/Howling Mine》は龍之介へ次々とリソースを届けている。《Sinkhole》がマナベースを攻め、《惑乱の死霊/Hypnotic Specter》が姿を現す。

かしは《Chaos Orb》を起動してやっとのことで悪夢を終わらせ、《イス卿の迷路/Maze of Ith》と《森の知恵/Sylvan Library》を並べる。残るライフは9だが、一旦龍之介の戦力を抑え込めれば潤沢なドローソースが解決してくれるはずだ。

しかし、悪夢は終われど覚めることはない

龍之介は《地獄界の夢/Underworld Dreams》を再設置して、《森の知恵/Sylvan Library》を封じ込める。これによりかしは土地すらセットできず終えるしかない。

そしてとどめとなる3枚目の《地獄界の夢/Underworld Dreams》をプレイされるとかしのライフは4まで落ち込み、悪夢から逃れる手だてがないことを悟った。

かしは今夜、《地獄界の夢/Underworld Dreams》にうなされるかもしれない。

かし 1-2 龍之介