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限築杯 観戦記事 ROUND3 MasaH vs サーボ・打撲 ~合同勝利は二度放たれる~

text by いちごピザ

20年前の8月19日は、一体どんな日だったろうか。今となってはまったく思い出せない。

しかし、その日神戸で開催されたグランプリの結果だけは多くのプレイヤーの脳裏に刻まれ、今もなお史実としてインターネット上に残っている。

だからこそ当時からのプレイヤーも、今日初めて『インベイジョン』を知る方も、ブロック構築を知ることができた。懐かしさと目新しさが混同しつつ、キラキラと輝く多色カード詰め込んだ宝石のようなデッキを手に、限築杯へと集まってくれているのだ。

まさか20年の時を経て、インベイジョンブロック構築の興奮が蘇る日が来るとは。はやる気持ちを抑えて、早速対戦を見ていこう。

ROUND3のフィーチャーマッチでは、2連勝で波にのるMasaHサーボ・打撲のドメインのミラーマッチをお送りしよう。


Game1

先行はMasaH。早速《地勢/Lay of the Land》をキャストして《山/Mountain》を手札に加え、後手サーボ・打撲は「ドメインかステロイドかと呟きながら」《彩色の宝球/Chromatic Sphere》をプレイグラウンドへ。

MasaHが2ターン目に《島/Island》を置くと、ミラーマッチの模様が明らかになる。サーボ・打撲の言葉をかりるなら「不毛な」ミラーマッチとのことだ。

その後はアクションらしいアクションはなく互いに基本地形を揃えながらターンが進行するのみ。致命的なのはサーボ・打撲の場に《島/Island》がなく、《回避行動/Evasive Action》を構えられていないことだろう。しかし、なんとか4ターン目に引き込むことができ《連合戦略/Allied Strategies》など強力な5マナ域を牽制することに成功する。

迎えた5ターン目MasaHは小考すると《島/Island》を含む2枚の土地を残しながら《破滅的な行為/Pernicious Deed》をキャスト。これは通り、そのエンドにサーボ・打撲は《回避行動/Evasive Action》されるのを承知の上で《噓か真か/Fact or Fiction》でしかけ、予想通りで打ち消された。

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環境を代表するドロースペルを犠牲に得たチャンス。フルタップのMasaHを強襲したのは、渾身の《虚空/Void》X=5。《連合戦略/Allied Strategies》や《虚空/Void》、《世界の荒廃/Global Ruin》を狙ってのことだ。

公開されたのは《回避行動/Evasive Action》に土地が2枚というスカスカのハンド。狙った獲物こそないが、「安全確認はできた」といったところだろう。勝負の焦点は、どちらが先にドロースペルを引き込み、解決できるかとなった。

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このワンチャンスを先にものにしたのはMasaHだった。通常ドロー後に《彩色の宝球/Chromatic Sphere》を起動すると、掘り進めた先に出会ったのは《連合戦略/Allied Strategies》!4種類の基本地形を確認すると一気に手札が潤う。

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気を取り直してサーボ・打撲は《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》をキャストして《破滅的な行為/Pernicious Deed》とのトレードを申し出る。MasaHは交換ではなくクロックで応え、2マナ残しながら《クロウマト/Cromat》を提示する。ここで《回避行動/Evasive Action》を交換し合うことで無事着地した。

サーボ・打撲の手に解決策はなく、《集団監禁/Collective Restraint》を貼ってゲームのスローダウンを目論むが、いかんせん《破滅的な行為/Pernicious Deed》がガンになってしまっている。そのプレッシャーを理解しているMasaHも起動せずに、戦場へ設置したまま《虚空/Void》X=2。《破滅的な行為/Pernicious Deed》と土地だけの手札が公開された。

セットランド、エンド。サーボ・打撲が伝えると、MasaHが残る3枚の土地を寝かせ《砕土/Harrow》を唱えたため、トップデッキしたばかりの《回避行動/Evasive Action》で打ち消した。土地が伸び続けるゆるやかなゲームではこれ以上有効な使い道がない、そう思ったためだ。

そして、これはどちらにとっても想定外の《回避行動/Evasive Action》だったに違いない。

返すターン、MasaHは自分のリソースを数え、サーボ・打撲に手札の枚数を確認してハッと気が付く。残るカードは1枚…《破滅的な行為/Pernicious Deed》のみか、と。

前のターンになぜ、《虚空/Void》を唱えたのか。なぜ、X=2でなければならなかったのか。それはMasaHの手からキャストされた1枚のスペルによって証明される。

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8マナタップアウトでキャストされたのは《合同勝利/Coalition Victory》。インベイジョンを代表する特殊勝利カードによって、MasaHは一度も攻撃せずにゲーム1に勝利する。

MasaH 1-0 サーボ・打撲


Game2

再び《地勢/Lay of the Land》と《彩色の宝球/Chromatic Sphere》で始まった序盤。先に動いたのはサーボ・打撲だった。《撹乱/Disrupt》を匂わせつつ《疫病吐き/Plague Spitter》をキャスト。MasaHは2マナ残して《回避行動/Evasive Action》でカウンターし、事なきを得る。

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返すターン、マナがない内にとMasaHは《頭の混乱/Addle》をプレイして青を指定する。《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》と《レガシーの兵器/Legacy Weapon》を確認しつつ、《秩序ある渡り/Ordered Migration》を捨てさせる。何よりも大きいのは、サーボ・打撲の手にリアクションカードはないことが判明したことだろう。今後数ターンの呪文は高確率で解決される保証を得たのだ。

サーボ・打撲は《連合戦略/Allied Strategies》を求めて《彩色の宝球/Chromatic Sphere》をドローへ変えるも、キャストできたのは《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》。この返しで再び《クロウマト/Cromat》が着地すると、ゲーム1同様に膠着模様がみえてきた。

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「大乱闘スマッシュブラザーズするしかねぇか」とサーボ・打撲はトークンを生成するも、いきなり攻撃には向かわず。2度3度と起動して6体のゴブリントークンを揃えてから一気に攻撃へと向かう。《クロウマト/Cromat》にブロックされ5点がすり抜け、マッチを通じて初めてライフが動いた。

しかし、力を得るには代償はつきものだ。2人のマナ数の差は3枚となり、さらにMasaHの《虚空/Void》が解決されるに至ってはトークンすべて消えてしまい、おまけに手札に脅威がなにもないことまでも白日のもとへと晒されてしまう。

『それでもライフを削りきるしかない…ええい、ままよ』。サーボ・打撲の決意は《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》へと伝えられ、4体のトークンを再生成。土地は3枚まで落ち込むも、MasaHの残ライフは11。ダメージレース上ではギリギリ刺しきれるようだが…

そのエンドにMasaHは《俗世の相談/Worldly Counsel》で5枚掘り進め、続く自身のターンに8枚目の土地をセットするやいなや、そのすべてを寝かせる

サーボ・打撲は、そして筆者もその素早い手つきを眺めるしかなかった。ゲーム1に続いて、MasaHが《合同勝利/Coalition Victory》の可能性を示してきたのだから。そんなはずは、いや、まさか。

しかし、同じドメインを使用しているサーボ・打撲だからこそわかっていたことだ。ドメインにおいて《合同勝利/Coalition Victory》以外で、一度に8枚の土地をタップする呪文など入っていないことに。

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MasaHが《合同勝利/Coalition Victory》で2ゲーム連取!

MasaH 2-0 サーボ・打撲